久米島には老眼に優しい、小さい生きものは無視、30cmを超える大物の群、抜けるような透明度、雄大な地形の海があるらしい。もちろん綺麗なサンゴ礁もあるだろう、その気になって探せば小さくて珍しい生き物もたくさんいるだろう。でも、やっぱり久米島に行くならギンガメアジの大群にイソマグロとドロップオフを求めなければ意味がない。浅場でならモンツキカエルウオは探してもいいけど。
2010. 7/15
ウーマガイ、イマズニ
沖縄行きの朝は早い。神戸と那覇を結ぶ便は8時20分出発で、安全を見て搭乗するにはそれなりの時間に自宅を出発する必要がある。出発が早いので那覇での待ち時間は長いけど神戸空港から沖縄へ行く便があるのは非常に便利なので決してなくならないで欲しい。
那覇から久米島まではおよそ30分。久米島空港からJIC久米島も同じく30分なので、昼過ぎに到着した。
JIC久米島はホテルに隣接というか、ホテルの一階にあるのでマリンテラス久米島に宿泊するならとっても便利だ。さらにホテルの周囲は結構な繁華街で居酒屋も複数、コンビニもスーパーもあって便利便利。そしてなによりバスタオル貸出は旅先で洗濯もままならない身としてはとっても役に立つ。
最初はウーマガイへ向かう。ここには35〜40m付近にスミレナガハナダイやヒオドシベラの幼魚がいるらしい。「もう少し深いところにはアケボノハゼが10匹以上
居ますよ」と言われたが、さすがにそこまで行くのはヤバイような気がするのでパスした。
エントリーしてすぐに、ビデオカメラが完全に水没している。少しの水没なら慌てるところだが、完全水没ではどうしようもない、いったん船に戻ってビデオを置くとそのままダイビングを継続する。
この日は透明度が悪かったらしいが、潜ってもそんなことは感じない。たしかに水面付近では少し離れた場所は霞んでいるかもしれないが、少し深くに潜るとどんどん透明度が良くなってくる。
きっと沖縄に長くいると透明度にたいして贅沢になってしまうに違いない。おそらく沖縄の透明度20mは串本や伊豆の25mに相当するのだろう。
そうそう、このときダイコンを忘れて潜っていた。
結構深く潜ったような気もするけど、ダイコンを持っていなかったので深度が正確にはわからないので仕方がない。次からは十分事前準備に気を遣うことにしよう。水没したビデオカメラはもう復活しないけど。
次はギンガメアジの群れを探しにイマズニで潜る。
最初に向かった根の上で、いまひとつまとまりの良くないギンガメアジがチラホラと見える。そのままガイドにしたがってギンガメアジの周囲を回るように泳いでいると、いつの間にかギンガメアジが
群れになってきた。まるで牧羊犬のように周囲を泳ぎながら群れになるように追い立てていたのか、それとも単なる偶然か。
とにかく目の前にいるギンガメアジの群れの写真を、、、撮れない。しかたないので、なるべく近くで眺める。
さらに別の根にいくとそっちにもギンガメアジの群、しかもさっきのよりもかなり多い。
ビデオが水没したことがとても悔しい。それとギンガメアジが居ない間、根の周囲にあったトンネルを一度もくぐらなかったのは少しだけフラストレーションがたまる。
それでも、初日から久米島へやってきた目的のひとつギンガメアジのトルネードが見られたので非常に最先が良い。
この日から、密かにガイドの戸田さんをヨーゼフ戸田と呼び始める。しかしアルプスの少女ハイジに出てくるヨーゼフはセントバーナードで牧羊犬ではなかったような気がする。
西表島にはそれまで食べたことのないようなパイナップルがあった、宮古島のマンゴーも有名だ。しかしガイドブックによると久米島はクルマエビの養殖は有名だが泡盛以外に
特別な名物はないらしい。
でも、ホテルの横に売っていたマンゴーはとっても安くて美味しかったので、それだけで十分満足。
夜はホテルの近くの居酒屋、波路で。
2010. 7/16
トンバラザシ、トンバラ、北原灯台、堂崎
トンバラザシに到着するが、透明度が悪いらしくてさらに先のポイントへ向かうことになった。しばらく船を進めていたが、どうも進めば進むほど透明度が悪くなるらしく結局はトンバラザシに戻る
。
トンバラザシの名前はポイントにある水路がトンバラを向いていることが理由らしい。そのトンバラを指している水路の壁には大量のウミウシがいる。ミゾレウミウシ、アカネコモンウミウシ
の一種(和名なし)、、、これ以上はウミウシの名前はを覚えられませんでした。
棚の上に戻るとサンゴも元気だった。
