ワールドコン in グラスゴー

落合[MSG]哲也

エジンバラの城下町は熱気と喧騒に包まれ、古風な石造りの建物の街とディーゼルエンジンの吐き出す排気ガスの匂い、道を歩く可愛い(本当に可愛いいんだよ)英国娘が投げ棄てる煙草の煙、奇麗であったりグロテスクであったり面白かったりする色とりどりのポスター、バグパイプを演奏するオヤジ、とんでもない坂道、ごみ、その他もろもろがうろちょろしている。
 ここはスコットランド。今はエジンバラ・フェスティバル。すべてが輝き歌い踊り飲み騒ぎ浮かれている。
 我々はといえば、White Hart inn にて乾杯し、大いにメートルを上げている。
 そう、ここは白鹿亭。無事に辿りついた祝杯だ。 ・・・あれ?

 ぬぬぬ。 ワールドコンレポートだった。でも、スコットランドはとってもいいところだから、一度は行くといいよ。 女の子の美人度は80%を越えるよ。棒読みの英語のほうが通じやすいよ。あれ?

 のののの。それはさておき。
 今回のワールドコンは、ヨーロッパが主力という事で、「いつもの」顔というのには出会えなかったのだが、僕のワールドコン参加が初めてだというのに慣れてるような書き方せんでもいいですわなという話は余分なので省くとしてもちょっと増長してないか?ジェリーアンダーソン。企画のすっ飛ばし一件、30分の遅刻一件。許しがたいぞ。でも好き。映画だけじゃなく、実物も面白くてサービス心旺盛なマイク・ジトロフ。あああああああああホンモノがぁホンモノが目の前にぃぃぃぃ。ロバート・フォワード博士には、持っていったサブノートを渡して、テキストサインをして貰ったしジョー・ホールドマンも見たし、ここここここここここここ感動の嵐。雰囲気は「暗黒太陽の浮気娘」そのまんま。
 以上感想終わり。

●オープニング

 実行委員長夫妻によるかけあい漫才とゲスト紹介、グラスゴー市長の挨拶(イヤミとギャグたっぷり)など、日本のSF大会とそんなに違いは無いのだけど、やっぱし違うわな。大体、なんでもかんでもゲストじゃないし、でかいし。しょっぱなから圧倒される。

●企画

 たっぷり五日間のコンベンションではあるが、初日から企画が結構多く、特に science ルームなどという企画部屋では、ず〜〜〜〜と科学関係、SETI関係、CONTACT関係の企画が行われていて、好きモノには堪えられないでしょう。言葉が解れば。
 そして、恐ろしいのが「替え歌部屋」。ここでは、一日中替え歌の企画があり、夜を徹しての「All Night Filk Circles」という企画も毎日行われていて、夕方になるとギターを持って会場に現れる一団も目撃されており、底の深さというか、体力の違いというか、お前らよう暇あるなぁというか。SF大会に何しに来てるんだというか、隔離されてるというか。
  あと、面白い企画(タイトルのみでも)をあげると「クリンゴン語の部屋」「笑う宇宙」(なんじゃこりゃ)「CONTACT Game Session」「惑星植民化のシミュレーション」「替え歌の部屋:ベッドタイム編」「コミックの中のホモ」「替え歌の部屋:ラブクラフト編」・・・なんかイロモノばっかり探してしまうな (^^;)。「ファンダムにおけるセックス」なんてのもありました。

●ディーラーズ・ブース

 ディーラーズは、ファンジンからプロ、スポンサーになってる本屋さんなどが入 っているので色とりどりのモノが並べられて、初日に目当てのものをまとめ買いしておかないと、あっという間に無くなっているという感じ。まぁ、高価なものは、売れ残っていたので、ジャパンマネーの底力をぶいぶい振り回せる人はゆっくりしててもいいかも。デビッド・ブリンの豪華本の、「生」なんてぇ日本語を使った妙ちくりんな本などは、買いたかったけど六百ドルもしやがんの (;_;)。(アメリカからの業者では、ドル取り引きも多かった)
 それに今回の特色として、やはり英国、ITC物が多くてプラモデルなんかは、どんどん売れていました。今井科学のエンジェルファイターとか。
  業者のブースなども結構あって、エイリアンなんたらという以前(今もあるのかな?)東京方面にあった(町田のはよく行った)αベースというレーザー銃を打ち合う体力ゲームのエイリアン版の宣伝もやっていて、エイリアンに追いかけられている男達が、ペプシの自動販売機の前で絶対絶命の状況に追い込まれ、エイリアンが尻尾を一振りすると自販機に当たってペプシが一本転がり出る。思わずその缶をエイリアンに向けて投げるとエイリアンがそれを受け取ってプシュッ。ごきゅっごきゅっごきゅっ・・・ ぷはー。てな広告をカメラワークや雰囲気を映画そのまんまにやっていたので、常に人だかりがしておりました。よくやるなー。
 また、あるブースでコンドームを配っていたので、貰おうかと思って近づくと、そこはゲイのブース。 「どうかね、 にいちゃん」 とブースに座る女性(なんでや?)が微笑みかける。 ちょっと怖くなってアルカイックスマイルで脱出 (;_;)。 まぁ、なんでもありますね。 ファンダム自体が大人数で構成されているので、一つの文化圏の「なんでもありな祭典」という雰囲気が。
 もちろん、今流行のインターネット接続もやっておりました。自由にアクセス可能。 マイクロソフトが win95 の発売に合わせて、有名作家がmsn(MicroSoftNetwaork)にアクセスしてチャットするというブースもありました。ジョー・ホールドマンはキータイプに慣れてなくて、奥さんが代わりに打鍵するという微笑ましい一幕も。

