串本
(2004.08/07-09)

ダイビング分科会:ほらふきクラブ

 今回はショップのツアーではなくて、串本のサービス(赤鯱)を利用して潜ることになった。
 明石を22時に出発し、串本を目差す。途中で短い休憩を入れながら現地に到着したのは1時30分頃。串本は結構遠いと思っていたが、この程度であれば今後も串本に行くときに自力で行くことも選択のひとつかと実感した。(といっても、運転するのは私ではなく旦那なので、運転手の意志の問題もあるんだけどね。帰ってきたときに「結構楽だった」と言っていたので、これから期待できるかも。これも高速道路延長とかのおかげか。)
 サービスに到着し、宿舎に荷物を置いてから、途中で仕入れ損ねた(白浜をすぎるとコンビニなとが極端に少なくなってしまう)食糧やビールを串本町内のコンビニに調達しにでかける。
 買い出しから戻ってくると地元サービスの人が起きてきた。しばらくビールなどで歓談。翌朝のために就寝する。

2004. 8/ 7

 激流ヨリコバ
 今回はとりあえず、これまでなかなかいけなかった外洋をなるべく目指す方針にする。
 というのも、串本は大きく内湾エリアと外洋エリアに分かれている。内湾はおだやかなためスキルのバラバラなメンバーの時には、グラスワールドや、備前、住崎など(いずれも内湾のポイント)をメインに潜ることが多い。そして、外洋は一番遠いポイントだと30分以上も漁船で移動する必要があり、しかも波も高かったり、流れがあったりして初心者にはつらい。
 このときは小人数だったのでスキルに不安はない。そして同行者のK君は、見たい魚に“カンパチ”を挙げていた。カンパチ以外のものは彼にとって、はっきり言って外道だ。この3日間で何が何でもカンパチが見たいらしい。
 回遊魚であるカンパチを見るためには、外洋エリアを潜る必要があったのだ。

シラコダイの群れの遠景 カンパチの登場を期待してヨリコバにエントリーする。水深5mくらいまでは浮遊物も多くて「げ、だめじゃん」という印象だったが、アンカーロープに掴まりながら水底に行くとどんどん透明度がよくなっていく。しかも透明度は良くなるが、シュノーケルが邪魔に思えるくらい流れがきつくなっていく。
 流れの強い中、岩に手をかけて匍匐前進のように根の端まで進んでいくと、シラコダイやムレハタタテダイ、グルクンなどが中層に群れ、根の下をのぞき込むとアオブダイやスジアラなどが見えている。
 「これだけ潮通しがいいと、きっと大物や回遊魚も期待できるに違いない!」と思って、流れに逆らって必死に岩に捕まっていたのに、なんにも出てこない。いや、なにも出ないというのは間違いなのだが、K君にとってカンパチ以外は全て外道なのである。
 ガイドのA氏もエントリーする前は「今年に入ってヨリコバではカンパチやその他の回遊魚の遭遇確率高いっス!」と言っていたのにね。
 しばらく粘ってはみたがとうとうあきらめて岩から手を離し、すうと流されてあっという間にアンカー下まで戻ってきてしまった。
 最大水深24.2m、潜水時間40分、透明度20m、水温26.5C。私としては充実したダイビングだったと思うのだが、、、。

魚の間の暗い影はすべてキビナゴ うねる島廻り
 午後は人数も増え、7人で船に乗り込んだ。
 今度も外洋をめざし出港したものの、午後からの海況は潮が入り出して当初目的としていた浅地はかなり流れている。そこで、急遽ポイントを変更し島廻りへ舳先をむけることに。
 到着した島廻りは串本の主要ポイントの中でも1番西にあり、外洋と言ってもより陸地に近いので、うねりも入りやすい。
 エントリーしてみると、透明度はヨリコバより落ちるもののコンディションは悪くな、、、いこともないか?
 なにせ陸地に近いポイントなのだから多少のサージ(うねり)は織り込み済みだし。うねりの中を大きな根を回ってみると、根の下の大きなサザミヤッコや船の影とみまごうようなキビナゴの大群とそれをねらっているアオヤガラなど魚の見応えは充分、なのにここでもK君のみたかったカンパチは影も形もなく、一同しぶしぶエギジット。

2004. 8/ 8

潜行中 透き通るヨリコバ
 前日とはうってかわって流れもなく、絶好のコンディションだった。エントリーした瞬間からすでに20mくらい下の水底がきれいに見えている。
 シラコダイやムレハタタテダイ、グルクンの群れが見事。大きなサザミヤッコが3匹ゆっくり根の下を泳いでいる。が、しかしやはりカンパチは姿を見せない。どっかに出張しているのだろうか。
 透明度30m、最大水深26m、潜水時間50分。この内容が、この後のダイビングに影響するとは思っていなかった。いや、ダイバーなら計算できていないといけないんだよなぁ、普通。

