リ〜〜〜〜ンゴ〜〜〜〜ンリ〜〜〜〜ンゴ〜〜〜〜ン
祝いの鐘が鳴り響く。よく晴れた初夏の朝、地球国航空宇宙軍城では、MK王子の花嫁選のパーティが開かれようとしていた。
祝砲が鳴り響き、なぜか実弾が使われている着弾点は、メートル刻みで間隔が置かれ、祝砲の砲手の腕前を通りがかる町の人々に見せつけている。
城下に家々の娘たちは着飾り、お城のパーティー会場へと急いでいたが、街外れのとある家では、一人パーティー会場へ向かえない乙女が悲しみにくれいていた。
「シンデレラッ!お前は掃除と洗濯よっ!」
姉‥ヴァイズUが、シンデレラに山のような洗濯物を放って、玄関を出ていった。
「うう・・・御姉様、ひどいっ」
くすんと涙を拭いて、シンデレラは散らかった衣服をかき集める。シンデレラの父は、現在の義母と結婚し、間もなく亡くなった。義母は連れ児である実娘の姉‥ヴァイズUは、以前のシンデレラのように着飾らせ美味しいものを食べさせていたが、シンデレラには辛く当たり、まるで小間使い扱いしていた。
「お父上様さえいらっしゃれば、私もお城のMK王子様の花嫁選びに参加できるのに・・・」
ごっつい手でぎゅっと拳固を作り、口元に持っていく。並みだがその拳骨の上を滴り落ちていく。
ポトリ・・・床に落ちた涙が突然光り出した。
「何だっ!」
父の形見の、ライフルを構えてシンデレラは後ずさる。
「呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじゃ〜〜〜ん♪」
ツバの広い帽子に、ローブのいでたち。手にはお星様のついた光り輝く棒を持った、少女が現れた。
「呼んだのはあんた?」
「私のお呼びしたのは、お父上・・では、貴方は私のお父様?」
「誰があんたの父ちゃんや、あたしはレディ・L。魔法使いのレディ・L様よっ!おほほほほほほほほほ」
突然現れた少女は、高笑いしながら啖呵を切った。
「魔法使い様」
シンデレラは、魔法使いのレディ・Lをしげしげと眺める。大きな縁の眼鏡、薄紫のローブ、子供のような大人のような?
「あんたの父ちゃんから、たのまれたんよ、お城のパーティーに、いかせてあげてくれってな」
「まあっ!」
嬉しさのあまりに、じだんだふむシンデレラ。
「おいおい、ゆれるやんか。そうか〜〜そんなに行きたかったんやなあ、よっしゃ、奮発したる!」
うんうんと頷いて、魔法使い‥レディLは、ぶんっと星の棒を振った。キラキラと星の帯がシンデレラを取り囲む。
一瞬後、そこには可憐なお姫様が立っていた。
「ああ、お姫様みたい」
ハスキーな声から、少女らしい澄んだ声に変わり、体の線もほっそりと女の子になっている。純白のドレスは、長い裾がふわりと円を描き、優雅なラインをかもしだしていた。ざんばらだった髪は、整えられ編み上げた頭に、小さな冠が乗っていた。
「どや、べっぴんさんになったやろ」
魔法使い‥レディLは満足そうである。
「何だか私じゃないみたい」
はにかみながらくるりと回って見せるシンデレラ‥ヴァイズIであった。
「城に向かうまでに、馬車がいるな。そこのネズミっ!」
「あっしが何したってんですかい〜〜」
大騒ぎに、興味を出したネズミ‥スコットは、庭に連れ出され魔法使い‥レディLの魔法の餌食になった。
「ううううう・・・馬になってしまった〜〜〜」
「たまには気分換えてみい」
いななくネズミ‥スコットに、カボチャを並べまた振ると、立派な馬車の出来上がり。そんなことを何度か繰り返し、くるくるシンデレラ‥ヴァイズIが回っているうちに、お城行きセット一揃えが出来上がったのであった。
