与那国島
(2007.12/31-2008/ 1/ 2)

ダイビング分科会:ほらふきクラブ

 与那国の海はどこまでも青く、冬の間はハンマーヘッドシャーク(撞木鮫)が群れているらしい。となれば、なんとしてでも潜りたくなる。
 だが与那国島は日本の西の果て、アクセスが悪くて行き帰りの二日間は潜れないことを考えると、そう気楽に潜りに行くことはできない。というわけで、 一番長期の休みを取りやすい正月を南の島で向かえることに なった。
 残念ながら天気はあまり良くなかった。冬とはいえ沖縄とは思えないくらい肌寒く、夜ともなればストーブが必須。海の中もいまひとつ明るさに欠けていたかもしれないし、風が強くて島影を少しでも外れると4〜5mの波が立っている。

ヌルガンアーチ

 まずはヌルガンアーチでチェックダイビング。
 チェックダイビングからドリフトというか与那国島ではドリフト以外のダイビングスタイルは存在しないのだろう。
 全員が船縁と船尾から一斉にエントリーし、そのまま水深10m地点で集合する。少しでも遅れると流れのせいでどこか別の場所へ、なんてことはさすがにないが、ちんたらしている暇もない。だがきちんと潜行できてそれなりに中性浮力さえ確保できるなら流されていくだけのドリフトの方が楽だ。後は安全停止とエグジットさえスムーズにこなせれは与那国島のダイビングはさほど難しくない。
 あくまでも海況がよければだろうが。

西崎

 船縁から勢揃いでエントリーすると、そのまま10mまで潜っていく。 水底まではおよそ60m以上、だが青い海にとけ込んでいって何も見えない。決して透明度が悪いわけでもないのに前後、左右どちらを見回しても同じグループのダイバー以外はなにも見えず、 視界の果てまで青い海が続いている。
 この青い海の中をハンマーヘッドを求めてひたすら流れ続ける。
 今回は島影を越えると波が強くなってエグジットが難しくなるため、探索範囲と時間を稼ぐために流れに逆らってジグザグに泳ぎながら流されていく。それでも一回のダイビングはおよそ30分。もっとも30分も泳ぎ続けるとかなり疲れるので、これくらいで調度良いのかもしれない。
 延々とハンマーヘッドを探しながら視力の限り青い海の彼方を睨みながら泳ぎ続ける。今回はハンマーヘッドシャーク以外はすべて外道にすぎない、だがその外道すらなかなか出会えない。ときおりテングハギモドキやアカモンガラ、イソマグロが見えることもあるが、一本まるまる魚一匹見えない感動的な場合もある。
ハンマーヘッドの影? 青い海、魚一匹いない海、ちょっと注意して他のダイバーを見ないように意識から取り除くようにすると、何もない海の中をたった一人で漂っている感覚を味わうことも可能だ。これはかなり楽しいが、あまり長時間この状態が続くとかなり疲れる。そして、ちょっとした影がハンマーヘッドに見えてくる。
 こうして、何度も何本もハンマーヘッドシャークをもとめて西崎を流す。
 不意にガイドが、もしくは誰かが海の一方向を指さす。指の示す先にうっすらとハンマーヘッドらしい影が見える。そちらの方向へ向かって猛烈にダッシュする。こうしてなんどかハンマーヘッドを見かけたが期待した大群には遭遇できなかった。もう少し海況の良いとき、沖まで流せるときにもう一度、もう二度やってくるしかないだろう。
 最後の一本はかなりぎりぎりまで流したせいか、エグジットでそれなりに苦労するはめになった。

海底遺跡

 冬の与那国でハンマーヘッドと並んでメジャーなのが海底遺跡。いかにハンマーねらいとはいえ一度は潜っておかなければ。
 ただし海底遺跡といっても本当の遺跡、人工物である可能性はほとんどないだろう。ほとんどが直線で構成された風景はたしかに普通に感じる自然とは異なった印象を与えるが、それほど珍しいものでもない。
 でもそうしたことさえ気にしなければ、遺跡っぽく見える景観を楽しみながら潜るには非常に良いポイントだ。
 ここ以外では、常にハンマーを求めて水底もなにもない海の中をさまよっている感じだったので、魚も多く地面の上を移動するのが新鮮に感じる。城門、二枚岩、メインテラス、階段、拝所、亀の岩とたどっていく。残念なことにあまり流れがなかったので地形の中で流されるのを楽しむことはできなかったが、少し離れて全体の構成を眺めることができた。 

おまけ

 日本の西の果ての島はなんだかちょっと違う。
 「同じ日本だと思えない雰囲気と、やっぱりどこまでも日本だなぁと思うる部分」、沖縄本島でも感じ、八重山だともう少し強く感じるこの感覚がさらに強く感じられる。もしかしたら、正月だったということもあるのだろうか。
 だけど次に来るときは正月は避けて…、それよりも与那国島の青い海をより堪能する(ハンマーヘッドはどうでも良いから)ために夏にも潜りに来たいものだ。

 そうそう、とうぜん島内観光もした。



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