人名録 - 遥かなり神々の座
神々の座を越えて
- イシラマ
- カムパ・ゲリラの隊長。
テムジン隊と対立し、武力衝突を起こすが敗北する。中国軍との武器取引に応じるが、裏切られ殺される。
- 興津
- 滝沢のクライミング仲間。
スイスで滝沢と同居している。もぐりの登攀ツアーなどで滞在費を稼ぎながら登攀をくり返していたが、滝沢の遭難事故で外国人管理局から目をつけられ、日本にもどる。
- 梶井
- 神保町界隈に店を構える小さな登山道具店の主人。
滝沢に自分の店で働くことを勧める。川原摩耶と滝沢を引き合わせ、加山君子にカトマンドゥでの安宿を紹介する。
- 加山君子
- 滝沢の元恋人。
滝沢の遠征中に子供を流産し、その時世話をしてくれた男と結婚する。滝沢がネパールで行方不明になったことを知り、彼の後を追ってカトマンドゥでやっと探し当てるが、その後夫のもとに帰る。
- 河口慧海
- 身分を隠してチベットに潜行した日本人。
滝沢らと同じ間道を通ってチベットへ渡った人物。
- 川原摩耶
- インド美術を専攻する大学生。
父親が戦時中潜行していたチベットに蒸発した。梶井の店で滝沢と出会い、カトマンドゥのホテルで加山君子と出会う。ネパール人に変装して潜行していたプンガオンの村で、追撃から逃れた滝沢と再会する。
ニマの娘。テムジン師団の連絡員としてチベットのラサに潜入する。滝沢と再会し、チュデン・リンポチェと会うが、尾行してきた中国公安に捕まり、ネパールに国外追放となる。その後再びチベットに戻り、ニマとともに移送されるところをテムジン師団に救出される。ベースキャンプ占拠後、中国公安の攻勢により主力と分断されて山中に後退するが、救出に来た滝沢らとともにチョモランマ越えを行い、ネパールに逃れる。その後ネパールで滝沢と暮らし、彼の子供を身ごもる。
ソナム・ドルマはチベットに潜入するために用いた偽名。
- 木村肥佐生
- 『チベット潜行十年』の著者。
- ギリンガム少佐
- チョモランマに遠征にきたイギリス登山隊のメンバー。
三国合同隊を占拠したテムジン師団の声明文を受け取り、自分達のルートの自由通行を認める代りに撤収のためのヤクの通過を認めるよう、直接交渉にくる。
- クマール
- 林がマナスル遠征につれてきたインド人隊員。
自称インド中国国境警察の大尉だが、実はパキスタン人の工作員。中国国境を越えたキャンプ地でカムパ・ゲリラの私刑にあうが、滝沢に射殺される。
- 蔵間隆利
- アルプスでの滝沢の年上の相棒。
五十近く。滝沢に頼みこんで相棒となってもらい、アイガー北壁を登るが、一度滑落してケガをした体で滝沢の滑落を制動したため、ケガが悪化し、ビバーク中に死亡する。
- 蔵間深雪
- 蔵間の娘。
蔵間の死後、スイスで挨拶まわりをした後カトマンドゥで滝沢と再会し、摩耶からの手紙を渡す。蔵間の話を通じて自分では気付かないうちに滝沢をはげましてチベットに戻る気にさせる。
- ゴンチョク・ナムジル
- → ゴンチョク・ナムジル
- 酒田
- 三国合同隊の隊員で、後援している日本のテレビ会社の社員。
ベースキャンプがテムジン師団に占拠され、捕虜となる。
- ジグメ
- チベット人と漢人の混血の中国公安。
滝沢を言いくるめてチュデン・リンポチェと接触させることにより、その居所をさぐる。チュデン・リンポチェを収容所から移送する際にツェワンらに襲われるが、ただひとり逃亡する。その後中国軍を率いて滝沢らを追うが、ノースコルで逆に奇襲され、摩耶の射撃により氷河に落ちて死亡する。
- ソナム・ドルマ
- → 川原摩耶
川原摩耶がチベットに潜入するために用いた偽名。
実在の人物で本人は亡命後にカトマンドゥで亡くなった。
- 滝沢育夫
- 登山家。
参加した遠征がいつも死者を出して失敗するので仲間から「死神」とあだなされる。林に利用され、カムパ・ゲリラの偽装遠征隊の隊長となり、中国に越境するが、中国軍に執拗に追われる。天性の戦士であるが、山の仲間を見殺しに出来ない性格を持つ。
