こうしゅうでんわ

谷甲州

 結局『東太平洋海戦−4』は5月に出せず、6月刊になってしまいました。前巻のあとがきには「万難を排して一カ月後の刊行を」などと書いたが、あんなこと書かにゃよかったな、などと後悔しているところ。あとの祭りではあるのだが。また今回も「おわび」から書かんといかんのかなあ、と思っていたら妙なことに気がついた。前の巻の奥付が5月1日になっていた。ということは6月中にだせば、カレンダー上は一カ月後になるのか。なんだ、気にすることはないではないか、と開き直って原稿を書きすすめております。とはいえ、いまのペースで仕事をやっていたら6月中の刊行も難しいな。もう少し頑張るか。そのかわり、というわけでもないのだが、前に書いていた「ヤマケイJOY」に連載した「地図の彼方へ」が、中公文庫から『彼方の山へ』として刊行されます。6月25日ごろの刊行予定。雑誌連載分にあれこれと書き足して、前は掲載されなかった写真も追加で貼りつけておきました。どさくさにまぎれて子供らの写真もくっつけたのだが、さすがに人外境キャンプなんかの写真はやめにしておいた。基本的には山の話だから。

 なんか一カ月たったのに、仕事自体はあんまり進展していないな。実際に、かなり停滞しているのだが。目新しい話が何かないかな、と探してみたら……この話は前にしたかな。『エリコ』が韓国語訳されるという話。実は『軌道傭兵』の最終巻がやはり韓国語訳されるという話もあったのだが、こっちの方は立ち消えになったみたい。『エリコ』は前渡金も受け取っているので、たぶん確定でしょう。それにしても、なあ。商業ベースで最初に翻訳される自著が、『エリコ』ですか。これも谷甲州らしくて面白いのだけどね。あと『エリコ』に関しては別の動きもあるのだが、こっちの方は未定なのでまた別の機会にでも。

 他の話といえば――。ええと、9月ぐらいから幻冬舎の広報誌で小説の連載をはじめる予定。こっちは冒険小説。たぶん明治末期か大正はじめごろの日本で、土木技術者(というか土建業者)があれこれする話になるはず。本になるのは2002年ごろか。かなりの長丁場になりそう。それはいいが、SFマガジンの連載とモロにぶつかるな。どうなることか、神のみぞ知る。
 あとは知らん。




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