転職はいまや珍しいことではなくなりました。自分の希望の達成や生活向上のための手段として職業や会社を替わることは当然と受けとられるようになりました。私も故郷へUターン就職しました。これから転職を考えているみなさんの手助けになればと、私の転職体験を元に転職ガイドを始めます。
パート1 会社を辞める
転職するためには、会社を辞めなければなりません。しかし、簡単にはいかないこともあるのです。私の勤めていた会社は東京にある中堅印刷会社です。会社は業績もよく、順調でした。私は大学を卒業してすぐにこの会社に入りましたので、約八年勤めたことになります。
入社のきっかけは会社訪問したら、そこの経営者の息子さんが大学のゼミの先輩だったということで、一種の縁故就職です。息子さんはその後社長となりました。私の役職は営業本部管理係というところで、営業本部長(当時常務)の補佐役でした。主な仕事は資料作りです。
色々考えた末にUターンすることにして、まず報告したのは直属の上司である常務です。常務は私の辞意を認めてくれました。ポイント1
- 辞意をつげるのは、まず直属の上司にすること。いきなり辞表を人事に送るのは絶対だめ。
この時が一月の終わりで、社長には常務から報告してもらいました。
三月までは何もなかったのですが、三月に入り、会長より直接のひきとめを受けました。その後社長からもありました。結局五月の連休明けに、再度直属の上司である常務に辞意を表明し、本格的な業務のひきつぎに入りました。結局円満に退社したのは、8月でして、退職までに7ヵ月を要したことになります。ポイント2
- 円満退社のためには引継ぎをよく考えよう。
パート1は以上で終わりにしますが、おまけとして退職金の計算についてお知らせしましょう。会社によってだいぶ違うと思いますが、まず退職金は一定年数以上でないと支払われません。退職しようとされる人は自分の会社の規定を見てみましょう。
私の場合は満七年までの退職金基準額に七年を越えた月数の分が上乗せされて、合計額が算出されます。これを自己都合によるということで七掛されて支払われました。金額は全部で29万円弱でした。
支払いは辞めた翌月には振り込まれたように思います。
自己都合による退職金は減額されるのが普通だと考えてください。
首尾よく円満退社できたら、次は仕事探しです。
といっても、やめる前に次の仕事先が決まっているほうが、無収入の期間がなくていいはずです。
さて、私はUターン就職を考えていました。そのためにはまず田舎の就職情報を知らなければいけません。まず弟に頼んで地方版の就職情報誌を送ってもらいました。その実物をみての第一印象は「薄い。少ない」ということ。東京では、毎週分厚い就職情報誌を何種類もみていましたから、これには驚きました。種類も当然東京よりも少ないのです。
次に五月連休に帰省したおり、地元の職安(今はハローワークというそうです)にいきましたが、ろくな就職先がなくて厳しい現実を感じました。
でも、私はまだ楽観していました。「リクルート人材センター」に望みをかけていたからです。
私は横浜のセンターを尋ねました。横浜駅西口のビルにあります。まず電話してから訪問しました。持参したものは、履歴書です。受け付けでまず申し込み書に記入し、ついでアンケート用紙に記入し提出します。リクルート人材センターではひとりひとりに専属のカウンセラーがつきます。このカウンセラーとまず面接し、ついで適性検査をうけます。コンピュータの端末を使用するので、適性検査は予約性になっているため、時間がかかることもあるようです。私も午前中にでかけたのですが、適性検査は午後からになったので一度でなおしてきました。
適性検査の結果とアンケートに書いた希望項目とカウンセラーとの面談でカウンセラーが希望にそった会社を探してくれます。しかし、ここでも地元へのUターンは厳しいことがわかったのです。アドバイス
- 適性検査は要注意です。適性検査は知能検査みたいなものですが、ばかにしてはいけません。就職試験の際には非常に重視されます。実際に私の以前いた会社での経験からですが、適性検査のすぐれた人は断然有利です。
市販されている適性検査のテキストがあるのでそれで練習しておくといいですよ。リクルート人材センターはしかし相談は無料だし、そこで受けた適性検査の結果により推薦をうけた会社では、すでに一次試験は通過したとみなしてくれるのでたいへんに便利なところです。大都市近郊で転職先を探すならぜひ利用したいところです。
さて、地方自治体でも最近はUターンに力をいれていて、東京では地方の出先窓口に就職窓口を設けているところがあります。
各県の窓口が集まっているのは東京駅八重州口をでてすぐのところにやる観光会館?(たぶんこういう名前だったと思います)です。新聞で広島県もここにある出先で就職相談を開設したと知り出掛けました。ここでは地元のハローワークと提携し、FAXで情報をやりとりし、いいところがあったらその会社との連絡も行なってくれます。当然無料ですし、地元の会社についてもわかる範囲で教えてくれます。Uターンを考えているならここも利用したいところです。