「さあ、急いでや、魔法は今夜の十二時の鐘が鳴りおわったら解けるさかいにな」
「ありがとうございます、何から何まで」
「忘れるな〜〜十二時やで〜〜〜」
ガラガラと、走り始めた馬車を見送って、魔法使い‥レディLは一息ついた。
「それにしても、シンデレラがあんな娘だったなんて、あいつ黙っとったな。追加で、ハッカー用のソフトサービスさせたろ。」ぶつぶつ呟きながら、また棒の一振りで消えていった。
「ああ・・つまんねえ」
MK王子は、今日何十回目かの欠伸をした。
地球国航空宇宙軍城には、美しい出で立ちの姫君達、MK王子の為に呼ばれた芸人達、各国から献上された珍しい食べ物や、宝石などが、所狭しと大広間を埋めつくしていた。
「そんなお顔などなさいますな、あの姫などどうですか?」
人のよさそうな顔で、臣下‥アンドレーエフ中尉がMK王子にやんわりと注意した。[あの姫]を、眺めやってMK王子は臣下‥アンドレーエフ中尉に言った。
「黒髪の日系人はお前の趣味だろうが」
確かに美しいが、自分よりかは年上の姫君の名前は確か、緒方優とか言ったはずだと、MK王子は追加した。
「いや、お恥ずかしい」
「こんなことならパソコンしていたい」
「これ!誰か芸を見せよ!MK王子はご不満であらせられるぞ」
気を取り直して、臣下‥アンドレーエフ中尉は大きく手を打った。それに答えるように、ざわざわと人が分かれ、開いた空間に幾人か出てきた。
「今日は、MK王子におかれましては、大変お日柄もよく・・」
「口上はいいから何かやってみせい」
白衣の老人の、長そうな話を中断させ先を即させる。
「取りい出しましたる、この設計図、何かと申し上げますればあら不思議、家計簿・税金対策・果ては戦争シュミレートまで幅ひろ〜〜〜くお使い頂ける、スーパーコンピュータにございます」
「それは凄いな」
「ただ、材料が難儀でございまして・・・・」
「なんだ?」
「人間の脳を使いました、バイオコンピューターでございますれば12人分の賢者の脳を・・・・」
「却下である!次!」
まだ何かわめこうとするオレリー博士を衛兵がずるずる引いていった。
「エレナで〜〜す」
「ダグで〜〜〜す」
「二人合わせてサイナス市保安部殺人課逆上コンビで〜〜す」
小柄な女性と、体格の良い男性が2人で漫才を始めた。
エレナ「殺人とかけて、メルトダウンと解く」
ダグ「その心は?」
エレナ「もう手遅れ〜〜〜」
ダグ「なるほど、では[エレナ]とかけて、締切り一ヶ月前の作家と解く」
エレナ「その心は?」
ダグ「心臓に毛が生えている〜〜〜」
バキッ!と、鈍い音がしてダグは殴り飛ばされてた。
「それでは、お後がよろしいようで〜〜〜」
なかよさげに、2人は退場していく。
「大変でしょうな、あの二人の上司は・・・」
MK王子の後ろで、誰かが呟いた。
「次は・・・・私ですな」
褐色の肌の、精悍な青年が現れた。
オロイと名乗ったその青年は、じ〜〜〜〜〜〜っとしている。
十分‥‥十五分‥‥ザワザワとしはじめた頃、オロイはふと顔をMK王子に向けた。
「私に芸をせよと?」
「良い、私が悪かった・・・・帰れ」
「次!」
「竜二でえっっす!」
アロハを着たチンピラが出てきた。
「何でも壊せまああっっす!」
「こらこら」
すると同じ口調でもう一人出てきた。
「バートラム・ラッセルでえす♪爆弾で何でも壊せまあす!」
