少し間が開いてしまったんですが、九月二十三日(土)秋分の日は、
国立天文台野辺山宇宙電波観測所の特別公開日でした。どういうものかと思って出かけてみると、ようするに学園祭のノリでございました。
それに、掲示板には生活の匂いがしっかりと染み込んでいまして、「あぁ、あそこでボイジャーのデータを解析してたんだよなあ、最先端科学の牙城なんだよなあ」と思ってたんですが、「学者だって人間だ、ファミコンもやればSFだって読むんだよなあ」という感想をもって終りました。
本館では液体窒素や液体ヘリウム、超伝導物質の公開(なんと、七○度Kです)やらをやっていました。ここの説明をやっていた人はどこか人外協やHSFL(注:ハードSF研究所のことです)の人と同じノリで、いつ、科学を刃物にしておもしろいことをやらかしてもおかしくない人でした。「バビロニアウェーブ有効利用法」を主催した鈴木端明さんはここの職員だけど、見当りませんでした。彼は、今年六月に堀晃さんをゲストに迎えての「ロリコン」にも来ていたのですが……
そして電算室では、実際の観測データの映像化をやってました。「サイセンタン」なんだなあ、という感じがヒシヒシと伝わってきました。
六メートルの鏡のところでは、ラツプトップパソコン(時間がないのでBASICで組んでたそうですが、メモリー目いっぱいだろうなあ)を使って、見学者が実際にパラボラの操作をするデモンストレーションをやっていました。
夏と秋では地球の自転速度が変る、という話も聞きました。「地球人全員が、一斉に東に向かって走り始めれば、人為的に変えることができるかもしれない」といっていた人は、どこか神林さんに似た、目つきがSFしてる人でした。
干渉計管理棟では、受信機を分解して見せてくれました。半導体から、回路、ギアや外箱まで手作りだそうです。自分たちで旋盤回したりしてるそうですし、冬はつるはし持って移動用レールが凍りついたのを掻き落としたりしているそうです。科学はコンジョーと体力だ!
そして、一番驚いたのは、やっぱり四十五メートルパラボラアンテナの大きさです。三階建てのビルの上に乗っているのですが、遠目ではピンと来なくて、距離感が失われてしまいました。真下まで行ってみて、その巨大さに圧倒されてしまいました。視界のすべてをアンテナが覆ってしまう量感は凄いものでした。BSアンテナの数万倍の面積ですぜ。クリビツテンギョー!っと叫んでしまうとこだった。
敷地がもともと信大農学部からの借り物ですから、牛も歩いてます。
ここで同行者が「館内放送で、八月十九・二○日に三谷温泉にいた奴集まれっつったら何人集まるだろう」と言い出しました。ワシ等三人はいたんだし、職員で確実に一人はいたし、二千人くらいの見学者がいたんですが、一割は集まったかも知れない。
館内では、あの、電波をレーザー光線に変調してデータを取り出す装置を見ました。そして、その時アンテナを向けながら太陽電波のデータを解析していたり、ボイジャーの時の写真、光学的装置では捉えきれない宇宙の姿や、今後の宇宙電波観測のプランなどを紹介していました。
それにしても、ほんとに学園祭のノリで、暗黒星雲なんかの模型(それもふとん綿と、色つきセロファン紙と針金で作ってあった)がとてもかわいかったです。
ここで問題です、四十五メートル鏡のメンテナンス、雪が降ったときは、どう対処しているのでしょうか。まさか命綱付けて雪かきするんじゃありませんよ。
正解者の中から抽選で一名様に、野辺山天文台オリジナル1990年カレンダー(電算室のNIPで印刷したものです)をさしあげます。
締め切りはこの甲州画報発行からちょうど一カ月後とします。
正解は、11月発行予定の「野辺山電波天文台レポート特集」を買って下さい。価格未定。尚当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
* このクイズは画報掲載当時のもので、今は関係ありませんので無視するように、