結局は今回も終わらんかったです。『ナンダ・コート』。とはいえ完全に中断してしまうと再開するとき戸惑うので、少しずつ並行しながらすすめてるんですが……。よく考えたら『パンドラ』『紫苑の絆』『覇者の戦塵 』とあわせて四つも同時進行しているのか。おおっ。すごい。まるで流行作家みたいではないか、などと盛りあがってる場合か。要するに積み残しの仕事を、次々にためこんだだけだったりする。感覚的には連載ふたつは積み残しというより、旅行費用かなんかを積み立ててる気分なのだがな。
それはともかく。最近ネパールの方からきな臭いニュースが伝わってきて、ちょっと気になるところではあります。まーその王室といってもネパールの場合は、200年かそこらの歴史しかないのだけどな。日本でいえば幕末のころの徳川家みたいなもんか。何代か前には王様自身が武器を持ってカトマンドゥ盆地に攻め込んできたような王族だったりする。川柳風にいえば「王様の先祖は野に伏し山に伏し」というところか。
しかしま。人間は普段のおこないが大事というか。今回あたらしく王様になったギャネンドラ皇太子というのが結構とんでもない奴で、若いころから女たらしで有名だったなあ。と思ったら、その倅も素行不良で問題視されてるらしい。さすがにこれでは国民も納得せんでしょう。では殺された側の王族は品行方正かというと、あの政府高官は王妃のナニらしいとか王様の二号はネワール族のあの女でとか、その種の噂話にはことかかんかったです。千年以上かけて毒気をぬかれて大人しくなった日本の皇室にくらべると、相当に人間くさくて面白くはあるのだが。
ところで話は変わるが。日本のSFにはラジェンドラという名前が結構でてくるのだが、いくつ知ってるかな。大原さんの『一人で歩いていった猫』に登場するのがラジェンドラ人、神林長平の『敵は海賊(だったか)』に登場する宇宙船がラジェンドラ(ちょっと記憶が曖昧)、それとこれは採用されんかったらしいが豊田さんが原案を書いていたとき『宇宙戦艦ヤマト』の敵役はガミラスではなくてラジェンドラだったみたい。実はこのラジェンドラという名前は、ネパール人には多いのだよな。ラジェンドラに限らず、なんとかドラという名前はカトマンドゥで石を投げたら必ず当たるくらい。あたらしくネパールの王様になったのがギャネンドラで、殺された先代(先先代?)の王様がビレンドラ。犯人だとされた皇太子がディペンドラで、ビレンドラの父王がマヘンドラ国王という実に由緒正しい名前なのだ。他にもいろいろとあるが、では甲州作品でラジェンドラが登場するのは何か、というと残念ながら(何がだ)SFではない。『サージャント・グルカ』なのだが、この本の文庫化も『ナンダ・コート』が終わらないことには棚上げだなあ、と話が最初にもどってきたか。