●パーティ

 それから忘れてならないのが夜のパーティ。 ワールドコン立候補地や、その他の自主パーティがホテルで開かれているのだが、このパーティの時こそ、「こいつ、ワシのツレやねん」と呼べる外人を作るチャンス。自慢のサブノートパソコンを広げて、日記(実は旅行日記を書いていた)を書いてるだけで(イギリスは喫煙には寛大だが、世界的に嫌煙主張が激しいんだろうなぁ。会場は禁煙なので喫煙用の休憩室というのがある。そこで煙草を吸いながら日記をつけてた)
 「あら、 なかなかいいわね。 ワタシはHPの200LX使ってるけどね」
 「おお、200LXは日本でも有名でポピュラーですよ」「あらほんと。とっても便利なのよね」「そうすね(ヲタク女だ・・・世界は広いぜ)」
 「お、それどこのマシン? ほー。いいね。でも白黒なんだ?」「携帯用ノートには白黒が一番さ。 見ろよこの軽さ」
 通りかかったら声をかけてくる奴が結構多い。ああ、マシン持っていって良かった (;_;)。無表情な東洋人が酔っ払って座った目つきで煙草吸っててもだれも声はかけてくれんだろうからなぁ。
 もちろん、 ジャパンパーティもあり、 ここでロバート・フォワード博士に「テキスト・サイン」をもらう。(ノートパソコンにメッセージを打ち込んでもらった) この時、横で江藤巌さんがぼそっと「ついでに短編をひとつ」・・・をいをい。
 いろんな人と話をし、前日のパーティでひっかけた、ドイツ人のトレッキーのおねえちゃん(これがスレンダーな美女なんだ。うひょひょ)が来たりするとうれしさが込み上げてくるし、IDを教えあい、好きな作家、作品、お薦め作品をそのへんの奴に聞いたり。不自由すぎる英語力でもなんとかなるもんで、「こいつぁ貰ったようなもんだな」てなもんですわ。でも企画楽しむにはなぁ (;_;)

●特筆ネタ

 大迫さん、中村 [たかしくん] 孝さん、僕の3人は CONTACT Japan の発表があり、 ネームプレートに 「PROGRAMME PARTICIPANT」のビラビラを付けて(企画控え室などで酒飲み放題、ゲストに会い放題)偉そうにしていたのだが、磯崎 [閣下]さんは、アートギャラリーに出展していたので「VIP」 というビラビラをつけていた。世界に羽ばたく翻訳家に続き、世界に羽ばたくアーティストの誕生である。磯崎さんは「あなたの描いたドラゴンはワタシのイメージにぴったりでーす」と言いながら抱きつかれるほどのファンも獲得。
 「VIP磯崎(アーティスト)」という名称をここに提案しよう。拍手。
 (読み方は、「ぶぃっぷいそざきかっこあーてぃすとかっことじ」)

 あああまだ自慢したい事や失敗談がたくさんあるのに、行数が多くなりすぎる。
 今度宴会ででもお話しましょう。でもって来年のワールドコンに行きましょう。英語勉強しましょう。来年のワールドコンは、ロサンゼルスで行われ、日本からのアクセスも比較的容易(安価)で、ゲスト・オブ・オナーには柴野先生も選ばれている記念すべき大会ですから。行かなきゃわからんしレポートなんぞなんぼ読んでもだめざんす。一週間朝から酒かっくらいーの、上には上がおるもんだと思うようなヲタク団体の中に身を置きーの、あの作家この作家がそのへん歩いてるのぼんやりと見たりーの。百聞は一見にしかず。しかし一見したら抜けられないという問題もあるんですが:-)。なんべんもいいますが、ねーちゃんもきれいでほんまに。
 (注:SF大会に来ている、USのねーちゃんは<以下自粛>)