さて、最終的に色々と動いた結果、私の就職先は親のコネによりあっさりと決定しました。母親が友達に相談したところ、人をさがしているところがあるということで、あっさりそこに決まったというしだいです。いちばん強いのは地元のコネです。私の時には市会議員さんにお世話になりましたが、まず地元の市会議員や県会議員の人は色々と世話を焼いてくれる人が多いようです。
親や血縁関係をあたって、この辺りの人にコネをつけてみるのがいいということで、この章を終わります。
パート3 その他雑感
東京と地方の差ですが、給与水準は地方が下です。基本給で私の場合、地元へ転職し一割ダウンしました。そのかわり親元から通うので生活自体は楽になりましたし、前のところとちがい大会社の関連会社なので福利厚生面では有利になりました。
SF活動にしても、けっこう地方でもやってます。人外協広島支部もありましたし、パソコン通信もあります。東京にもこちらに帰って来てからも何度も遊びにいってます。
公共交通機関が東京と地方では雲泥の差というのは、なんとかしてもらいたいものですが、地方もいいですよ。あなたも転職しませんか?
昨年の春が景気のピークだったのではないでしょうか。
バブルの崩壊といわれているように、不景気という風が吹き始めてきたようです。これは当然、転職をめぐる状況にも影響を与えます。現に大手企業では中途採用の計画を縮小するところが多いいようです。私の会社も仕事は忙しいのですが、昨年の夏以降、中途採用を一切行なっていません。夏までは盛んに中途採用を行なっていた会社なのに、方針をかえたのです。
これは思った以上に新卒の採用がうまくいき、来年の四月に新人がはいってくるまでは社内の人員の一時的配転で切り抜けられると判断したためのようです。これから転職しようと考えている人にとっては厳しい状況となってきました。
しかし、人材の流動性は確実に高まっています。いい人がいれば採用したいと考えている会社もまた多いのです。
これまでのように簡単に仕事が見つかるということは少なくなるかも知れません。ですが転職がまったく不可能になるということはないのです。これからはいかに自分をアピールし、いい職場に入りこむかを考える必要がでてくるでしょう。
パート5 自分をいかにアピールするか
「フリーター」ということばが最近はすっかりすたれたようです。自分の好きなように生きるという生き方も敏感に景気の動向を感じとり、定職につくことがやはりいいとなってきたようです。不況になっていちばん影響があるのがこういうアルバイトの人だからでしょう。
さて、今まで「フリーター」をやってきた人がいたとして、定職につくため、ある会社で面接をうけるとします。このフリーターは何をアピールしたらいいでしょうか。
まずかならず質問されるのが「なぜ、気楽なフリーターからわが社に就職することに決めたのか」でしょう。
「安定したいから」というこたえだけでは、会社は満足しないでしょう。この会社にとってこの人を雇えばどんな得になるのか、それをしっかりアピールする必要があるからです。
自分をアピールするのに便利なのは、各種の資格です。できるだけ公的な資格がいいでしょう。履歴書の資格欄はできるだけうめられるようにしましょう。前の職業とちがった職業につきたいと思った場合はとくに、なぜこの職業につきたいのか、またなぜこの職に自分がむいているのかをしっかりとアピールできなければ失敗するでしょう。
会社が中途採用者に求めるのは、今までの経験を自分の会社でもいかして活躍してもらうことです。今まで全然経験もないのに、雑誌の編集がやりたいといって面接をうけてもまずだめでしょう。ただし、若いうち(24才以下くらいまで)は前の職業の経験は関係ないといえます。本人のやる気と、性格で、会社は採用するかどうかを判断するでしょう。
だからある程度職業経験をもった人が、今までと全然違う職につこうとした場合は苦労することになります。
自分で本当にその職にむいているのか、十分考えたうえでの行動が求められるのです。憧れだけの転職はやめたほうが無難です。十分、考えましたか。それでもどうしてもある職業につきたいと思う場合は時間をかけて準備をしましょう。そして、できるだけ情報を集めて、アタックしてください。
それでは、あなたの転職が成功しますように。グッドラック。
女性社員には「二三歳の憂欝」があり、「二五歳の青い鳥探し」となり、「二七歳の悟り」で「三〇歳の壁」を通過となるそうです。
会社に入り、充実した仕事をしたいけど、現実の会社の論理に戸惑い、こんなはずじゃなかったと嘆くのが「二三歳の憂欝」。
自分には男子社員に負けない実力はあると考えているから、それを生かしてくれない会社に対して不満がつのる。
現状を変えたいと資格、留学、結婚、そして転職と動くのが、「二五歳の青い鳥探し」。そして結局転職しても、大して変わらないことに気付く「二七歳の悟り」。こうなると、なんとか三〇までにはと思ってきたことも、気にならなくなる。
以上はアサヒジャーナル二月二八日号に掲載された記事によりました。大学を卒業し、総合職として入社した人の気持ちを表現するとこうなるそうですが、あなたはどう思います?