「ふっ、俺は何にも使わないでこわせるぜっ!」
えっへんと、胸を張る竜二。頷くラム。くるりと振り向き。
「ダンテ隊長!いい人材いましだぜい」
「おお!でかしたラム!」
「外惑星連合軍の人材不足は深刻だからなあ」
プローがいそいそと、入隊志願書をもってくる。
「ランス!ラ〜〜ンス!」
人垣から出ようとしない副官を、ダンテは呼びつける。
「出てこいっ!MK王子に失礼だろうが」
「いやだ〜〜、隊長、あんたがやればよかったんだ」
「亜呆、俺がやったら気持ち悪いだけだろうが」
ぐいぐいと手を引いて、ぽんっ!とランスが引っこ抜かれた。
「やっぱり色が白いと、化粧が生えるねえ、副長」
嬉しそうにロットが言う。
薄いピンク色のドレスを着せられたランスは、ごつかったが奇麗だった。
「お美しいですな、MK王子。伝説のキャサリン姫の様ですな」
「男というのが、問題だろうが」
臣下‥アンドレーエフ中尉の耳打ちを却下する。
「何たって姫(貢ぎ物)付きじゃないと入れないんだもんなあ」
ダンテは楽しそうに、ポンポンとランスの背を叩く。
「MK王子に、直訴いたします!」
人込みを押し分けて、ミッチナー姫が現れた。
「私を嫁にして頂ければ3年で優勝の狙える国にして見せます!どんな不利な戦況でも開戦して見せます!」
髪こそランスと同系色だが、ガタイが違った。
がっしりした顎、ずんぐりした腹、しっかりと刻まれた皺。
「衛兵っ!つまみ出せ!」
MK王子が叫ぶのを待ち兼ねたように、衛兵がミッチナー姫をつまみ出した。
「何とぞ!何とぞお慈悲を〜〜〜〜!ミッチナーこのミッチナーをお忘れなく〜〜〜〜〜!」
選挙演説のように、自分の名を連呼しながらミッチナーはつまみ出されていった、その横でいまだ陸戦隊勧誘は続けられていた。
「いま入隊すると、別嬪のむっちりむにむにのうちの副長が暖か〜〜〜〜いおもてなしをしてくれるぞ」
頑として首を振らない竜二の耳元で、ラムがうふふと囁く。
え?と、竜二は改めてランスを見る。
「き・・・奇麗だ」
「ほほほほほほほ、竜二さんとやら、騙されてはいけなくてよ」
「誰だっ!」
「ローレンス・ブライアント、元婚約者ローズでございます」
「ロ・・ローズ!」
「情けないっ!あたくしに振られたとはいえ!そこまで落ちるとはっ!」
「お・・・お釜だったのかあ!」
「違うっ!ローズこれには訳がっ!」
「いいじゃねえか、ランス。お前を振るような女なんざ忘れちまえよっ!」
「隊長!もてないあんたにゃ、わからねえっ!」
「なんだとおっ!」
「やめんかみっともないっ!」
「山下准将!」
「祝いの席で何事だっ!早々に立ち去れい!」
山下准将の一喝に、一同黙って広場を出ていく。
「MK王子、失礼した」
「いや、かまうな面白かった」
山下准将の礼に、MK王子が返し、その場が静まっていった。
「シンデレラ‥ヴァイズI様〜〜〜〜」
お城の広間に、シンデレラ‥ヴァイズIの名前がよばわれた。
おおおっ!どよめはが広がる。
「美しい・・・」
周囲の反応に、驚きはにかみながらも、しずしずとシンデレラ‥ヴァイズIは、MK王子の前に進み出る。
「貴女の名前は?」
「シンデレラ‥ヴァイズI」
それで決まったようなものだった、MK王子は玉座から立ち上がり、シンデレラ‥ヴァイズIの手を取った。音楽が始まって二人のダンスが始まった。
楽しい時は、瞬く間に過ぎる。はっと気がついた時には、十二時が迫っていた。
「いけないっ!もう帰らなければ」