スイスで遭難し、違法ガイド行為として外国人管理局に目をつけられ、ネパールに行く。ジグメから手紙をたくされ、チベットに潜入した摩耶の後を追う。摩耶やニマと再会するが、尾行してきた公安に捕らえられ、カトマンドゥに追放される。再びチベットに潜入し、政治犯が乗っている移送トラックに無理やり乗りこみ、救出にきたテムジン師団と合流する。三国合同隊のベースキャンプ占拠後、分断されたニマらを救出するため、別行動を取ってニマらと合流する。中国軍陣地を奇襲して装備を奪い、チョモランマ越えを行ってネパールに逃亡する。その後ネパールで摩耶と暮らす。
ルクバハドールは滝沢のネパール名。
- ダライ・ラマ
- 四十年近く前にチベットを脱出したチベットの精神的な最高指導者。
ジグメがチュデン・リンポチェに宛てた手紙を捏造し、滝沢に託す。
- ダワフリ
- テムジン師団の若い兵。
バランスがよく、登攀装備にもすぐに慣れたため、ラクパ・ラへの偵察以来、滝沢と行動をともにする。ニマらを救出してノースコルまで山越えするのにも同行するが、途中で足を凍傷でやられ、滑落死する。
- チュデン・リンポチェ
- → リンポチェ
- チュリ・ミン
- テムジン隊の隊員。
ネパール人兵士で、ナラヤン・タパの私兵でもある。薬と引き換えに滝沢を氷の道の出口まで案内する。
気を失った滝沢をティリツォ湖からカイサン基地まで運ぶ。
- ツェリン
- 滝沢のマナスル遠征のシェルパ頭。
遠征隊の中で、唯一人本物のシェルパ。30歳そこそこで、短躯だががっしりした体つきをしている。中国軍のカムパゲリラ掃討の後不明。
- ツェリン
- ロサン・ツェリン。
50くらいに見える男。
ジグメから手紙を託された滝沢が訪れるが、手紙を見た途端にすごい剣幕で滝沢を追い返す。
- ツェワン
- カトマンドゥに住むテムジン師団の都市工作員。
滝沢をテムジンの所につれていく。滝沢とともにチベットに潜入し、手勢だけでチュデン・リンポチェらの乗った移送トラックを襲撃し、彼らを救出する。三国合同隊のベースキャンプ占拠後、ニマと行動をともにし、中国軍に追われた仲間にチョモランマ越えによる逃亡を提案する。ノルブとともに先行するが、高度障害に犯され、肺水腫で死亡する。
- テージ・バハドール
- カトマンドゥの小さなホテルの小僧。
ラミダラの村から「グムネ」してカトマンドゥで働いている。
- テムジン
- ダライ・ラマ親衛隊の主力を構成するカムパ・ゲリラの隊長。
アメリカでゲリラ戦を学んだが、その戦略には疑問を持ち、独自の戦略を取る。遠征から一人下山する滝沢に出会う。一九七四年の戦闘で死亡したことになっていた。
ツェワンに案内された滝沢と再会し、三国合同隊のキャンプの占拠作戦への協力を要請する。チュデン・リンポチェらをツェワンが救出した後に合流し、部隊の指揮をとる。滝沢のニマ救出作戦のために計画を変更して、ロー・ラで待機するが、時間切れのため撤退する。滝沢らがネパールに逃れて暮らしてからも、ときおり彼らを訪問する。
- ドルジェ
- ゴンチョク・ナムジルの配下。
一六歳で祖父は人民解放軍と戦って死亡している。公安に追われたチュデン・リンポチェらとともに逃避行に同行し、山中で捕らえられ、収容所に送られる。テムジン隊長の助けを求めるために収容所を脱走し、滝沢と合流する。三国合同隊のベースキャンプ占拠後、テムジンとの連絡のためにふもとの陣地に移動し、その後チュデン・リンポチェと行動をともにし、チョモランマ越えの逃亡に同行する。その後、ノルブの配下として仕事をする。
- ドルマ
- → ソナム・ドルマ
- ゴンチョク・ナムジル
- 東部チベットの村の有力者。
地区の人民委員も務める共産党員だが、実際はチュデン・リンポチェの支援者の一人。滝沢を尾行した中国公安に捕らえられ、ニマとともに収容所に入れられる。移送の際に他の政治犯とともにテムジン師団に救出される。
- ナラヤン・タパ
- ネパール政府から滝沢の遠征隊に派遣されたリエゾン・オフィサー。
ネパールの秘密行動を守るために、滝沢を追う林がカイサン基地にはいることを阻止しようとするが果たせず、林を殺害し、結果的に滝沢を助ける。
ネパール陸軍の少佐でチベット人ゲリラ対策担当。ツェワンから情報を引き出すために、滝沢が訪問してチベット情勢についての情報を得る。
- 西川一三
- 『秘境西域八年の潜行』の著者。
- ニマ・ノルブ
- 滝沢のマナスル遠征隊のコック兼シェルパ。
