2003.12/31
海の中で年越ししよう! ということで、Dive Shop C.A.A.Nのツアーに参加する。
大晦日の昼に明石のショップに集合し、和歌山は串本へ出発。途中、竹林ご夫妻と埼玉から参加の島田、中矢を拾って19時には串本到着。道中降り続けた雨も小雨になり、天気はなんとかもちそうだ。
さて、潜るのは年越しの瞬間なのでまだ時間があるため、それまで各自時間をつぶす。大量に持ち込まれた宴会用のアルコールを前にして己と戦っている者や、漫然とTVを眺めている者、ダイエットしなくちゃといいながら菓子を食べる者と様々である。
23時になり、いよいよ準備開始。心なしか風が強くなってきて、海にも波が出てきている。準備を整え、いざオレンジハウス前ビーチへ。干潮でかなり潮の引いたビーチはどこでエントリしても同じような深さで大変だ。が、そんなコンディションでもフィンの脱着訓練をしている人などもいて感心する。
ナイトダイビングだから透明度はしかと言えないが、ライトで照らすとどこまでも見えるような透明感。しかし浅いため、ダイバーが通過するとどんどん白くなっていく。今回はカメラハウジングに時計がセットされ、その前に並んでカウントダウンの体勢に入らなければならないのだが、うねりがあるためどうにも上手くいかない。そうこうしている内に時間は進み、時計をしっかりと見ているメンバーがファイブカウントを始めてカウントダウン・ゼロ。おそらく地上のかしこで除夜の鐘が鳴り終わるその時、私たちは海中で音のない拍手をしていた。
年を越したら初詣をしなくては、と今回は水中神社が用意されていた。なんと賽銭箱まである。厳かな雰囲気の中、順番に鈴を鳴らし賽銭を入れて拝んでゆく。おみくじなんかもあったりして。しかしよく見ると、鈴を鳴らしたりご本尊を拝むたびに神社からなにか剥がれてゆく。どうやらこの神社、細かいパーツを木工用ボンドで接着していたようで、それがどんどんとれていっているのだ。最後の私の番になると、かなりボロボロになっていた。手早くお参りをすませ、おみくじを引く(というか最後の1本だった)。なんと「凶」だった。こいつは春から縁起が悪いや・・・。
2004. 1/ 1
翌朝、初日の出を拝むために早起きしてみると空は雲一つない快晴である。どうしても起きてこない数名を残し、海岸に出て潮岬からの日の出を拝む。すばらしい初日の出である。そして再び布団の中へ。
午前のダイビングは寝不足もあるので止めにして、昼ご飯用に餅つきをする。去年はここで食べ過ぎて大変なことになったので少なめにしておく。
さて、2004年最初のダイビングは「アンドの鼻」に潜ることになった。2匹の猿(モン吉、モン子)を従えて、いや先導されていつものアザハタの根に向かう。午前中に潜ったダイバーがいないのか、いつもとは違う抜群の透明度だった。その代わりキンメモドキの群れはかなり小振りだ。私はマイブームのスザクサラサエビのクリーニングを試すために根の下で素手を出してじっとしていたが、他のダイバーは根の中を除いたり根をぐるりと回ったり、忙しかったようである。浅場に移動して、全員で記念写真を撮る。が、結構濁ってしまいよく写らなかったようである。
2本目はオレンジハウス前で潜る。潮は満ちていてカウントダウンの時とは別の場所のようだ。エントリーポイントでいざ潜降しようとすると、「カミソリウオがおる」と島田氏の一声が。そんな馬鹿なと思い(実はダイビングを始めて10年間まだ見たことがなかった)、潜行してみると間違いなくカミソリウオである。しかも大小ペアで。これが夢にまで見たことはないがいつかは見たかったカミソリウオかとしばし皆と一緒にかぶりつきで鑑賞する。いつまでもそこに居たかったがそういうわけにも行かず、沖へ向かって移動。今回は沖のテーブルサンゴの群生に噂の魚を探しに行かねばならないのだ。
午後4時を過ぎて日差しはすっかり夕方のそれだが、水がきれいで透明度はかなりいい。昨夜のようなうねりもなく、気持ちよく潜れた。そこかしこにイセエビの抜け殻があり、甲殻類が大好物である私はその中身を想像して人知れず涎を飲み込んでいた。で、件の魚であるがなんと中矢さんが発見! 埼玉組大金星である。その名前は「テングカワハギ」。琉球列島以南に生息する小型のカワハギで、こんな魚が和歌山にいることはすごいことなのだ。しかもただ1匹を発見したのもすごい。しばらくみんなでサンゴの上でジタバタしながらテングカワハギを鑑賞することになった。
夜は民宿高岡で寄せ鍋を食べる。人数の割にはボリュームが多いのと、なにを考えたのか雑炊まで作ってしまい、とにかく腹一杯食べる。ダイビングはダイエットには向かない。だって潜水後にはこんなにもご飯がおいしく感じるのだから。
2004. 1/ 2
