人名録 - エリコ
- 愛甲ヨハネ
- 警視庁の幹部職員。
強引な操作方法でエリコと偶を追い、偶の飛行機を撃墜する。エリコを追って黒幇の手先から救い、尋問を行なう。美形だが酷薄そうな人物で、黒幇の動きを誘うために頸木を通じてエリコと偶を接触させた?
上海でワイレンを襲撃する指揮をとったのち、遺伝子変換プロジェクトの方針に逆らって勝手なことをしたことが問題となり、刑事をやめて寺尾医師を救出する。寺尾和規に会いに行った月面でエリコと再会する。プロジェクトの予備実験に参加しており、性的に興奮しない体質だったが、負傷したことから可能となり、エリコと交わり子供をつくる。
- エリコ
- 性転換した女性。高級娼婦。
北沢エリコ。本名北沢慧人。16歳のときに体育教師にレイプされ、その後寺尾医師から性転換手術を受ける。その時に自分のクローンが作られ(そのクローンがエリコの本名のパスポートを取得し、上海に渡っている)、老犬・ローの脳が移植されたため、黒幇に拉致されそうになる。一度は愛甲に救出されるが、警察病院で再び捕まる。
黒幇により上海に拉致されるが、ワイレンを説得して裏切らせてラオタイ・ローを殺す。ワイレンが日本政府の特殊部隊に襲撃されたため日本に戻り、プロジェクトの真相を探る。さらに鍵となる晴樹と和規の二人に会いに月面に行き、再会した愛甲の子供を身ごもる。プロジェクトリーダーの弘田と対決し、殺されそうになったところを黒木警部に救われる。
- 和規
- 寺尾和規。寺尾医師の息子。13歳。
母が自殺した後、弘田に引きとられ、晴樹とともに月面に留学している。留学先の階級社会で最下層とされて抑圧されていたが、エリコに男にされ、自信を取り戻す。弘田のプロジェクトにより、月面の留学先で遺伝子操作されていた。
- 胡蝶蘭
- カチョーラス。エリコのルームメイトで二歳年上。
大柄で人間離れした筋肉をトレーニングで作り上げた女性。エリコが性転換する前からエリコの守り役だった。エリコを逃がすために警官や黒幇の手先と戦い、負傷して警察病院に入院する。
日本に戻ってきたエリコと再会し、遺伝子操作プロジェクトの真相解明に協力する。
- 偶徳健
- 中国系マフィア黒幇の幹部。
売春組織を持っており、頸木に命じられて面接に来たエリコに屈辱的な検査を行い、性器に発信器をとりつける。翌日、エリコを海外に運ぼうとするが、警察のヘリに撃墜される。その後もエリコを追い、警察病院から寺尾とエリコを拉致する。
上海に着いてからはワイレンの部下として働く。
- 頸木警部
- 南大阪第三分署の悪徳警官。
ヤクザ組織菊水会の協力者。エリコがもぐりの性転換手術を受けていることをつかみ、それをネタにエリコを脅して偶の面接を受けさせる。その翌日、拷問の末に惨殺された死体で発見される。
- クミコ
- 偶と契約してエリコと同じクルーザーで上海に渡った娼婦。敵愾心を燃やしていたエリコに冷たくあしらわれて逆上したところをワイレンに捕らえられ、シャオチンのショーで牡馬にレイプされて精神に異常をきたす。シャオチンに匿われるが部屋を抜けだして、逃走していたエリコが捕まるきっかけを作る。ラオタイ・ローがエリコらの拷問をするのを手伝わせるが、勝手なことをして叱責されたため、スタンガンでローを倒す。
- 黒木
- 大阪府警の警部。
愛甲の部下から重傷の上に自白剤をうたれた胡蝶蘭を救出し、警察病院でエリコと接触させる。エリートで外見はこわもてだが、意外と親切な警官。
縄張りを無視した警視庁の愛甲の行動を追っていたが、それを棚橋に上手く利用され、エリコの東京行きの護衛をさせられる。月面まで愛甲を追うが、そこでエリコを救い弘田を逮捕する。
- 源爺
- エリコの旧知の老人。
公文書の偽造を本業とする代書屋。データの改鼠や窃盗を行っており、警察のデータベースからエリコを追っている人物を探し出す。また、胡蝶蘭の居所もつきとめてエリコに教える。
大阪のハッカー。エリコが遺伝子変換プロジェクトを探索するのに協力する。弘田に追い込まれて八方塞がりのエリコに、弘田夫人に近づくことを持ってまわった趣味の悪い方法で示唆する。
- 咲夜姫
- 姑に対するあてつけからエリコと同時期に寺尾の手術を受けて老婆になった女性。
外見は老婆だが体の動きは若く、詐欺で生活費を稼いでいる。胡蝶蘭が潜んでいた東萩病院でくらしている。
