Walkman2 宇宙の騎士『メカロック』編

岡村[体操のお兄さん]隆司

 時間はほっといてもてめえ勝手に流れ、流行は気まぐれに変化する。「売れなきゃゴミよ、ゴミなのよ!」のこの世の中。環境保護さえ大量消費される中、み〜ん〜な〜、元気に消費してる!「考えちゃダ〜メ、理屈よりま〜ずは財布の紐をゆるめ〜て〜」という訳で皆様方、元気に経済に貢献していますか。
 それでは字数稼ぎの前だし終えてまずは説明。大抵の商品には多少の程度の差はあっても『主流』と呼べるものがあります。勿論の事ですが、別に『主流』だからといって『とってもナイス』な商品とは限りません。人によっては頭痛を伴うかも知れませんが、それぞれに思い浮かぶ商品があるはずです。さて、確実に売れる『主流』とは別に「『光』あるところに『影』がある」という訳で健闘むなしく主流になれずに消えていく商品があります。そして最初から『主流』ではなく『二匹目のどじょう』を狙って販売される物があります。さらにその中には極少数でありますが、まるでWW2で、とにかく日本が大勝利するような「なに考えとるんじゃ〜」と思わせる『コテコテのゲテ物』があります。
 さてそのような商品は独断で分別すると次のような三種類に分類できるでしょう。

  1. 担当の「趣味」「思い込み」が強すぎてチェルノブイリした物。
    時としてチェルノブイリし過ぎて、会社そのものがなくなる時があります。
  2. 古い物を「今風」にしようとして外したアニメの「リメイク版」のような物。内容を考えずに外見や説明文を変えた物も含みます。
  3. 客をバカにしてなめてかかり、客にバカにされる物。
    「売れ筋」と名前が一字違いの物など「バチ物」の類。

となります。
 上記のような商品はメーカーとしても「安い開発費で利益を上げる」・「とにもかくにも商品を出す」といろんなお家の事情で誕生したわけです。ま〜ぁ〜“賢い消費者の皆様”は別にメーカーに義理立てする必要はない訳でです。「欲しい物が欲しい」をしていればいい訳ですが、小売業の方はお客様の多種類の「欲しい物が欲しい」に振り回されながら付き合いも含め「浮世の義理と打算」に絡められ、実績をあげている『売れ筋』ばかり「欲しいの!」とばかり言えません。そのような訳で小売店には時として「?」が、色褪せてほこりにまみれて棚の肥やしとして残って、店の歴史と共に歩む訳です。
 と、いうような知ったかぶりを一言加えてから紹介するのは、プラモデル“童友社”製『1:700アニメカラーモデルWalkman2 宇宙の騎士「メカロック」』つまり、ま〜ぁ〜これもその様な変な物のわけです。
 『や〜ぁ〜君達、君は Walkman2 宇宙の騎士「メカロック」を知っているか?』
 「よい子の為に一言プラスすると、知らなくても大学には入れるから安心してね」と前振りして宇宙の騎士「メカロック」とはどの様なプラモデルか紹介しましょう。
 資料−1……展開した外箱のコピーをごらんください。上面にメカロックの全身が描かれていますね。次に資料−1の矢印A、外箱側面に宇宙の騎士メカロックについての説明(かな?)をごらんください。コピーでは読みにくいので、いかにこの説明文?の全文を載せます。

 文明は進歩するほどより巨大なエネルギーを必要するようになる、という性質をもっている。21世紀、宇宙へ飛び立とうとしている我々は、当然そのエネルギー資源を宇宙に求めるべく、今から準備検討には入らなければならない。太陽系内の資源は、今の我々にとって無尽にも等しい。その資源利用の最終的な形態が、ダイソン球であり、ニーヴンの「リングワールド」である。そこで開発されたのがウォークマンのデルマックとメカロックである彼らは人間が考へられるすべてのメカとエネルギーをとうさいした強力無敵なコンピューターロボである我々は、この模型を作って21世紀の宇宙開発を考へ直さなければならない。
(、、の部分−−《。》の欠落など含む−−原文のママ)

