今回もまた訂正から。先月には「3月と4月に覇者の続刊を」などと書いたのだが、どう考えても3月刊は無理な情勢になってきた。この分だと頑張っても4月と5月の刊行がやっとでしょう。ほんとにもー、この一カ月間なにをやっていたのだか。実をいうと北陸はこの冬えらい大雪で、とても仕事にならん状況がつづいていたのだが、やっぱりそれは言い訳の材料にはなりませんわな。とはいえ、春がきたらなんとか調子は上向くでしょう。もしも予定がさらに遅れたら、想像するだけで怖ろしい事態になるので頑張るしかないのだが。
ちなみにこの一カ月間で完成したのは、先月のこうしゅうでんわで書いた短篇ひとつだけ。でもよく考えたら、この短篇は5月に出る短編集に収録されるのだよな。せかされたとはいえ、5月刊の本のために3月刊の原稿が間にあわんかった、というのも無茶な話だ。もっともこの短篇は4月刊の「小説すばる」誌にも掲載されるので、無茶さ加減も半分くらいに割り引けばいいか。
忘れないうちに書いておこう。他にも文庫本の解説などをやっております。田中光二さんの『失われたものの伝説』ハルキ文庫から。もう書店にならんでるはずなんで、冒険小説に興味のある方はどうぞ。4半世紀ちかく前に書かれた小説なのに、スクーバダイビングのシーンがばんばん出てくるのだ。知っている人は知ってるが、当時のダイビングはBCD(浮き袋)など使わない。たしかダイバー資格をとる前の予備試験に、潜水25メートルとか浮き身一分間とか遠泳などもあったはず。で、解説を書いたあと田中さんにその話をしたら「実はライセンスなしで潜ってたんだ。君は正式にカードとったのか。えらいなあ」だって。なんか知らんが、えらくおおらかな時代だったみたいだ。
ところで今月は早川書房と徳間書店から、それぞれ「SFが読みたい!」と「SF Japan」が出ていて、じっくり読んでみるとなかなか興味ぶかいことが書いてある。徳間の本には過去のSF大賞を紹介する欄に「その他の主な国内作品」が年ごとに記載されているのだが、これはその年の大賞候補作ではなかろうか。SF大賞の候補作が発表されるようになったのは昨年からで、それまでは選評の段階でも公表されなかった。うーん、時代は変わったのだな。で、候補作とおぼしきリストをながめていると、意外な事実が次々に出てきて面白いのだ。たとえば神林長平が『言壺』で受賞したのは実に五度めの候補作のときだったとか、受賞後もさらに二回候補になっているとか(合計七回も候補になっているのだ)、興味はつきないのであった。
さてと。頑張って自分の仕事をすすめるか。