天ちゃんの・徒然草子
特別番外編
見果てぬ夢を追いかけて……
天羽[司法行政卿]孔明
作家になりたいと思い続けて、早や二十年近くが過ぎ去ってしまった……。
今から数年前、ゲームで有名な光栄で発行された三国志系のアンソロジー集に自分の書いた短編小説を掲載してもらった時には、これでぼくの未来には作家としての道が開かれたと思ったのに、である。いや実際、あの後その光栄から長編を出版してもらう話もあったのだ。にもかかわらず、諸般の事情からその話は立ち消えてしまい、現在に至っているのだ。が、しかし、作家になる夢を捨ててしまった訳でわない。何とか今年こそは、何とか今年こそはと自分に言い聞かせ、今日現在もいくつかの出版社に渡りをつけて、企画書などを出しながら売込みを続けている所である。
果たして今年、自作を出版できるのかどうかは実際よく解らないけれど、それでもなんとか今年こそはと見果てぬ夢を追い続けているのだ……。
さて、折角の機会なので、その、今から数年前に光栄から出版してもらおうと思っていた長編(というか、連作短編集)の設定資料をここに掲載させてもらおう。実際に書き上げた作品とは色々と違っているので、掲載しても大丈夫だと、思う……。
もしも出版社の関係者でこの設定資料を読んで、自社から出版してみようと言う貴重な意見があれば、この本を出版している青年人外協力隊に連絡をしてほしい。ぜひ、ぜひ、である。……と、宣伝もしておこう……。
- <<タイトル>>
『浪速奇譚・さくら長屋の事件簿』
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第一話 |
「桜下の狐」 |
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第二話 |
「神かくしの村」 |
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第三話 |
「質屋蔵の猫騒動」 |
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第四話 |
「羽根犬騒動」 |
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第五話 |
「米問屋の盗賊」 |
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第六話 |
「寺町に棲む鬼」 |
- <<主な登場人物>>
- 治兵衛店(通称・桜長屋)とその住人。
- 大坂上町の一角にある、二棟が向い合せに立つ裏長屋。
一方が二階建ての四軒長屋で、もう一方が平屋建ての五軒長屋になっている。
差配の治兵衛の家は、二階建て側の並びにある一軒建。
二棟の入口にある露地木戸の所に、樹齢百年にもなろうかという大きなしだれ桜の木が一本生えている所から、この長屋は桜長屋とよばれている。
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(1) |
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- 差配(大家)・治兵衛(五十歳)。
元は夢屋と名のる有名な義賊。十年程前の、ある事件をきっかけに盗賊をやめる。
- 女房、鶴(四十歳)。治兵衛を、もと夢屋であると知っている。
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娘、お袖(十四歳)。
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(2) |
二階建て側の店子。 |
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- 鈴(十八歳)と、仙吉(二五歳)の兄妹。
兄の仙吉は、飾り大工職人。
妹の鈴は、近所の子供に読み書き算術を教える。
実はこの兄弟、二人して、鞍馬流の忍術の使い手。
- 植木屋職人、与兵衛(三十六歳)。
女房、お美津(二十八歳)。
娘、菊(七歳)。
- 蘭学医者、宗庵(四十歳)。
手伝い、文七(二十二歳)。
- 研師、藤五郎(四十四歳)。
女房、おゆう(四十二歳)。
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(3) |
平屋側の店子。 |
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- 駕篭かき、喜六(三十歳)。
- 駕篭かき、清八(三十二歳)。
- 羅宇屋、竹蔵(二十八歳)。“かまいたち”という二つ名をもつ、有名な掏り。
- からくり儀右衛門の店に手伝いに行っている、源助(二十九歳)。
- 面打ち師、友次郎(二十二歳)。
空き部屋であった所に引越してくるのだが、彼の正体は年を経た狐。狐としての実年齢は、百歳を越えている。
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- <<関連年表>>
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寛政十一年 |
(一七九九年) |
からくり儀右衛門・誕生 |
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天保五年 |
(一八三四年) |
大坂上町(おおさかかみまち)・儀右衛門
三五歳
無尽灯製作開始。 |
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天保七年 |
(一八三六年) |
天保の大飢饉、米の値段が上がる。 |
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天保八年 |
(一八三七年) |
二月、元大坂奉行所与力・大塩平八郎
大坂で乱をおこす。大坂の五分の一が灰になる。
京都伏見へ引越す。 |
- <<第一話の、簡単なあらすじ>>
- 江戸時代、天保の頃。大坂上町の一角に一風変った裏長屋があった。
二階建ての四軒長屋と、平屋建ての五軒長屋が向い合せに建っていて、二階建て側の露地口に、差配の治兵衛の家が建っている。その治兵衛の家の角と、平屋側の長屋との間にある露地木戸の所に、樹齢百年にはなろうかという大きなしだれ桜の木が一本立っているところから、この長屋は、本来の治兵衛店とは呼ばず、さくら長屋とよばれていた。
この長屋が変っているゆえんは、もちろんそれだけではない。
長屋の住人もまた、一癖も二癖もあるような者達が集まっていて、この頃の浪速で起こった奇妙な事件のいくつかを、解決していた。
- 天保五年、春。
一昨年前の天保四年におこった冷害や天候不順、さらには風水害などによる全国的な米不足から、米の価格が高騰し始めていた。
それでもさくら長屋のしだれ桜は、例年にもまして満開に咲き誇っていた。
そんなしだれ桜の木の下に立ち、じっとその桜を見上げる一人の若者があった。
色白で、すこぶる男前の彼は、友次郎という面打ち師であった。
友次郎は、それまで空き部屋だった平屋側の五軒長屋の一番入口の所の部屋へと引越してきたのだ。
この友次郎、実は、百年以上の齢を経て、妖術をえた狐である。
話は百年程前に遡るが、未だ生れたばかりで妖術もつかえない幼い狐であった友次郎と、紀州の山に生えていたこのしだれ桜との間には、因縁あさからぬものがあった。
その因縁話は第六話『寺町に棲む鬼』にて明らかになるのだが、ともかく、そのしだれ桜のある浪速の町が、三年後の天保八年、大塩平八郎の乱と、それに続く大火によって焼失の危機にある事を知り、しだれ桜を守るためにこの長屋へと引越して来たのだ。
- さて、友次郎がさくら長屋に引越してきて来て幾日かがたったある日。同じ長屋の植木職人の娘、菊が行方不明となる事件が起こった。
その菊を、四天王寺の境内にある林の中で怪我をしている所を発見し、無事に保護したのは、寺小屋の先生をしている鈴と、友次郎であった。
この事件をきっかけに、鈴は、友次郎が狐である事を知るのだが、彼の心根の優しさに、じょじょにひかれていくのである。
その日の深夜。はらはらと散りゆくしだれ桜の木の下で、その様をじっと見上げる一匹の狐と、その傍らにそっと佇む鈴の姿があった……。
まっ、以上のような具合である。
妖怪はでてくる、忍者はでてくると、かなり面白い作品になっているんですよ。完全版、日の目を見ることってあるのかなぁ……。