7月X日 ヤボ用の帰り道『蒼穹の軌道爆撃隊』を買う。ウレシイ事にシュピーゲル級スペースシャトル『イントレピッドU』の図面が載っている。例会の酒の席で、「『イントレピッドU』をフルスクラッチして同スケールのプラモの『B52』に載せると絶対うけるで〜。」と一部の人に無責任にわめいていた訳だが、来春の『ワンフェス』で何処かのアマチュア・ディーラーの出すガレージキットを待つのも面倒だし、『B52』のキットのストックもあるから、無職で暇も有る内に自分自身で作る事にした。
縮尺や工作方法を決めて、「図面」を作ってやる(?)。
最初に、製作する『イントレピッドU』の縮尺を決めます。いつか気がむいたら『B52』の背中に乗っけるかも知れないので、市販されているプラモデルの『B52』の縮尺に合わせる事にしました。さて『B52』のプラモデルは1/72から1/700まで在りますが、ストックの中から完成後の見栄えと収容スペースの兼ね合い(『B52』は実物の全幅が大きいので小スケールでも完成品は大きい)もあってドラゴン社『B52』のスケールである1/200に合わせる事にしました。
『蒼穹の軌道爆撃隊』の図面をじ〜っと見ると、一見複雑そうに見える『イントレピッドU』の形状も円錐や直方体等のブロックの組み合わせで出来ています。そこで、そこで、『イントレピッドU』胴体を単純なブロック毎に分け、各ブロックをバルサ材で一回り小さく作ります。そうして出来上がったブロックを組み上げた上に、それを芯としてパテで覆い、削り出して製作する方法を選びました。パテはエッジを出しやすく、エポキシパテの様に手が痒くならない事(体質によります)からポリエステルパテを使用(反面臭いのが難点)。こうして製作した胴体にプラ板(模型店で購入可)から削り出した垂直尾翼やキットから流用したノズル等の部品を接着してやれば完成できるわけです。
さて、「図面」がある方が作業が楽なわけですが、私は作図が苦手なので『蒼穹の軌道爆撃隊』の図面をコピーして楽をします。ところでこの本の図面の「上面から見た図」は中心線から左右の寸法に約1mmのずれが有るので作られる方は注意して下さい。スケールモデラーが聞くと青スジ浮かべるかもしれませんが、本の図面は約1/417(10mが24mm。これが実は典者)なので1/200にするために多少の誤差は当たり前とわりきって2.1倍に拡大コピーしてやります。この時、同じ図面を余分にコピーしておきます。ところでコピー機の機種によっては倍率が200%までしかない物も有ります。私は一度144%に拡大した物を更に145%拡大して対応しました。さて、最初は気がつかなかったのですが、このコピー機の倍率って奴が実は典者なわけです。(今回は影響は無かったが……。次回への前ふりです)
ついでに『イントレピッドT』も作る。
足りない材料を買い出しに行った模型店で、ハセガワ「1/200スペース シャトル オービター」(定価一千円)のプラモデルが在ったので購入。比較用に『イントレピッドT』も素組で作る事にしました。このプラモデルは出来も良く、組やすい物でお勧め品の一つです。塗装はまず全体をタミヤのスプレー形式の下地仕上げ材「サフェイサー」(粒子の細かい液状パテ)で表面を整えてやり、乾いた所でグンゼ産業のスプレー形式の「ホワイトサフェイサー」を塗ってやります。グンゼの物も同じ下地仕上げ材の一種なのですが、同社のラッカー系の「艶有り白」塗料と比較しても、素材の食いつきと発色の良さから白の塗料として使用が出来、更にタミヤの物と違いラッカーシンナーで薄められるので、筆塗りの時に部分的な修正やシンナーの種類を変えて乾燥時間の調整が出来ます。一方タミヤの物はグンゼの物より素材への食い付きが良いようです。細かい部分の塗装はキットの組み立て説明図の指定を基に塗装。但し窓のみは『イントレピッドU』と並べた時に違和感を無くす為に「銀」で塗装しました。なお塗料は全てグンゼのラッカー系を使用しました。こうして実在する「スペース シャトル オービター」のプラモデルを組んでみると実物がいかに大きいか判ります。(垂直尾翼の厚みなどは驚きです。)
『イントレピッドU』の製作。
『イントレピッドU』の製作方法を次に書きます。参考になれば幸いです。まず芯となるブロックをバルサ材から作ります。各ブロックの寸法の目安として最初に余分にコピーした図面を鋏で切り取りバルサ材に貼っていきます。バルサ材はなにも作る『イントレピッドU』の幅の物を用意する必要はありません、ブロックの分割のしかた次第です。次に、糸ノコやピラニアノコ等でブロックを切り出してまず瞬間接着剤で組み上げます。ところでこの瞬間接着剤、雑貨市などで撃っている一本百円等のノンブランド品(「ツルリンZ」とか)よりもメーカー品の方が接着力は上です。私は同程度の接着力で他社より百円やすいダイエーブランド品を使用しています。今回2g入りを5本程使いましたが、保存が難しいので大量に使用するプロでも無い限り大容量の業務用瞬間接着剤の購入はお勧めしません。
さて、次はそうしてできた固まりを図面を見ながら、カッターや180番の布ペーパーで『イントレピッドU』の形にします。この時、全体をポリエステルパテで覆う事を考えて曲面や段差の部分を強調してやります。こうして出来上がった芯に1.2mmのプラ板から切り出した垂直尾翼や機体後部のファインをまず接着してやります。芯だけならば3時間もあれば出来ます。この時、出来あがった芯が上下左右対称になっているかよくチェックして下さい。私はここでちゃんとチェックをしなかった為に、塗装の手前で左側をまるごと作り直すへまをしてしまいました。