「シンデレラ‥ヴァイズI貴女の家はどこですか?」
「ああ。王子様お許しください」
ボ〜〜〜ンボ〜〜〜ンボ〜〜〜ンボ〜〜〜ン・・・・・
十二時を打ち始める鐘を止める術はない。
シンデレラ‥ヴァイズIは、慌てて車止めに向かう。後を追う、MK王子。
「シンデレラ‥ヴァイズI!」
「帰らなければ!」
カツン!と、シンデレラ‥ヴァイズIの片方の靴がMK王子の足下に転がる。
「さよ〜〜なら〜〜〜〜〜〜」
「シンデレラ‥ヴァイズI!」
忘れ物の硝子の靴を持ったまま、MK王子は茫然と見送るったのであった。
さて、シンデレラ‥ヴァイズIを、忘れられないMK王子は、国中におふれを出し、捜索を開始した。
「[シンデレラ‥ヴァイズI姫を見つけたものには、褒美を望みのままの金額。シンデレラ‥ヴァイズI姫、当人はMK王子の妃として迎える]・・・か、シンデレラあんたと同じ名前だけど、ずいぶん境遇が違うわね」
姉‥ヴァイズUは、せっせと布団を干しているシンデレラの背中をつんと蹴った。
「お姉様・・・」
今までのシンデレラだったら涙ぐんでいた。しかし、今の彼女は違う。あのMK王子が、自分を捜してくれているのだと思うと、胸が高鳴るのだった。
「でも、私だってわかってくださるかしら」
魔法がかかった姿で会っているので、こんなみすぼらしい身なりの私はもう解らないかもしれない。ちょっと、しょんぼりしたシンデレラであった。
「この家に、娘はいるか?」
シンデレラ‥ヴァイズI姫捜索隊が、シンデレラの家の戸を叩いた。
「はいっ!います!いますともっ!」
義母が、慌てて戸を開ける。
捜索隊は、うやうやしく硝子の靴を差し上げて入ってきた。
「シンデレラ‥ヴァイズI姫は、MK王子様の元にこの靴を残された・・故にこの靴に合う娘がシンデレラ‥ヴァイズI姫と認定される、挑戦する娘はいるか?」
「私が挑戦いたします」
姉‥ヴァイズが、うやうやしく捜索隊にお辞儀した。
「隊長、シンデレラ‥ヴァイズI姫ににてらっしゃいますな」
こそりと、同行の一人が呟く。
「顔だけでは解らん」
「娘、この硝子の靴に足が合うか?」
「ただ今証明いたしますわ」
すっと差し出した素足の前に靴が出される。
「ゲッ!」
姉‥ヴァイズは思わずうめいた。
「何?この大足っ!」
硝子の靴は大きかった。どれくらい大きいかと言うと、28センチ位であった。とても乙女の足には見えない。案の定、姉‥ヴァイズが履くと遥かに余る足の幅であった。
「こんな足の姫なんているわけないわっ!」
癇癪を起こして、硝子の靴を投げようとする姉‥ヴァイズに、シンデレラがタックルした。
「やめて、お姉様!」
「何するのっ!シンデレラ‥ヴォルテ!」
部屋の端まで吹っ飛んだ姉‥ヴァイズが文句を言う。
呆気に取られていた捜索隊隊長後藤大尉が、気を取り直しシンデレラ‥ヴォルテに向き直った。
「靴に挑戦するかね」
「はいっ!」
シンデレラ‥ヴォルテの大足に、すっぽりと硝子の靴がはまる。
おおおっ!どよめく一同。
「そんな馬鹿なっ!」
「シンデレラ‥ヴォルテが、シンデレラ‥ヴァイズI姫なんて」
「あたいの魔法のおかげやっ!」
魔法使い‥レディLが、光とともに現れた。
「魔法使い様」
「幸せになるんやで」
「はいっ!」
「ふっ、甘いなシンデレラ‥ヴォルテ」
捜索隊隊長後藤大尉が、冷たく笑う。
「何?」
「捜索隊隊長とは借りの姿、しかしてその実態は航空宇宙軍第二生物学戦研究所警備隊長なのだっ!」
