こうしゅうでんわ

谷甲州

 先月に韓国語版エリコのことを書いたのだが、その後すぐに見本が送られてきました。なんか本家の仕事は遅々として捗っておらんのに、翻訳の仕事は実にすばや いことであるな。上下二巻本(実際には「1」と「2」)で、値段は各7500 ウォン。二冊で15000ウォンだから、現在の為替レートでは1700円弱というところか。人口が少ない分、日本の場合よりも印刷部数が少なくなってしまうのだが、値段的には頑張っているようです。かの国の物価水準は、よく知らんけど。 オリジナルの『エリコ』よりひとまわり大きな版型で、青っぽいシックな装幀に なっております。もっともこれは、叢書のフォーマットみたいなものか。

 で、中味をぱらぱらと読んでみたのだが……昔かじった韓国語がきれいさっぱり頭の中から消え失せていることを確認する結果にしかならんかった(涙)。とはいえハングル文字は規則的にできているから、発音程度はおぼろげながら理解できる のだ。しかも韓国語の語順は日本語とおなじで、単語も漢字ベースでは共通しているものが多いから、なんとか判読できるような気がせんでもない(かなり怪しげだが)。頑張って背表紙の文字を読んでみたら「22セキ ムグクチェク トシ オ サカイ」とか書いてあるらしい(たぶん)。これなんか日本語では「22世紀 無国籍都市大阪の――」になるのであろうな。では「嗜虐と倒錯」は韓国語では何に なるのか、と思って悪戦苦闘してみたが結局ようわからんかった(暇やのー)。この忙しいときに、何をやっておるのやら。ともあれ、これを機会に韓国語をもう一度やってみようかと考えているところ。小松からソウルまでは、JALの直航便もでてるのでね。曜日によっては東京までの航空券よりも、ずうっと安上がりだったりする。韓国語がものになったら、遊びにいってみるか。ということですので、この本は韓国語のテキストとしても使えます。かなり読者が限定されるとは思うが。

 あとの仕事はというと……『覇者の戦塵 東太平洋海戦4』は、なんとか予定どおり出せました。本当に四巻で終わるかどうか心もとなかったのだが、強引に話を終わらせてしまった(ふー)。バランス的にはもう一冊追加してもおかしくないく らいなのだが、それをやるとあとの仕事が大遅れになるからなあ。とはいえ無理して覇者を終わらせたのに、その後の仕事はほとんど進展していない(うわー)。なんというか、こんな予想はたいてい的中してしまうな。




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