こうして出来上がった芯にポリエステルパテを盛っていきます。一発で形を出そうと思わず、多少多めに盛る程度にします。模型専門店で入手しやすい事と加工がしやすい事で、パテはタミヤの物(120g入りで980円)を使用。完成までに私はパテを3本使用しました。この時ヘラが必要ですが、ペインティングナイフ等の金属製の物より、ゴム系接着剤に付属しているポリエチレン製のヘラの方が、ヘラにこびりついたパテの残りを処理しやすいのでお勧めです(乾かして剥せば良い)。乾いたら木工用のヤスリで大雑把な形を出した上で、180番の布ペーパーで磨きます。この時、大量の粉が出ますので、小さい子供の居る家庭や気管支の弱い方は気を付けて下さい。磨く面に水を掛けて布ペーパーで磨き、磨き終わったら絶えずバケツの水で洗えば多少は粉が舞う事は防げます。なお、もし手にはいるならば布ペーパーよりも、耐水ペーパーの使用をお勧めします。この作業は単純に盛ったり削ったりの繰り返しで根気がいりますが、気に入った形が出るまで作業を続けます。このあたりまで来たら多少の歪みは諦めて完成させる事をめざして頑張ったほうが、精神衛生上は良いみたいです。
こうして出来上がった本体に t 0.3mmのプラ板で方向舵やエアーブレーキを作って貼ってやります。すじ彫り表現でもいいのですが、こっちの方が楽に左右対称のものが作れます。大きいノズルはバンダイの1/100「ZZガンダム」のメインノズルを、小さい方はマルイのつづみ弾を加工して使用。ノズル周辺はプラ板やウォーターラインの武器セットや糸ハンダでそれっぽく作りました。前部エアーロックは枠を2mmのプラ角棒で、エアーロックの円形は小型ノズルに使用したつづみ弾をスライスして製作、シャッターは t
0.3mmのプラ板で作り両面テープで取り外し可能にしています。上面ペイロードハッチ(?)および後部エアーロックはすじ彫りで表現。残りのモールド(細部)は t
0.3mmのプラ板や糸ハンダを加工して表現しました。
下面のタンクは、機体下面に密着させる為に、機体下面の形状が決まってから作ります。作り方は本体と同じですが、まずある程度形にした物を作ります。次に、機体下面にグリスを薄く塗り、タンクの接触面にポリエステルパテを盛り付け機体下面に押付けます。あとは乾くのを待って余分な部分を削り取れば隙間の無いタンクの完成です。塗装時に楽する為と、いつか気が向いたら爆弾倉を作るかも知れないので真鍮線と両面テープで取り外し可能にしています。なお上面のタンクは今回は合宿に間に合わすのを優先したのでパスしました。
『イントレピッドU』の塗装とマーキング。
塗装方法は『イントレピッドT』と同じ手順で行いました。黒い部分の塗りわけは「軌道傭兵」5巻の表紙と図面からおいしいところをチョイスして使用、製作の際生じた歪みをごまかす為にフリーハンドで「つや消し黒」を筆塗り塗装。なお、下面は筆むらを防ぐ為に吹き付け塗装で仕上げました。窓は機体に直接「銀」で塗っただけ。ノズルやシャッターは「銀」に「黒」や「赤」を加えた物で塗装しました。
機名のマーキングは両機とも楽をする為に、インスタントレタリングをハセガワの白無地デカールに転写して製作。窓の下にハスミ大佐の名前を書き込もうとしましたがフル・ネームが判らずパス。機体の国籍コードや「ハスミオービットシャトル社」の社章の設定もまだないので今回は保留。誰か設定してくれると個人的にはウレシイ(スポンサーのマークがベタベタ貼ってあるのもいいかもしんない)。8月の例会での「丸ハ」マークのアイディアもシャレで作ろうとしたが、今回は時間的な余裕が無くパス。製作するならば、ワープロのカラーインクリボンとインスタントレタリングの組み合わせに、クイリアデカールとコピー機の組み合わせで対応できるとおもう。(先生、これで「シャーク・マウス」も可能でっせ。)
「結び」
と言った訳で何とか完成。実は私、これが初めて完成したフルスクラッチ作品でして、実は余りえらそうな事は言えない。さて、この『イントレピッドU』を合宿で谷甲州先生に見せたところサイズに問題がある事が発覚、さらに翌日デザインに関ったある人の指摘で勘違いで造型している点が数箇所あることも判明。と、言った訳で『こうしゅうえいせい 正』を参考にもう一度1/200を最初から作り直す事にした。と、言った訳で次回へと続く…かもしれない。(何時出来るかは自信無し。)
1993.8.26
「イントレピッド」(1/200)と
「イントレピッドU」(同スケール)
「イントレピッドU」を下から写す
- タンクの配置・形状はカタカナの「ハ」の字になるように強調。
原デザインがハスミ大佐の「ハ」の字を意識している、と解釈したのですが……
「イントレピッドU」と千円札との比較
- 1/200だとこんな大きさになります。
なお右隣に写っているものが現在製作中の某氏の設定(全長20m、全幅15m)に合わせた1/200スケールモデルです。
今回製作したような「蒼窮〜」掲載通りのサイズでは、同スケールのB52に載せることは難しい。