以前から刊行の予定だけは決まっていた『覇者の戦塵 ダンピール海峡航空戦 上』が、つまっております。本当は七月ごろ本屋にならぶはずだったのだが、間にあわないままずるずると二カ月も刊行が遅れてしまいました。なんぼなんでも今月には出さないとまずいので死ぬ思いをしておりますが、さてどうなることか。上下巻といっても実際には全四巻くらいになりそうな話で、とりあえず前半の部分を上下巻としてだすつもり。ということは、下巻を出してもまだ『ポートモレスビー攻略(たぶん仮題)』の上巻と下巻が残っていることになるのか。書いても書いても話の先がみえんな、まだ序盤みたいな雰囲気だと思っていたが、実際にそうなのだから仕方がないか。ニューギニアをめぐる今回のストーリーが完結するのは、来年の春ごろになりそうです。途中で『ナンダ・コート』も片づけにゃならんし。
おっと。書くのを忘れてたが、今回はニューギニア(およびソロモン諸島)をめぐる戦闘が中心になります。まーその。ダンピール海峡といえば知っている人は知っているというか、マニアックに濃い人ならタイトルをみただけで筋書きの想像がつきそうな話ではあるな。はい。そうです。あのあたりの戦闘です。メインは飛燕です、と編集さんに話したのだが、上巻の三分の二が終わっても飛行機がほとんどでてこない。飛行場を整地するブルドーザがどうのこうのと書くだけで、まるまる一冊終わってしまいそうだ。まずいな。飛燕が登場するというのでイラストの佐藤さんが大喜びで(マニアックなんだ。あの人も)「わーい飛燕だ飛燕だ」といいつつ表紙のイラストを書きあげてしまった。ついでにデザイナーさんも仕事を終えて、遅ればせながら甲州も表紙見返しに印刷する「著者の言葉」も書きあげたので、八月はじめには早々と表紙が出来上がってしまった。あれ、よく考えたらちっとも早々とじゃないな。遅くとも八月刊行の予定だったのだから。で、肝心の本文の方はまだ終わっとらんと。なんか申し訳なくて、小松の外にはでられない状態がつづいております。
などといっているうちに時間がすぎて、下手をすると九月の刊行もあやしい状況になってきた。実は今月のSFマガジンも早いとこ片づけないといけないのだが、ばたばたしていて手つかずの状態――などということを、こんなところに書くとまずいか。早く片づけよう。
そうだ。忘れないうちに書いておこう。講談社文庫から10月に刊行されるアンソロジー『自薦ショート・ミステリー2』に、甲州の「錆びたハーケン」も収録されております。以前、雑誌に掲載されたものだが、見逃した方はこの機会にどうぞ、と宣伝しておきます。