さて、このページは転職のすすめですが、女性の場合、まず最初にことわっておきますが、転職しても大して状況は変わらないもんですよ。これはなぜなら、自分が変わらないからです。
「青い鳥」を追い求めるのは、「青い鳥」により変えてもらおうという他力願望です。ですが、自分の望むように変えてくれる「青い鳥」なぞ、まずいません。自分の意識からまず変える必要があるということです。それでも、転職を考える人には
これは私の独断ですが、女性社員は仕事に対して視野が狭いように感じます。転勤ということがまずない仕事で、しかも専門職ともなれば、職場も動くことはまずないでしょう。男性の場合は定期的人事異動が考えられ、必然的に現在の職場だけでなく他の職場の様子も気になりますが、女性はそういうことがないために現在の職場が視野に入るすべてとなりがちです。
会社の方針とか自分の会社の動向とかに関心が薄い気がします。
そういう状況で転職を考えたとすると、次の職場選びの基準がすべていまの職場との比較からということになるのではないでしょうか。ここで問題は、今の職場が第三者的にみてどうなのかということが、わからないということです。
できるだけ広い視点から資料を集めて、まず現在の職場がはたして自分が思うように悪いところなのかどうか調べてみることをおすすめします。転職はそれからでも遅くないと思います。派遣社員は得か?
自分の能力を活かせ、しかもそこに一生縛られるわけでもないが身分は保障されるということで、派遣会社の契約社員というのが人気があるようです。
ところで派遣業務を行なおうとする業者は、労働大臣の認可を受ける必要があります。そして定期的に業態の報告をハローワークに提出する必要があります。なぜこんな制度になっているかというと、労働者保護の考えからです。人材派遣の基本として労働省が考えているのは、いわゆる日雇い労働者を集めて飯場へ送りこみ、賃金の上前をはねるという口入れ屋なのです。派遣業務は時代の要請で許可されるようになってきましたが、賃金の上前を会社が不当にはねるようなことのないように、網がかぶせられたのです。派遣会社の社員になろうと考える人は、まずこのことを認識してください。
契約の自由はありますが、立場上、雇う側のほうが強いのです。
また、派遣先と派遣元の関係上、派遣先の都合で当初の約束と変わることもままあるようです。
また、社員募集の公告と実際の中身が違うということもあるようです。また、大手企業に派遣されて、そこで認められてうまくいけば大手企業に転職できるかも、という期待があるようなら、やめたほうがいいでしょう。大手企業が派遣社員を受け入れるのは経費節減のためが多いのです。社員を雇えば、それは固定費ですが、派遣社員なら外注費ということで変動費にできます。仕事がすめば、派遣社員の受け入れをストップすればいいのです。
また、派遣社員に任せられる仕事は、社員には別のことをやらせたいからということで選ばれることが多いのです。となると、いくらその仕事が優秀でも、そのまま大企業の社員へというのは無理ではないでしょうか。
パート7 不況下の下の転職
ついに政府も好景気の終焉を公式に認めました。これからは、不況に突入です。しかし、人出不足感はまだあります。今までは大手に流れていて、手をだせなかった中小企業がチャンスとばかりに動きはじめるかもしれません。また働く側の意識も変化してますので、人材の流動性は減ることはないでしょう。
今の大企業も十年後にはどうなっているかわかりません。転職はしたけれと、入った会社がつぶれてしまっては何にもなりません。今までの転職はとりあえず三年先をみていればよかったといえるかも知れません。これからは十年先をみた転職が必要となってきたようです。十年先の大企業には、いったいどこがなっているのでしょうか。
できたら、十年後にそこで笑っていたいですね。