続いてトンバラへ。どうやら風向きの関係で夏は北側のポイントに潜ることが多く、トンバラで潜れるのは運が良いらしい。
エントリーすると海が青い、これぞ求めていた沖縄の海。周囲は視界の続く限り透明で青に溶けこみ、海底は20mを越えても影ができている。
いきなりホワイトチップが現れずっと周囲を付いてくる。途中で2匹いたことに気づく。先へ進むとホソカマスの群れ、グルクンにアタックするイソマグロ
にギンガメアジの群れと久米島に来た甲斐があった。
ブリーフィングではハンマーヘッドやジンベイザメもでたことがあるとか、ザトウクジラという話もあった。もっとも、これは
毎日でも潜っている現地のガイドだからであって、期待するものではないけど。
ホテルに戻ってゆったり昼食。
昼からは北側のポイントへ向かう。まずは北原灯台でドロップオプを潜り、港に戻らず堂崎を潜る。
どうも堂崎は普段あまり潜らないらしく、最初はドロップオフへ向かうがすぐに浅場戻ってウミガメ探し。しかし見つけたウミガメはことどとく近づく前に去ってゆく。
当初はこの日にナイトを潜るはずだったけど、この季節の沖縄で暗くなるのを待っているとエントリーは8時を過ぎてしまい夕食は10時になってしまうので諦めた。
夜は近くの居酒屋、海坊主へ行く。
2010. 7/17
シチューガマ、トンバラ、イマズニ
シチューガマはL字の穴とタテ穴があるポイント。まずは深度30m弱の水底から、あまり広くないので数人ずつにわかれて穴に入る。折り返して穴から出てくると
、そこにはハナゴンベが大量に居る。もしかすると、いままで見た数全部より多いかもしれない。
深場から棚の上に戻ってくると安全停止を兼ねてフリータイムを過ごす。しかし、その間も特に小さな何かを探したりするわけではない。いや、人によっては探していたかもしれないが。
トンバラは若干流れがあった。流れの強さはそれほどでもなかったが、それでも流れに逆らって20分も泳ぐと結構疲れる。そのせいで、ギンガメアジの群れを発見してもいまひとつ近寄る気力じゃなくて体力がない。ましてやホソカマス程度では写真を撮る気にもなれない。
後から聞くと、疲れていてもガイドについていくと「大丈夫」と思われてしまうようだ。疲れたり、面倒だと思ったら流されない程度に、遅れたりして後をついていかなければ
良いらしい。
ところで、世の中には変わった生き物が好きなダイバーは珍しくない。近寄るとすぐに引っ込んでしまうハゼを狙ってにじり寄るダイバーは多いし、陸上で見かけたらけっして可愛いとは思えないウミウシや見るだけで目がつりそうになる小さなエビの仲間を探すダイバーもたくさん居る。しかしナマコ好き
、それもトンバラですら発見したナマコを手に泳ぐ女は世界中に一人しかいないに違いない。
初日のギンガメアジの群れをもとめ、再びイマズニで潜るが今回は発見できない。それでも初日にギンガメアジの群れを見ているから心が軽い。逆に初日にくぐれなかった穴 はくぐりほうだい。
ダイビング終了後、好き者は何人かでイーフビーチへ向かう。あれだけ海に潜ったあとで、膝までもない海になぜ生きたがるのかよく分からない。
ホテルの周囲をゆっくりと散策後、近所の居酒屋、亀吉で夕食。
2010. 7/18
ウーマガイ、イソバナ、親子岩
この日は北東の風。
リーフの北側は波が強くなっていたが、「本来の透明度をみてもらいたい」と言われてウーマガイへ。残念ながら初日に比べて少しましな程度だったが、何度も言うように沖縄で透明度が悪いと言われてもたいていの場合は悪いとは思えない。
最終日なので、あまり深く潜るつもりはなくドロップオフの23m程度を流していると下の方にマダラエイが通り過ぎていく。さらに水底にもマダラエイを発見
してしまい、ついつい水底へ。ここまで来たらと、ついでにニチリンダテハゼを観に行く。しかし、背びれを立てないニチリンダテハゼはただのヤマブキハゼだ。
ほぼ全員が減圧停止もくは直前まで行ったに違いない。しかし棚の上は5mの世界なので、ゆっくりと戻りさえすれば減圧停止も安全停止も関係ない。
さらに風や波が強くなってきたためインリーフのイソバナへ。ここはアンドの鼻のようなポイントだと説明される。
アンカー地点からエダサンゴの群生を抜けていくと、白い砂地にある根にスカシテンジクダイやキンメモドキが群れている。もちろん魚なんかよりも白い砂浜