この日も快晴である。ちょっとだけ早起きして1本目は外洋ポイントへ。当初は「ヨリコバ」の予定だったが流れが強くて断念。「浅地」も同様。で最終的に「島廻り」に落ち着く。しかしここもそれなりに流れはあり、結構泳ぐことになった。テングダイが棲む根に向かうがどうやら留守のよう。途中、洞窟探検を試みるも最初に入ったメンバーが真っ白にしてしまい中断。個人的には根から根へ移動してゆく時に海底を悠然と泳ぐ巨大なアオブダイを眺めて楽しんでいた。魚は多く、アカヒメジの群れやタカサゴが群れを作って泳いでいた。もちろんおきまりのニザダイの群れもそこらじゅうに。
ここも透明度は抜群で、水が冷たくなければ沖縄と間違えるぐらいである。しかし水温は19度で、エキジットする頃にはかなり体が冷えた。トイレのある船で本当によかった。
2本目のポイントは「グラスワールド」。エントリ後、西の根をゆっくりとまわる。移動が少ないので体が冷える冷える。クマザサハナムロの群れが根の周囲を回遊し、根の中を探せばいつものハタタテダイが元気にホバリングしている。透明度もよくて天気もいいので本当に南の海のようだ。スリバチカイメンの中にはアカハタやネッタイミノカサゴが身を隠している。名物のカゴカキダイも健在である。のんびりとした1本だった。
ここで約半数が帰り、残ったメンバーで3本目を潜る。
カウントダウンの時に見たナマコの子供がどうしても見たい、と主張する人物(隠すことはないか。ご存じ中矢さんのことである)のリクエストでオレンジハウス前にエントリする。昨日の2本目よりも遅いエントリで夕暮れの雰囲気であるが、夜になると「ナマコの赤ちゃん」が出てくるんだとナマコ大好き中矢は嬉々としている。沖までは出ずにナマコ広場を中心にこれまたゆっくりと潜る。キリンミノやミナミギンポ、各種チョウチョウウオの幼魚を鑑賞した上で、広場の石をめくりながら「ナマコの赤ちゃん」を探す中矢さんを私は少し離れて眺めていた。こんな小さな頃にナマコ大好物人間の好奇の目に晒されて、彼らにはきっと酷いトラウマが刻み込まれたことだろう。
帰り際に前日のカミソリウオを探すが、少し移動したようでなかなか見つからない。と、サンゴの陰にゆらゆらと動く黒い藻のようなものが見えたので近づいてみるとカミソリウオだった。確かに遠目では藻のようにしか見えないが、その擬態する藻がないこのあたりでは目立つでしょう。しかしながらカミソリウオは人間に囲まれていても健気に藻のふりをしていた。ところで昨日は2匹いたのだが、大きい方が見あたらない。どこにいったのだろう? 離ればなれになったのでないといいが。
夜は「遊食旬彩 彦兵衛」で宴会。初めての店だったがおいしかった。ここでも最後に注文した焼きおにぎりが巨大だったため、ちょっと食べ過ぎる。
2004. 1/ 3
最終日の3日も朝から快晴である。串本でこんなにも天気がいいツアーは初めてかもしれない。こいつは春から(おみくじのことはもう忘れて)縁起がいい。
1本目は「備前」にもぐる。ネジリンボウの「ねじり」がちゃんと繋がっているかどうか確認したい、という中矢さんのファンキーな要望に答えてハゼ探しに一気に砂場へ移動。いつも発見する場所よりも少し南よりのような気がしつつも全員で探す。探す。探す・・・が、ヘビギンポばかりでネジリの一つも見あたらない。テンスのちょっと大きめの幼魚が近くを横切るがみんなには見向きもされていなかった。捜索を打ち切り岩場へ上がると中矢さんが手に何か持っている。ホラ貝だ。どうやら初めてのようで興奮している様子である。可哀想に。彼にはきっと酷いトラウマが以下同文。
船に戻る途中でモヨウモンガラドオシや普通に泳ぐウツボを発見。ウツボは出稼ぎで出歩いてるんですかね。アンカー付近の根に住み着いているサザナミヤッコも健在でした。
ツアー最後のポイントは「サンビラ」(漢字で『錆浦』と書く。呼びづらいのでいつの間にか『サンピラ』と覚えてしまっいて、笑われた)。いつもはここに潜ると薄暗く感じるのだが、透明度もよくかつ天気もいいので砂地がとても綺麗に見える。が、ここは砂泥底で、ちょっと手をつくだけで細かい砂が舞い上がり、視界が真っ白になるので注意しなければならない。まず砂地を回るが、そこかしこで魚が逃げる痕跡(砂がちょっと舞い上がる)が見られるものの肝心の魚が目に入らない。そこらじゅうにいるクサハゼなのか、別のハゼなのか。そこに10cmぐらいの見慣れない魚が三匹泳いできたのでハゼは諦めてその魚を観察することにした。どこかで見たような見ていないような魚だったが、あとで図鑑で調べるとイトタマガシラだった。覚えておこう。
岩場の方に上がっていきウミキノコを見るが、記憶にあるよりもずっと数が少ない。もっと一面ウミキノコだった気がするのだが、場所が違うのだろうか? また確かめに潜りにこよう。
ということで4日間で8本と堪能したツアーは終わった。帰りの有料道路が渋滞というおまけもついていたが、渋滞中前を走る車のリアウィンドウからこちらを見ているかわいい少年とずーっと遊んで(おかしな顔をする、一夜干しのスルメをみせる等々。私のスキンヘッドを見せる、はあまり受けなかった)いたので退屈はしなかった。年の初めとしては最高のダイビングが楽しめたと思う。
家に帰って体重を量ると3kg増えていた・・・。恐るべし、串本!