- 小青
- エリコが拉致されたクルーザーで同室だった女性。
動物を発情させるホルモンを発散し交わるショーを行う。日本で働いていたが嫌で嫌でたまらなくなり、愛している寺尾を裏切ってその居所を黒幇に教えることと交換に上海に戻る。黒幇に捕らえられているエリコを監禁場所から救出する。のちに寺尾と合流して、遠隔からそのテクニックを性行為シミュレーターに送ることにより、日本に戻ったエリコに協力する。
- 棚橋
- 探偵。棚橋は偽名。八尾空港に降りたエリコに菊水会につけられていることを警告してエリコに雇われ、菊水会からの保護や胡蝶蘭との連絡を引き受ける。もと大阪府警の公安で、府警のシステムを不正使用して仕事に利用している。上海から帰ってきてからもエリコのプロジェクトの捜索を手伝う。
- 丹下
- エリコの住むアパートの管理人。
頸木がエリコをたずねてきたことを胡蝶蘭に連絡する。
- 辻井
- 愛甲の同期入庁の警視庁の刑事。問題が表面化した弘田のプロジェクトの調査のため、愛甲を追ってきた月面でエリコを捕らえて尋問しようとするが、弘田が強引に割りこんできたためエリコの身柄を弘田に引き渡す。
- 寺尾
- エリコに性転換手術を施した無許可医師。
手術のときにエリコの細胞を黒幇に売り、行方をくらます。変装して警察病院に潜んでいるところを偶らに見つかり、運びだされる。
日本人の遺伝子を変換するプロジェクトに関わるが、黒幇から脅されて研究成果を盗みだしたことや、シャオチンとの交際などのスキャンダルによりプロジェクトを追われ、医師免許も剥奪されて無許可医師となる。拉致されたのち、黒幇の実権がワイレンにうつったため比較的自由にされる。夫人の自殺を知って日本に戻り警察に拘束されるが、愛甲の手引きにより逃走し、エリコに協力する。
- 寺尾夫人
- 寺尾医師が自分に逆らったことを根に持つ弘田に誘惑され、自殺に追い込まれる。
- 夏代
- 七年前に先天的な疾患があるといわれて中絶した娘を思い、弘田夫人が仮想世界で作り上げて育てている娘。
- 晴樹
- 弘田晴樹。弘田氏の息子。十四歳。
月面に留学しており、弘田のプロジェクトによる遺伝子操作を受けている。日本人グループのリーダーであり、父親に似た性格をしていたが、エリコと交わり、行動をともにするうちに母親似の優しい性格が顔を出す。月面でエリコと愛甲が公安と戦い逃走した時に人質のような立場で逃走に加わるが、負傷した愛甲の介抱をし、プロジェクトの真相解明にも協力する。
- 弘田貢
- 中央省庁のエリート医系官僚で遺伝子変換プロジェクトの統括者。
エリート意識の塊で、他人を人間だと思っておらず、理想的な日本的官僚が支配する世界をめざして遺伝子変換プロジェクトを推し進める。官僚機構で絶対的な権力を持っており、その権力を用いてプロジェクトの妨害や公表をはかる人間を抑えこんでいた。エリコと愛甲を月面で追い詰めるが、夫人と息子のことを言われて逆上し、殺そうとしたところを黒木警部に捕らえられる。
- 弘田夫人
- 表向きは貞淑な妻だが、自分との擬似性交渉のために夫が利用させた秘密クラブでの仮想セックスにのめりこむ。ボランティアの講義でエリコに誘惑され、自宅へ案内して交わる。その後、エリコの真相解明に協力するようになる。弘田は自分が尊敬され愛されていると思っているが、実際は夫のことを嫌いぬいている。
- 老犬・ロー
- 黒幇の大幹部。
組織内の抗争が原因で殺されたが、脳をエリコのクローンに移植して組織の維持を行い、若さを取り戻そうとするが、老化が加速されて実年齢よりも歳老いてしまう。このため、エリコを捕らえて脳を移植するための子供を生ませようとする。逃走したエリコやワイレンを捕らえて拷問するが、手伝わせたクミコにスタンガンで打たれ、エリコとワイレンに腹上死させられる。
- ワイレン
- ラオタイ・ローの遺伝子から作られたエリコの二次クローン。エリコと完全に同じ遺伝子を持っている。黒幇の中では大きな権力をもって尊大にふるまっているが、根はエリコと同じように臆病で、気を紛らわせるための女装も覚える。エリコに説得され、ラオタイ・ローを裏切って殺してその後釜に座るが、警視庁の特殊部隊に撃たれる。
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