めーめの保健室

赤座[めーめ]千世

 はじめまして、めーめです。何故か『保健室』ということで書いています。思い起せば五月の大阪例会で、友人で入会したばかりの吉田[好きにして、けたけたけた]有加里隊員が例会レポートを書くことになった。しかし岩瀬さんの住所が何故かわからないと言うので、わたし経由で原稿を送ることになった。最初のうちはわたしも覚えておりニッコリ「原稿」と笑っていたのだが、いつのまにやらすっかり忘れちゃって落稿という事態になってしまった。この経過の中でわたしのどこに非の打ちようがあるのか言っていただきたい! でもここで私が『保健室』を書いているところから察するに、わたしがすごーく悪い子だということになるんだよなぁ。岩瀬さんに「落稿したからやろうね」ってニッコリ笑って言われたら、誰だって首が勝手に縦に動くじゃないか。まあこういう事をうだうだ言っていても始まらないので『めーめの保健室』を開催したいと思います。

 五月二六日に厚生省のAIDSサーべランスから発表のあった『急増AIDS! 登録者半年で二十数人増加、過去最高の八四人に!』が目を引いたので勝手にAIDSについて書きます。
 AIDSは日本名で『後天性免疫不全症候群』と言われ、症状を総称したものであり、あくまでも症状総称名であって病名ではない!(まだ人間社会に存在して二十数年弱の若輩者ですから)
 私たちが住む環境にはいろいろな微生物が存在しており、その中には人体を危険に晒す病原体が多く含まれています。大抵の微生物(細菌・ウィルス、などなど)は人間の生体内に侵入を試みますが、生体内にある防御機構によって阻止されます。生態の防御機構は目に見えるものとして、涙・鼻汁・耳垢・淡や粘液物質・線毛があり、目に見えないものとして免疫機構があります。AIDSに多く関わっているのはこの免疫機構であり、その中でも『Bリンパ球細胞』と『Tリンパ球細胞』の二種類です。Bリンパ球は細胞の免疫主体となって特定の物質(専門性)に対抗します。(一般的には抗体反応という) Tリンパ球はBリンパ球の働きを助け、抗体生産の力になり、感染した細胞を殺す力と免疫系統の細胞をコントロールする力を持っています。(他にももっと難しい事もやっているんですけどね) とりあえずは感染の立場で重要な役割を担っているわけです。
 AIDSはこのTリンパ球に親和性が有り、AIDSウィルスはT4リンパ球細胞に取り付き、RNAの逆転写酵素によってDNA転写します。要するにAIDSウィルスはT4細胞を乗っ取るということです。そしてAIDSのDNAを持ったT4リンパ球をじゃんじゃん増やし、病原体を含む微生物への抵抗を減らして行きます。読んで字の如く、免疫を不全にするということです。この場合の不全ということは「病原体も微生物も何でも来い。来たらどんな病気にもかかってやるぞ」という怖いもんなしの『AIDS発症』となるわけです。
 またAIDSは医療者の立場から、ふたつに大別して扱います。四週で自分のものにする保菌者と、実を結ぶのに10年もの歳月をかけた発症者です。即ち、AIDSで死のうと思えば約10年。だから2002年に死んでいたいと思うならば、今感染するしかないということです。
 どういう経過を辿っていくかは一般の感染症と同様、どんどん症状はハードになっていきます。下痢・発熱から始り、易疲労感・体重減少・リンパ節膨脹。末期には日和見感染症(肺炎・膀胱炎・カンジタ症)カポジ肉腫(要するに紫斑症だけど、この病気が発見された時は癌の一種だと考えられていた)などが発症します。
 感染経路は大きく三つに分けられます。

  1. 男性同性愛者間や、異性間の性行為による感染。
  2. 麻薬などの注射器の共用や、HIV汚染血液の輸血による感染。
  3. 感染した親から生れてくる子供へ、母子間での感染。

 感染効率、感染経路の割合は次のとおりである。

感染経路  血液  母子感染  性行為 (膣)
(肛門)
 薬物注射  医療従事者
感染効率 90% 30% 0.1〜1%
世界全体のHIV
感染の中での割合
3〜5% 5〜10% 70〜80% 60〜70%
5〜10%
5〜10% 0,01%

 表を見ていただいたらわかりますが、感染方法(感染経路)は性行為での感染が全体の70〜80%もしめています。
 これからも考えられるように、

  1. 注射針を共有しない。
  2. AIDS感染の疑いのある血液を使用しない。

の他に

  1. そーゆーことはしない。
    まあ人間も動物ですから本能というものが存在していて、理性というもので一生行動を抑制することはできない。したがって他に方法を考えなくてはいけない。
  2. 相手を特定する。
  3. 必ず避妊のためのどーぐを使用する。
  4. おかまさんにならない。
    最近流行っているらしいんですが、これは避けるべきことだと思う。

 予防法っていうとこんなものかなぁ。
 それから最後になりましたが、一般的に質問が多いのは、
  『kiss で感染るんですか』
  『歯医者さんで感染るんですか』
  『食器は共有していいんですか』
  『蚊に刺されてもいいんですか』などなど。
これらはいずれも感染できません。しかし、どーしても kiss でAIDSに感染したい人のために少し計算をしておきました。以下を参考にしてください。

 唾液中に含まれるAIDSウィルスの割合は 0.01パーセント以下である。つまり唾液で感染するには、30〜40リットルの唾液を吸収しなくてはならない。また、一日に出る唾液の量は大人一日平均1〜1.5リットルですから、すべての量を吸収するとして、20〜27日分必要です。

ということで長々と書いてしまいましたが、これで『めーめの保健室』を終らせていただきます。おそまつさまでした。




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