 油断は禁物グラズワールド
 グラスワールドは串本にきたら必ず1回は潜るポピュラーなポイントである。
 ハナヒゲウツボやジョーフィッシュなど珍しい魚も多く、本州最南端らしく温帯域・亜熱帯域の魚が混在する。内湾に位置するので流れもなく、水深も20mから浅場では5mくらいと初心者にも難しくはない。
 さて、前日から立て続けで外洋を潜っていたので2日目にしてようやくグラスワールドにやってくると、潜行していったときから「ああ、これこれ」と思ってしまった。
 やっぱり串本といえば、まずグラスワールドなのだ。岩礁域の所々に大きな根があって、カゴカキダイやアカヒメジが群れいていたり、そこかしこにセナキルリスズメダイやハタタテハゼ、クロユリハゼなどがいて、岩の隙間をのぞくとモンハナシャコやヒバシヨウジの幼魚がいる。砂地にはダテハゼやネジリンボウ、最近はジョーフィッシュも定番になってきている。
 こんなに種類の豊富な魚を見ていると時間がたつのも忘れてしまう。深度20m、はたと気づいて腕のダイコンを見てみると、「なんとデコ寸前!」、あと3分しかない。「げげ」と思ってそろそろと水深を上げ始める。15m「まだまだ」、13m「あと10数分潜れます」、9mあたりにきてようやくダイコンのご機嫌がよろしくなってきた。ホッ。
 あがってきたメンバー全員、やはりやばかったらしい。みなデコ寸前までいっていたようで、必然的に次に潜るのは「浅いところ」になる。

 というわけで中黒礁
サービスのポイント説明にはこうある。「港から約3分。船酔いの心配がないボートポイント。砂地と根が点在する単純な地形だが白砂がとても綺麗。太陽の光が入る晴天の昼間に潜ってほしい。」
 いやほんとにそのとおりである。ただ、内湾の奥になるから、透明度はあまりよくない。浅い根をゆっくりと回っていくと岩の奥から細いひげが飛び出している。「もしや」とみなでのぞきこんでみると、いるわいるわ、大きなイセエビが折り重なるように根の下でこちらをにらみ返している。ガイドのA氏が数えると7匹はいたらしい。ダイバー6人、船頭の南さんをいれて7人「ひとり1匹じゃーん」などといえるのはエギジットした後の話、漁師さんを敵に回してはいけない。
 しばらく根の周りを行くとムレハタタテダイの幼魚が10数匹泳いでいる。思わずデジカメを動画モードにして撮影してみる。お、結構メモリーいけるじゃん。まだまだとれる〜。と思っていたらバッテリーの方が先にへたってしまった。がっかり。しかし予想以上にかわいいムレハタタテダイの動画が撮れていたので満足(^O^)。
 このあと砂地でバディがじっとしている。なにかと思ったら砂からアナゴが鼻先をだしている。もう少し頭がでてこないかと、背中あたりに指を突っ込んでみる。ちょっと指を突っ込んだくらいではだめなのかと思いきや、しゅるるんとアナゴが飛び出してきた。白い体をくねらせ数秒泳いだ後、すばやく尻尾から砂地に潜っていった。おもしろかったのでつい2人で拍手。が、ふと気づくと周りに誰もいない。あわてて360度、周囲をゆっくり見回して、ようやく遠くにガイドの白いフィンを発見。どうやらはぐれた私たちを捜しに来てくれたらしい。
 まったり60分も潜ってエギジットすると、南さんがぼそっと一言「待ちくたびれた」。はい、すみません。

ムレハタタテダイの群 イセエビの群

 ここでまとめて食べ物編
 今回は都合3回の夕食を串本でとることになった。
 初日は事前にサービスに頼んで予約してあった萬口。ここは「かつを茶漬け」が名物である。(かつおじゃなくて「かつを」と店の張り紙にもある)お造りや天ぷらのあと、ごまやみりんなどの醤油たれにつけ込んだかつおの刺身とあつあつのご飯とお茶がでてくる。ついでに「これサービスね」と溶き卵にかつおの細片をまぜた「かちめし」というのもついてきた。まずはかちめしをご飯にかけてするすると1杯。そしてかつおの刺身をご飯にのせて、たれとお茶をかけてもう1杯。どちらも堪えられません。新鮮なかつおが手にはいる串本ならではのメニューだ。
 2日目の夕食は串本市街地にある「松すし」。ここはミニ懐石セットというのを予約していたのだが、3500円という手頃な値段で付き出し・お造り・てんぷら・にぎりにデザートととてもお得な内容である。とくにお造りのうめいろは普段海中でみている魚だが、まさか刺身で出てくるとは思わなかった。身がしまった白身の魚でとてもおいしいかった。つい追加でアナゴのにぎりを注文したが、これも絶品。蒸しや焼きではなく柔らかい煮アナゴで、「お腹いっぱ〜い」とコースのにぎりを一部ブッチしたのに、こちらは3個も食べてしまった。お酒や追加にぎりの値段を考慮しても、梅田や三宮で食べる寿司屋の半額くらいではないだろうか。串本に行ったら、是非行ってみてほしい店である。
 ちなみに3日目の夕食は、いつもの宿のバーベキューだった。