中国軍の追撃から滝沢とともに逃亡する。実はカムパ・ゲリラに加わった日本の旧軍人で、テムジンの参謀。川原摩耶の蒸発した父親。
目をわずらい、ゴンチョク・ナムジルのもとで暮らしていたが、滝沢をつけた中国公安に捕らえられ、労働収容所に入れられる。移送の際にテムジン師団に救出されるが、ベースキャンプ占拠後、中国軍との最前線を守り、仲間を逃がすために自陣を爆破し、中国軍を巻き添えにして死亡する。
- ノルブ
- 三国合同隊のネパール側登攀隊員のシェルパ。
ニマらにキャンプを追い出され、ベースキャンプにもどる時に滝沢らと出会う。自分の登攀に都合が良かったため、滝沢らをノースコルまで案内する。チョモランマ越えの逃亡の途中で逃げて中国軍に保護を求めるが撃たれて負傷し、ノースコルに残る。半年後、フランス隊に参加して念願のサガルマタに登頂する。
- 林
- インドの工作員を名乗るが、実は中国の工作員。
中国軍のネパール越境の口実を得ようとし、マナスル遠征の工作を行い、滝沢に協力を強要する。中国軍を指揮してカムパゲリラを掃討し、滝沢をティリツィオ湖畔まで追跡するが、ナラヤン・タパに射殺される。
- 原田昭仁
- 滝沢が率いた冬季登山隊で、滝沢とともに最後まで生き残った隊員。
滝沢が行方不明となった後、カトマンドゥで君子とあう。滝沢の行方を追って、君子を連れてマナスルまでトレッキングを行うが、結局滝沢は見つけられなかった。
- フランツ・バウマン
- アイガーの山頂から滝沢をピックアップしたボランティアのスイス人救助隊員。
アイガーで蔵間の死体を単独で回収しようとしていた滝沢を自宅に招き、思いとどまらせる。
- フィンジョ
- テムジン師団のヤク係。
滝沢のラクパ・ラへの偵察に三頭のヤクを使って荷揚げを行う。ニマ達を救出するために山越えを行なう滝沢に同行するが、途中で雪崩にあって死亡する。
- プンツォク
- カトマンドゥのシェルパ頭。
以前に滝沢とパーティを組んだことがある。四〇代なかばの気のいい男だが、ビジネスの面でも抜け目がない。滝沢が摩耶の居場所を探すために訪ね、ラサに向かったことを告げる。テムジン師団を支援している。
- 堀川
- スイスの公認山岳ガイド。
苦労してガイド資格を取り、二十年もスイスに在住している。日本が国際ガイド連盟に加入できるように努力している。アイガーで遭難事故を起こした滝沢を守ろうとするが、本人がヒマラヤに行こうとしていることを知り、幻滅する。
- 毛沢東
- テムジン師団のゲリラ部隊の理論的なバックボーンとなる遊撃戦思想を唱えた。
- YAMADA NOBORU
- チョモランマを越え、カトマンドゥに到着した直後の滝沢に声を掛けてきた日本人クライマー。
あとがきによると、一四座登頂を目前にして八九年に亡くなった山田昇氏。
- ラクパ
- チベットのラサに住む十歳くらいの少年。
滝沢のことをネパール人だと誤解し、彼をロサン・ツェリンの家に案内し、また川原摩耶と引きあわせる。
- リンポチェ
- チュデン・リンポチェ。
チベットの活仏。
成都、北京で学んだ後、一七歳でインドに亡命し、活仏に認定される。一九歳で僧兵のように精悍な人物。滝沢を尾行した中国公安に捕らえられるが、移送の際にツェワンらに救出される。国境を封鎖され、行き場を失ったテムジン師団にチョモランマに向かうことを提案する。占拠したベースキャンプから中国軍に追われ、滝沢らとともにチョモランマ越えの逃亡を行う。
- リンポチェ
- ワンドゥ・リンポチェ。
チュデン・リンポチェの前世。
一九六〇年ごろから行方がわからず、生死の確認もできなかった。非暴力の反中国闘争を続けていたが、捕らえられ、労働収容所に送り込まれる。その後脱出し、自分の僧院に潜んで瞑想を続けるが、乱入した近衛兵により殺され、チュデン・リンポチェに転生する。
- ルクバハドール
- → 滝沢育夫
- ロサン・ツェリン
- → ツェリン
- ロブサン
- イシラマ隊のカムパ。
偵察のため本体から離れたところで中国軍の攻撃にあい、滝沢、ニマと出会う。途中で別々に逃走するが、プンガオンの村で滝沢に再会し、摩耶に引き合わせる。
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