彼らが、そのバーへ着いたとき彼は既につぶれていた。
合成樹脂のカウンターへ突っ伏し、酒の海に溺れた兵隊に同情の色も見せずマスタはお処引取る様彼らに言渡した。作戦や演習の後に集まり大騒ぎをするいつもの店である。
「わるいなぁ。」
「なんら。おまえらも、のみにきたのか。おおーい。みんなに、さけ、だしてよ。」「おれの、おごりだからさぁ。」
「お前なぁ。」
迎えに来た男達は一同頭を抱えた。何時もくる兵隊が一人でかなり飲みあげているらしいので引取って欲しいと連絡が有り、聞いてみるとどうやら通報を受けた当直のM.P.の知り合いらしい。そこでいろいろ手を回し知り合いの同僚で残っていたものを捜しだし、大事になる前に連れ戻した方がいいと知らせてやった。
「おい。」
「あれ。たいちょお。なんでこんなところにいるんだ。」
「おい。」
「よったかなあ。たいちょおのげんかくみるなんでなぁ。」
「・・・おい。」
「よも、すえってか」
「ローレンス・ブライアント少佐。いい加減にしないか。」
ケタケタ笑うランスにダンテ隊長の鉄拳が下った。隊長のボディ・ブロウをまともにくって、ランスは店の端まで飛んでった。はでな音をたててイスが飛び散る。左右にいるロッドやラムが止める間さえなかった。それでも正気が戻ったのかランスは瞳にアブない光を宿して反撃に移ろうと、ダンテ隊長に飛びかかっていった。
「あのひとが一人でおとなしく飲んでいるから何かあるんじゃないかと思ったのになあ。」
後悔しているマスターをよそに騒ぎはどんどん大きくなっていた。
店の内部が最高に混乱している最中、ダンテ隊長はランスを抱え店から撤退していた。後に残った陸戦隊の隊員は人数の減少をカモフラージュしながら徐々に撤退し店の者が気づいた時には騒ぎの元凶達は消え去っていた。
「あれ、たいちょーは?」
「さあなぁ。どこへ行ったやら・・・。案外とんでもないlことになっているかもなあ。」
「?」
部下達の勝手な臆測を知ってか知らないのか、街頭で派手なくしゃみをふたつ、みっつ放つとタクシーを捕まえるために、すっかり泥酔したランスを抱え直す。
「くっそうデカくなりやがって・・・。」
タクシーは思ったよりも通らず、くたびれきったダンテは手近にあったシティホテルにねじこみ部屋をとった。深夜ということもあり、ダブル・ベッドの部屋しかとれなかったが、その部屋へ行きランスをベッドに放り出そうとした。
たが、なにかにつまずき二人をしてベッドに倒れ込んだ。
「くーーーー。ん? おい。何をするっ。」
「グロリアーああ、ちっくしょう。あんな男より、オレがっっっ。」
ダンテはランスに抱きしめられ、そして・・・。
そして翌朝出勤した二人の間は妙によそよそhしく、ロッドやラムが見知らぬ青痣がランスの顔面に、ダンテ隊長の首筋には、とってつけたように絆創膏がはりつけてあり、何があったのか絶対に話そうとはしなかったが視線さえあわせない二人に、こんな噂が吉の中にまことしやかに流れた。
グロリア某嬢にこっぴどくふられたランス隊員は、部下思いのダンテ隊長が体をなげうって立ち直らせたがどうやらあの二人はできているらしい・・・。
と。