2004. 8/ 9

 4度目の正直、浅地
 最終日、4本目の外洋である。「カンパチ・ブリなどの回遊魚遭遇率抜群」の謳い文句もむなしく響く。カンパチは現れなかった。流れはなかったので、とりあえずトンネルくぐりや遺跡もどきを楽しんで、あとは透明度抜群の中を中層をゆっくりめぐっていく。グルクンやイサキの群れが見事だった。
 K君は、もう数日残って粘ってみるかしばらく悩んでいたが、結局カンパチはスーパーの鮮魚コーナーで我慢して帰ることになった。

チョウチョウウオ(少なめ) 名物はまだかイスズミ礁
 イスズミ礁といえば、この時期からはチョウチョウウオの大群が玉になって群れ出すのだが、今回はまだ玉になっていない。アーチのなかに数十匹が群れているだけだった。
 最近ここの白い砂地に本州では珍しいガーデンイールが見られるようになった。砂地をそおっと身を低くしていくと、細いひものようなものがゆらゆらと動いている。さらに目が確認できるくらいに近づいても、頭だけを砂地から出してきょろきょろしているのが見て取れた。そして砂地に丸い穴を残して、ふいに引っ込んでしまう。しかし、その場から離れてからしばらくすると、またゆらゆらと出てくる。なんとなく妖怪のようなやつである。

 待ちぼうけのグラスワールド(浅場)
 今回のダイビングは赤鯱ダイビングサービスでお世話になった。当然ながら我々以外のお客さんと一緒に潜ることもある。
 最終日はHさんご一家と一緒にグラスワールドの浅場付近を潜ることになった。このとき、Hさんのお嬢さん(しーちゃん、10歳)や従兄弟(りくくん、8歳?)なども、ダイビングはしないけど同じ船に乗って行き、ダイバーが潜っている間にシュノーケリングすることになった。
 ダイバーチームが先にエントリー。しばらく行くと岩場の影にアオウミガメを発見。最近このあたりにはこの大きなアオウミガメが居着いているそうだ。遠巻きにながめていたが、不意に浮き上がってすいいいと泳ぎ去ってしまった。
 この後は各自浅瀬の岩の下をのぞき込んだり写真を撮ったりする。不意にちりちりとベルがなるので行ってみると、ガイドののんちゃんがスレートに「ハナゴイの幼魚」と書いている。指さす方向をみると小さなシリキルリスズメ(か?)の中に1匹だけあきらかに動きがちがう魚がいる。確かに尻尾は黄色くないし、多少青みが違うので、なんとか判別できた。が、あまりにも動きが早いので、カメラに納めるのは無理。あとでHさんのビデオを見せてもらって、ようやく確認できた。こういうのはやっぱりビデオだなぁ。
 1時間近くも潜っているといかな平均水深7mの浅場でも、いい加減寒くなってくる。アンカー下にきて「もういいや」という気分になったので、残圧が100kgf/cm2もあるにもかかわらず、私ひとりエギジットする。
 と、船頭のよっちゃんは待ちくたびれた顔だし、潜らなかったみなさんは船酔いのようで、ちょっとグロッキー気味だった。エントリー前元気だったしーちゃんも待ちくたびれたし、船にゆられて気分がよくなかったらしい。船の舳先は酔いやすい。みんなで冷たいお茶を飲んで、他のメンバーがエギジットしてくるのを待つ。
 しばらくしてようやく全員があがって船を出すことに。ガイドのA氏はよほどおもしろかったらしく、「おもろかったなぁ、またここに落としてな」とよっちゃんにいったところ、よっちゃんは「(潜っている時間が)長くなるからいやや」と答えていた。
 まあ、無理もない話である。昨日の南さんもナカグロミで同じようなこと言っていたし。

 帰り道編
 3日間のダイビングを終了し、器材を片づけてシャワーを浴びてホッとした頃にはもう日も暮れていた。この3日間は昼の日差しは暑いけど、風が爽やかで明石にいるときと比べたら格段に心地よかった。沖縄に行ったときも思ったけど、都会から脱出することで本当に暑さから逃れることができるのを実感した。
 日が暮れてからサービスの横でバーベキュー。Hさん一家や他のメンバーも一緒にバーベキューコンロを囲んでわいわいと肉や野菜をつつく。焼きそばや焼きおにぎりを食べたあとは海岸で夜空をながめ、しーちゃんたちに星のレクチャーをするも、カシオペアがみあたらず、大もめ。夏の大三角形も酔っぱらいが説明するため、修正の繰り返しという大失態。なのに最後にしーちゃんの「星の説明してくれてありがとうねー。楽しかった」の言葉に感激。なんて素直でかわいい女の子 。「しーちゃん、君がダイバーとしてデビューする日を心待ちにしているよ。ちゃんとパパのご機嫌をとっておくんだよ!」
 海岸から戻った後でなぜかケーキを食べ、花火大会となる。線香花火などの地味な花火も堪能しつつ、打ち上げ花火の煙がもうもうと海に流れていくのを最後に、花火大会も終了。そして私たちも帰途についたのだった。
 結局、夜10時に串本を出発して深夜1時半に明石に到着。帰りも同じ所要時間で帰着することができた。夜の移動は効率的でいいなぁ。って「帰り道編」てタイトルつけたけど、ちっとも帰り道の話じゃない。



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