 なぜ『ダイソン球』で『リングワールド』なのか、資料−1の『メカロック』の全身を見た後では思わず考え込んじゃうわけです。思わず私なんか21世紀の宇宙開発を考え直したくなりました。
 資料−1からはその他に次の事が読み取れます。
 矢印Bより、このプラモデルの定価が500円であることが判ります。
 矢印Cより、この模型が『ガンダムプラモブーム』の頃の製品らしいことが判ります。ここで少し脱線しますが、矢印C部分で私が『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ(正確には『さらば宇宙戦艦ヤマト』以降のシリーズ)ではなく、『機動戦士ガンダム』シリーズと判明した理由を書きます。多分、当時輸入された『STAR WARS』のプラモデルの影響を受けて『宇宙戦艦ヤマト』シリーズはディスプレイモデル化したと考えられる訳ですが、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのスケール表示はあくまでもディスプレイモデル化した結果の現れにすぎないと思われるからです。当時のバンダイのカタログ(『THE HERO』1979〜1980)の『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを見るとスケール表示がされていないことからも、そのことが考えられます。むしろ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズは、スケール表示よりも完成品の大きさを揃えることで価格の統一化を計り、消費者がコレクションしやすいようにしたと考えられます。一方『機動戦士ガンダム』シリーズには、『モビルスーツ』といった(設定で)大きさが統一されていたことが幸いしたのでしょうが、最初の製品である1/144スケール『機動戦士ガンダム』が発売された1980年7月のバンダイの情報紙『模型情報』のなかで、商品展開の『売り』としてスケール統一を全面に出しています。余談の余談になりますが、当初から『機動戦士ガンダム』シリーズが、関節可動のディスプレイモデルを狙っていたと考えられない部分があります。その後の『ガンダムプラモブーム』の影響によるアニメのプラモデルの流行と、スケール表示の流行から私はこの商品の販売時期を判断しました。
 さて、本題の宇宙の騎士「メカロック」に戻ります。次に模型の内容を見てみましょう。資料−2に組み立て説明書を載せます。この組み立て図からも判るようにモーターによって車輪走行し、車輪の回転をロッドとクランクで伝えて、両手を振って足踏みをします。他にスプリングによるミサイル発射ギミックがあります。デザインと内蔵ギミックから考えると、基本設計はかなり古い物と考えることができます。『ホビージャパン』1983年12月号の“小田雅弘”構成・解説の『アンティークキットセレクション』によると、1965年(昭和40年、唐突ですが私の生まれた年であります)頃がこの手のモータライズロボットの全盛期だったそうです。この記事の中には残念ながら『メカロック』の記述はありませんが、同じメーカーの製品として『原子電光ロボット スパークX』『原子発光ロボット キングスモック』のボックスアートが白黒写真で載っております。また「ロボット製作で有名な“相沢次郎”氏が、当時のモータライズロボットのギミックの監修をしていた物もある」といった噂からその線で近所の図書館を調べたのですが、残念ながら何も判りませんでした。どなたか相沢次郎氏について詳しい資料をご存知のかた、教えてください。結局、この商品が最初に発売された時の『メーカー』『商品名』は判らずしまいですが、製品のプラスチックの成型状態・金型の形状等も考慮に入れるとかなり年期の入った商品のようです(ええかげんで、ごめん。私、淡白なの)。
 少年老い易く、銀筆塗りがたし。ほな組もか。

  1. 結局、模型なんて物は精神衛生上組んで遊ぶに限るわけで、組み立ててみました。もしかしたらこれを読んで買ってきて作る人(そんな暇人、おるんかいな?)のために気がついたことを書きます。
  2. ゴムタイヤは走行中に外れやすいので、外れにくいように手を加えることをお勧めします。私は瞬間接着剤で固定しました。
  3. 部品No.28,29が余ることから、最初の頃の製品はロッドの固定にゴム管を利用していなかったようです。ゴムはプラスチックを溶かすので、長期保存を考えるかたは、ビスなどによる固定を考えることをお勧めします。
  4. 組み立ては付属の接着剤よりも、瞬間接着剤をお勧めします。
  5. 完成品はかなり早く進むので、内部に空きも多いことですし、部品No.36が透明なのを利用して点滅球を仕組むと面白いでしょう。

完成品は一切改造を加えずに製作しました。ウチで腕を振りながら元気よく走っております。個人的なことを書くと、キャラクターモデルも「このように作るのが正解」といったスケールモデルで嵌まった罠に懲りずに嵌まっていただけに素直に組むと楽しいこと、楽しいこと。何にでも言えることだけど、結局自業自得なんだけどね。辞めちゃうって手もある。自分が欲しい形を求めて、キットに限らず「切った・貼った・盛った」するもよし、ガレキ(ガレージキットの略。本当の『瓦礫』もなかにはある)に嵌まるもよし。しかし、まぁ〜『素組みが楽しい』といったところでおしまい。で〜も、わたしゃ〜ひとつ組んだら充分だわ。

 やっぱ、「結論」出しとった方がええわな。

 私は宇宙の騎士メカロックをバカにするつもりはまったくない。内容は充実しているので、ギヤーボックスなどから考えて、逆にこの値段で採算が取れたかどうか気になるぐらいだ。むしろ、この商品を笑うよりはとにかく売ろうとしたメーカーの方法に複雑な気持ちになる。どうしても私には、この商品から『ダイソン球』や『リングワールド』が見えてこない。コテコテのマニアから見たら、早川の青背を全部読んでないから判らないのかもしれないけれど……。別に短い人生、無理をしてまで読みたくもないが。メーカーも『お仕事』だから仕方がないのかもしれない。「『SF』を変な風につかうな!」なんて正統派ぶるのは私の趣味じゃない(酒の席でのギャグでするのは楽しいかもしれない)が「もう少し何とかならなかったのか?」と言いたくなる。商品が私の(10年も経ったら変わってるだろうけど)今の趣味なだけに複雑である。あ〜複雑かなは人の世と、適当にごまかして終えておこう。

 もしこんなんでも堪忍してくれるなら、次はMGC製『SIG SF』モデルについて書きたいな。『SF』じゃないからダメ?ところで『SF』ってな〜に?




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