間にあったといっていいのかどうか、とにかく『東太平洋海戦3』は本屋にならんでおります。奥付は四月下旬に印刷して五月はじめに発行ということになってるから、なんとか格好だけはついたということか。この分だと『東太平洋海戦4』も、似たような状況になるかもしれん。ちなみに現時点で、書きあげたのは三分の一程度。たしかに先月と似たような状況になってるなあ、と思ったら実はそれよりも遅れそうな具合になってきた。実は先月にも書いた『地図の彼方へ(仮題)』の書き足し分が押してきたので、覇者の原稿は中断してそっちの方にかかっております。とはいえどっちの仕事も中央公論新社なので、気が楽ではあるのだが。催促する側も、さすがに両方いっぺんにスケジュールどおりやれとはいわないので。四巻めはどこまで遅れるのか見当もつかんのですが、例によってなんとかなるでしょう。
そうだ。前に画報上で指摘された蓮美大佐の名前に関してですが、三巻めでは知らん顔をして修正しております。しらべてみたら、一巻めと二巻めで百カ所以上も誤植というか変換まちがいというか、一時的な気の迷いで大佐が改名したような形跡が残っておりましたが、あまり気にしないように。実は一巻めを書きはじめた途端にハードディスクのクラッシュがあって、ATOKの辞書が吹き飛んでしまったのが原因なのだった。書きかけの原稿とかデータ類はバックアップの方法をいろいろと考えるのだが、辞書までは考えがまわらんかった。とはいえ蓄積した辞書をちゃらにしたことは前にもあったので、少しずつ単語登録をしながら再建しております。最近の辞書は意外に充実してるので、まっさらの状態からはじめてもそれほど使い勝手は悪くありません。蓮美大佐みたいな人名の場合は、知らんうちにデフォルトがまじってたりするのだが(それが大問題だ)。しかしま、著者だけではなくて編集さんも校正者も気がつかんかったのは、不思議というかなんというか。
ところで水樹和佳子さんの『イティハーサ』が、早川書房から文庫で出ています。集英社版では全15巻だったのが全7巻になってますので、未読の方はこの機会にどうぞ。実は一巻めの解説は不肖・甲州がやっているのだが、それを別にしても価値のある作品であります。少女漫画にSFの火を絶やさないためにも、売れてくれたらいいなあ、と思っておりますので。
もうひとつお知らせ。この夏に『軌道傭兵』が再刊されるかもしれません。といっても紙媒体の本ではなくて、アクロバットで読む電子書籍ですが。たぶん中央公論新社のページからダウンロードして、料金を支払う形になるでしょう。版元によれば「当社から刊行された本は、(紙の本か電子書籍かにこだわらなければ)すべて入手可能な状態にしたい」そうなので、品切れの本でも電子書籍の形でなら読めるようになるみたいです。あと人気のあるコンテンツに関しては「受注生産」で印刷する(リクエストを受けつけておいて、その数だけ限定発行する)こともあるらしい。こんな形の電子出版はかなり前からあったのだが、少しずつ商業ベースに乗りはじめたみたいですね。これからは電子出版をふくめて、出版の形態が大きく変わるのかもしれません。ちょっと楽しみ。