串本
(2005.09/23-25)

世界征服のプログラムは perl で書かれている

ダイビング分科会:ほらふきクラブ

 先日、串本町と古座町が合併したのだが、名前は串本町のまま。その代わりなのかどうか知らんが、西牟婁郡から東牟婁郡に郡は変わってしまった。そんな謎の町串本町は、紀伊半島の先っぽに位置する本州最南端の町であり、ダイビングのメッカとしても知られている。だいたい、このあたりで予想がついたと思うが、タイトルには無関係に今回もダイビングの話である。台風17号が本州に迫り、地球博が閉幕する3連休に串本で潜ってきたのでその報告をする。
 海の季節は2ヶ月遅れという言葉がある。大体海水温の推移は気温の推移の2ヶ月遅れぐらいということを意味している。例年9月といえば、まだまだ水温も高くダイビングには快適な季節である。今年は黒潮の蛇行の影響なのか8月には水温が極端に低かったのだが、今回は例年並の水温に戻っており結構期待が持てる海となっていた。

2005. 9/23

 初日の1本目はイスズミ礁。どうでもいいが、このポイントでポイント名の由来となった「イスズミ」という魚は見たことがない(ひょっとすると見ているが、認識していないだけかもしれない)。沖合いにある台風の影響はまったくなく海はベタ凪。ただし水中は水の色はきれいなのだが浮遊物が多く透明度はあまりよくない。このポイントの名物チョウチョウオ玉も大きくなっており満足であった。

引っ込まないヒレナガネジリンボウ 2本目のポイントは備前。深場に広がる砂地がハゼ天国というポイントである。水温も回復し、やっとネジリンボウが出てきていた。エントリー時に水面で空け忘れたタンクのバルブを一生懸命空けていた現地サービスの人を目撃したのは内緒である。

 3本目はグラスワールド。串本を代表するポイントである。いつ潜っても面白いものが見えるポイントであるが、今回見たのは引っ込まないヒレナガネジリンボウ。大体、ハゼ科の魚というのは臆病であり、すぐに巣穴に引っ込むというのが基本パターン。このヒレナガネジリンボウという魚も例によらず、大抵の場合はとっとと巣穴に引っ込んでしまうのである。というわけで、普通はヒレナガネジリンボウを見つけた場合は、カメラの光学ズーム、デジタルズームをフル活用して遠くから撮影、その後少しづつにじり寄ってなんとか近づこうとするも、あまり近くに寄れないうちに巣穴に逃げ込まれておしまい、というパターンになるのであるが、今回見たヒレナガネジリンボウはどれだけ近づいても引っ込まない。デジカメ内蔵ストロボの光が届く範囲まで近寄れたのは今回が始めてである。壊れた巣穴を修復中のカエルアマダイ
 もうひとつの写真はジョーフィッシュ。口内保育で有名なカエルアマダイである。こいつも普段は巣穴の中に引っ込んでいるのであるが、壊れた巣穴を修復中のためか、目一杯巣穴の外へ体を伸ばしていた。このポイントでは他に、エア切れ寸前で他のガイドのエアを奪おうとして睨まれ、挙句にはお客に心配されるという現地サービスの人もいたことは内緒である。

 この日はお客さんの数も少なかったので、夕食は「萬口」でカツオ茶漬け。何度食べても旨いもんは旨い。ちなみにここのカツオ茶漬けって、居酒屋の〆で出てくるようなお茶漬けとはまったく別種の食べ物ですので注意が必要である。どんなもんかは現地まで行って食べてみるのが一番判りやすいであろう。食後のデザートは現地サービスの人がこの夏嵌りまくったというカキ氷を食べに車で20分ほど国道42号線を車で走り、こんな民家で本当にカキ氷売っているんか?というお店でカキ氷を食べた。たしかに美味である。そもそもカキ氷に旨い不味いの差があるなんてと思っていたが、たしかに旨いカキ氷というのは存在すると、なんか波が荒くなってきた海を見ながら堤防でカキ氷を食べつつ思った。

2005. 9/24

二日目は外洋を目指す。「島廻り」というポイントはいつもボートが出向する袋港からだと、船で30分程度かかるポイントであるが、今回はポイント近くの和深から船が出るというツアーである。ポイントまではほんの数分という絶好のポジションであるが、実際に行ってみると台風の影響か和深の港は荒れまくり(途中の国道で、波浪注意報なんて文字が見えたが気のせいだろう)。堤防から見ると確かに数分の距離の位置にボートが止まっているが、うねりのせいで時々視界から消えるという状況。戻ってきたボートに乗っていた客の空ろな目を見てこのポイントをあきらめ、まだ穏やからしい串本湾内のポイントを目指す。
 さすがに台風の影響で潜れないポイントが多発したせいか、冬季限定ポイントであるアンドの鼻が本日限定で開放されているという。人間万事塞翁が馬という所か。アンドの鼻(ちなみにオアの耳というポイントは残念ながらないし、ナンドの口や、エクスクルーシブオアの目というポイントもない)といえばアザハタの根。イシモチとテンジクダイの群れを悠々と泳ぐアザハタという黄金パターンは夏でも健在。むしろイシモチとかは冬よりも丸々太って大きくなっていました。

ダイバーに驚いたイザリウオが泳いで逃げる 港への無駄な往復などで時間を取られてため、本日のダイビングは2本で終わり。
 2本目のポイントは再び備前。今度はネジリンボウは見えなかったものの、丸々と太ったイザリウオがスリバチカイメンの上にちょこんと座っているという珍しいものが見えたので善しとする。さらにダイバーに驚いたイザリウオが泳いで逃げる姿を見られたのもさらにラッキーであった。

2005. 9/25

最終日も、多少ましになったもののウネリはすごい。外洋ポイントである塔の沖にチャレンジするも、濁りまくってうねりもすごいので、とっとと断念。湾内に戻って結局住崎で潜る。水底付近はそれほどでもないもの、水面付近はかなりニゴニゴ。そんなにたいしたものも出なかったので、アカエイをマンタといったり、オルトマンワラエビをタカアシガニの幼生と言い切る、ガイドを見て楽しむ。

 2本目のイスズミ礁も透明度の低かったが、ミナミハコフグの幼魚とか、クマドリの幼魚とチョウチョウオ玉が見えたのでよしとしておこう。

 世界征服のプログラムがperlで書かれている理由は不明である。理由を考えるよりも、現実はあるがままとして受け止めるのが、正しい大人のありかたであろう。もっとも、それが現実なのかどうなのかすら不明な場合には、しょせんは寝言と放置するのが最も正しい方法であろう。



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