バッとマントを払うと、なぜか軍服が変わっていた。
「ふふふふ、シンデレラ‥ヴォルテ捜したぞ!シンデレラ‥ヴァイズIの記憶を持ったお前だ、この国に現れると思って網を張っていたのだ」
「私は貴方なんか知らないわ!」
ずりりとあとづさるシンデレラ‥ヴォルテ。
「それはお前の記憶が不完全だからだ、さあ研究所に帰ろう、レオノフ博士も待っているよ」
「嫌よ、MK王子様のお妃になるのっ!」
「無駄だっ!」
「逃げるんや!シンデレラ‥ヴォルテ!」
くるりんと星の棒を回して、魔法使い‥レディLがめくらましの魔法を使った。一同の前に、巨大なオルカが現れた。
「ジョオオオオオオイイイイイイイイイイッ!」
謎の老人がオルカを追って闇にきえた。
我に帰った後藤大尉たちが見たときには、シンデレラ‥ヴォルテは家の外に遁走していた。
「チイ!しまった!逃がすなっ!」
「シンデレラ‥ヴォルテ!こっちだっ!」
野外に出たとき、かけ声と共に追っ手とシンデレラ‥ヴォルテの間に砲弾が打ち込まれた。
「姫君!こちらですっ!」
「ジョーズやんか!」
「げっ!魔法使い‥レディL」
「MK王子から言われて、迎えにきたんだ。あの後藤って奴はどうも好かんらしいからな」
「モガミ・オルドレイ国もかんでるみたいよ」
「ジョーズと呼ばれた男の横に、美しい女性がいた。
「私はヴァレリア。よろしくね」
「とにかく、城に逃げこもう」
「よっしゃ、車みつくろったる」
運悪くネズミ‥スコットが通りかかった。哀れな抗議の声も車のクラクション音となり、一同を乗せて城にひた走る。
「あっ!城が燃えているっ!」
後藤大尉の追っ手からカーチェイスで逃げまくり、城に着かんとした時、その美しい城から黙々と煙りが湧いているのを一同は見た。ラジオをひねる。ニュース速報をやっているはずだ。『・・本日正午過ぎ、赤頭巾ちゃん‥ジャムナが、地球国航空宇宙軍城に、火を放ち逃走しました。関係者によりますと、赤頭巾ちゃん‥ジャムナは父親を捜しにきたと門番‥タマンを騙し、入城その後行方不明になり、捜索中に放火に及んだものと思われるとのことです。なお、SPAより、犯行声明が出され計画的犯行であったと、警備側の手薄を指摘する声も上がっており・・・・』
「すげえ女の子だな」
「MK王子は?」
「あそこっ!」
ヴァレリアが指さす方向に、のんびりしたMK王子の姿があった。
「遅かったから迎えにいこうとおもってさ」
「それどころじゃないでしょう、城が!」
「ああ、大丈夫父君が手を打っていたから」
「なに?」
ずずずずっ・・っと地鳴りがして、大きく地面が揺らいだ。
「城が・・・崩れるっ!」
大きな音を立てて、火災中の城が崩れた。
追っ手の連中も止まって、茫然とする。
揺り返しのような振動が再び起こった。
地割れが起こり、後藤大尉一同追っ手が飲みこまれた。
ぐおん・・ぐおん・・ぐおん・・・ぐおん、大きな機械音がして瓦礫の中から、何かがせり上がってくる。
「あれはっ!」
「お城がっ!」
瓦礫を撥ね除けながら天守閣が現れ、下層も出てきた。
「さあ、シンデレラ‥ヴァイズI姫、城へ行きましょう」
「ああ、王子様」
「あの城は・・・・」
「アクエリアス城と申します」
「王様があそこに」
魔法使い‥レディLが指さす先に、天守閣があり、人影が見えた。
世界に響かんとする、その声で王様は一言。
「うちの娘がいっちゃんかわい〜〜〜〜♪」
かくして、谷甲州王国MK王子嫁取り騒動はこれにて一見落着。
つるかめ つるかめ