第十三話

清水宏祐

 さて、大分、昔の話やねんけど、僕がまだ小学生かそこらやった頃、うちの近所にもいわゆる「幽霊屋敷」っていうのがあって、ある時、附近の小学生らが5人くらいで、「探検しよ」てな話になって、行ったらしいねん。
 5人で連れ立って、その家の前まで来てんけど、もちろん鍵が締まってて入られへん。そこで裏へ回ってみたら、勝手口の鍵が開いとったんやて。
 ほんで、ギィーっと開けて中へ入ってはみたものの、こわあて誰もそこから奥に入られへん。そうこうするうちに中の一人が「皆だらしないなあ、俺が行ったるわ」言うて、ずんずん奥へ入っていってんて。ほかの子らは、やっぱり怖いもんやさかい、入り口のとこで待ってたんやて。
 しばらくして、奥の方で「きゃあー」っていう凄い悲鳴が聞こえたんやて。
 「そら来た」っていうんで、みなびっくりして逃げ出して、それでもまあしばらく走ったとこで立ち止まって、「みんな、おるか」言うたら、全員そろてたんやて。「ああ、よかった」言うて、「それにしても、よう一人であんなとこ入って行けたな。何があったんや」って、A君に、B君が、聞いたんやて。
 そしたらA君、「俺、入ってへんで。入っていったんお前ちゃうんか」言うんやて。他の子に聞いても、誰もこわあて入っていったもんおれへんかってんて。
 別のグループが違う日に行ってみた時は、裏も表も鍵が掛かっててはいられへんかってんて。



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