の方が重要。このポイントはリーフの中だから砂地の先はそのまま外洋に繋がっているわけではないが、そんなことは水中では思い出さないでいれば良い。もっとも透明度があまりよくなかったので、それほど根から離れることはできません。
ここはマクロ好きや他のポイントが潜れないときに行くポイントだそうだが、沖縄の海にハズレはない。
久米島にはナマコが少ない。いやナマコが多かったとしても、普段ナマコを紹介することはないだろう。だからナマコ好きな客への対応方法を知っているガイドの方が珍しい
。だからナマコと間違えてキュウリイシに手を伸ばしてもしかたない。
さらに昼から引き潮になるとイソバナへも行きにくくなるため、最後は夏なのに島の南側にある親子岩。どうも他のポイントは潜れないらしく、到着するといままでにないほど船が
いる、ダイバーもたくさんいる。
ここは穴だらけのポイント、途中でコースを間違えると困る。いや、ガイドとちょっと違う方へ行ってみようなんて考えるとしばらく邂逅できなくて焦るかもしれないので注意しましょう。
穴を抜けると、閉じてしまってちょっと残念なムツサンゴをちらっと眺め、サンゴの棚を通りすぎるとハナヒゲウツボの幼魚。
水中からではどれが親子岩かは不明だった。
今回のダイビングで、一生分のハナゴンベ、スミレナガハナダイ、イナセギンポを見た気がする。
器材はホテルの部屋で洗ってベランダに並べ、そのまま近所の居酒屋、たか家で宴会 。翌日は潜らないので泡盛の消費量は前日の2倍程度に。宴会が終わってホテルへ向かう途中で雨がぱらついてくる。慌てて器材を部屋に取り込み、ホテルの部屋で遊ぶ。
2010. 7/19
最終日は朝から雨、
早朝に激しい雨が降ったあとはポツポツとした雨が降ったりやんだりしていた。そんな天気の中を近所のスーパーで土産を買ったり、近所を散策したりしたあと島内観光に出かける。
まずは奥武島へ渡り、亀の甲羅の形をした畳石を見る。さらに比屋定バンタ、宇江城城跡とまわっているあたりで雨が激しくなってくる。昼食は沖縄そば処やん小〜でピリ辛味噌肉もやしそば。おばけ坂、久米仙の工場を見学あたりで、これ以上の観光を諦めて早めに久米島空港へ向かう。
沖縄本島と宮古島の間にいつの間にか熱帯低気圧ができている。連休前に休みをとって良かった、昼からはきっと潜れてないに違いない。
その後、ものすごい風雨に出発が遅れるかと心配したが、特に問題なく那覇に到着すると良い天気だった。
おまけ
久米島と奥武島の間には橋(奥武橋)が架かっている。橋の下の海は非常に浅く、船が通れるように水路が掘られている。
その水路を船で移動していると、奥武橋を越えたあたりで両端が海中に没している橋(シールガチ橋)が見えてくる。これだけ見ると結構間抜けな風景だ。
どこから渡るのかわからない、こんな奇妙な橋がなぜ架かっているのか。
そのとき聞いた説明では「昔は浅瀬を竹馬で渡っていた」「水路を掘ったので竹馬で渡れなくなった」「水路を越える橋を架けた」と言うことだった。しかし後から調べてみると
、水路を掘る前には奥武橋は完成していたようだ。
水路を掘ったのが96年らしいから、そんな時期まで浅瀬を竹馬で渡っているとは考えられない。
雑感
どうも最近はダイビング器材を送るのが面倒だ。去年は虫除けスプレーが入っていたせいで危うく船便になりかけたのを直前で回避(スプレーだけ抜き出してもらった)できた。今年もライトの乾電池やシャンプーが原因で荷物が戻ってきた
という話を聞いたので、引っかかるかもしれないと思うものはすべて手で運ぶことにした。手で運ぶといっても、飛行機に乗るときには預けてしまうけど。
だいたい宅配便を出す際に「ダイビング器材です」というと、「タンクとかあるから…」なんて言われてしまう。いったいどこの世界にタンクを送るダイバーが居るんだ。自分でタンク持ってるダイバーなんて日本に居るかどうかすら疑問だ。
飛行機に乗せられる荷物に関するチェックが厳しくなっているらしい。安全に配慮することに異論はないが、タンクはともかくスプレーは駄目、シャンプーは駄目、乾電池も駄目と言われてしまうといったいなにが駄目なのか細かくリストにでもして配布してもらわないとどうしようもない。いや、航空会社のサイトにあるのかもしれないけど発見できなかった。
帰りの飛行機で手荷物を預けるときライトのバッテリーを抜くように言われた。バッテリーが悪いわけではなく、誤って電源が入ったときに加熱すると危険だからだそうな。また液体は容器が壊れたときに周囲の荷物にも影響を与えるからだそうだが、、、液体って手荷物でも持ち込めないんじゃなかったっけ。