こうしゅうでんわ

谷甲州

 最初に訂正から。先月のこうしゅうでんわでは「2月と3月に連続刊行」と書い たのだが、よく考えたら1月と2月が正しかった。で、結局、1月刊の『覇者の戦 塵 東太平洋海戦 2』はなんとか予定どおり(少し遅れ気味だが)出せたまし た。ところがやっぱりというか、3巻は先延ばしになりました。実は2巻めを書き 終えた時点で「これ、本当にあと一冊で終わりますか?」という話になって、それ もそうだ、それならあと二冊かけて話を終わらせるか、と話が広がったのが問題の 発端でありました。ということで『東太平洋海戦』は全四巻のストーリーになっ て、3巻と4巻はそれぞれ3月と4月の刊行になります。これを遅らせると他の予 定が大崩壊をおこすので、なんとか4月までには決着をつけたいところ。あ、去年 の夏ごろ二冊だけだした角川版『覇者の戦塵』の中公からの再刊のうち、一冊だけ 残っていた(実際は二冊だが)『謀略 熱河戦線/黒竜江陸戦隊』は今年の秋ごろ に出るでしょう。少し間があいてしまったが、『東太平洋海戦』を予定どおり出せ たら半年たらずで四冊刊行したことになるんで、なにとぞご容赦を。出せんかった ら……そのときは、もう知らん(笑)。

 ここまで予定が遅れたのは、話がふくらんで残り一冊だけ書けばいいところが二 冊になって、構成を最初からやり直すことになったから、というのは表向きの理 由。実は他にもいろいろと事情があるのだが、そのうちのひとつが短篇の仕事が集 中したせいだったりする。全部で四つ仕上げにゃならん、という話は先月かいたの だが、これに意外なほど時間をとられてしまった。短篇仕事なんて長篇の合間にひ とつくらいやるのなら息抜きになるが、四つもまとめてやるもんじゃないなあ。最 後の方は息切れがして死ぬ思いをしてしまったよ。どっちかというと甲州は長篇型 の小説家なので、短篇の仕事は効率があまりよくないのだ。草上さんみたいに、 ちゃっちゃとはいきません。

 それでもなんとか、短篇は四つとも間にあわせました。なんか最後の方はどれが 落ちても不思議ではない状況だったのだが、終わってみるとこういうことになりま した。人間、やればできるものだ。とはいえ、これですべて終わったわけではな い。五月ごろに刊行される集英社のホラー短編集(小説すばるに書いてた短篇)の ために、あとひとつ書かにゃならん。そんなこんなで、これから『覇者――』と残 りの短篇で死にます。乞うご期待、と一応は書いておこう。




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