イラストレポート


 コペンハーゲン空港。
 デンマークのはずれに位置する、有名な空港である。女の子に「ちょっとコペンハーゲンに6時間ほどね。飛行機の接続がね」なんていうと、きゃぁすてき〜♪抱いて〜、てなもんである。
 だが人よ名を問うなかれ。 いやいや。ゆめゆめ油断してはなりませんぞ。特に目的地がデンマークでない場合には。空港内での通貨は、当然のことながらDKKなのだ。デンマーククローネ(いいんかな?読み方は)なのだ。単位が同じでも隣国のスウェーデンやノルウェーとはレートも違う。空港内で飲み食いしたり、おみやげ買うならDKKに両替しなくてはならない。まぁ、空港内の銀行で日本円も扱ってるので面倒は無いんだが。
 で、何故にこんな話を長々と書いているのかというと、我等夫婦(行きも帰りも二人だけだった。往路は関西国際空港→コペンハーゲン→グラスゴー、復路はその逆順)は、行き先の英国の事は調べたけれども、途中に立ち寄るコペンハーゲンの事なんか、毛ほども考えてなかった。だから、通貨の単位すら知らなかったのだ。 そこで夫婦の会話(両替前のウインドウショッピングにて)はこうなった。
「ねぇねぇ、この鞄かわいい。でもいくらなのかしら。655だって」
「うーん。高いか安いかわからんな。ほら、ここでCDウォークマンが888だ」
「さっき、アイリッシュ・コーヒーが85だったから……ぬぬぬぬ」
「しかしビールは35だし・・・」
 会話に金額の単位が無い・・・。 物の価値が大体わかるものを基準に、DKKという通貨のレートを推理していく。(後で判明するのだが、デンマーク。おまえ物価めちゃくちゃやど。日本人の感覚では逆算でけん。食料品を含めた場合には全然だぁ)
とまぁ、シュールな状態に陥っていたという話。

 コペンハーゲン土産の、ガラス製の人魚の置物を見た僕が「ローレライの魔女か?」と言ってしまった。普段はボケ役の愚妻が絶句しやがった。いつまでも言われそう。

●教訓:立ち寄るところは全部調べておきましょう。

 いよいよコペンハーゲンからグラスゴーへ。機内で軽食が出る。「コーヒーいかがですか?」「あ、ください」 「なんたらかんたら」 「・・・・・・」「・・・」スチュワーデスさん、きつい。いきなり手に持ったトレイをカンカン叩く。そう、カップをトレイに乗せなきゃならんのだった。なにも子供をしつけるみたいな事せんでもええやんか。しくしく。

●教訓:周りの客をよく観察しておきましょう。

 目的地グラスゴーに到着する。さっさとチェックインしようと思っていたのだが、ここで思わぬアクシデント。 税関で随分と足留めを食った。まるであやしい密輸野郎のような扱いを受けたのだ。 滞在目的なんかを書いた紙を書きますわな。 これを渡して、さぁもういいよね。と通ろうとすると、鋭い質問が。
 「どれだけここにいるのだ?」、「6日間」、「日本での職業は?」、「プログラマ」、「で、どこに行くのか?」 「グラスゴーにずっといる」、「・・・。(ワーカホリックな)日本人が、6日間(も)休暇をとって、グラスゴー(みたいな辺鄙なとこ)で、何をするのだ?」 、「なにって、、、ワールドコンに参加するのだ」、「?」、「むむっ。通じないのか。SECCにおいて開かれる、Sci−Fiのコンベンションだ」、「?」、「隣の女性はワイフか?」 、「そうだ」、「職業は?」、「無職」、「・・・・・・」
 ますます悲惨になっていく通関の時。担当のおっさんは、何度も机に置いてある無線機に手を伸ばしては途中で止め……という動作をする。自慢じゃないが、僕は過去3回ワールドコンに参加登録をしているが、いつも何か変な原因で参加できないでいる。(去年は早めに行くのを断念した)3度目の今度は、現地まで行ってからUターンか? アメリカ横断ウルトラクイズやないねんぞ・・・。 さらに『あ、そうだ。話が通じなかったら、この自慢のサブノートパソコンで筆談ならぬキー談をすれば良いな。うひうひ』などと考えていたのを思い出し、マシンを取り出して電源いれたらバッテリがすでに切れて動かない。ぷつちん。よっしゃ。おっさん勝負や。根比べやで。と覚悟を決めた瞬間に「もうええわ。ま、気を付けて」てな風にとおしてもらえた。 なんだったんだろうか。

●教訓:団体ツアーが一番。

 さて、あっという間に帰路の話。帰りは、クロージングを見ずに月曜朝からグラスゴーを発ち、火曜には帰宅するという過密スケジュールだった。朝の4時に起きてタクシーで空港へ。ねぼけているので、タクシーの運ちゃんに、料金の2倍くらいの金を払う。釣り銭をチップにと思っていたのだが、どうやら札を間違えたのか計算違いか。運ちゃんは、にこにこしながら握手を求めてきて、上機嫌で去ってい った。まぁいいや。親切なおっちゃんだったし。 もうポンドは使わないし。

●教訓:・・・

 寝ぼけついでに、飛行機のチェックイン時に喫煙席を指定しなかった。英国(スコットランドだけかな?)は道が灰皿だし、多分中学生の娘でも煙草吸ってるだろうし、日本と同じでデフォルトが喫煙席だと思ってたんだな。
 これがすぅいぃぃとな考えだったとは。 乗ってみたら、私の席の後ろからが喫煙席でした。
「Can I smoke in this sheet?」、「nn.. no!」 はい、すんません。我慢します。 我慢しますが・・・・・・・だぁぁぁっ。後ろに座ってる馬鹿外人が超チェインスモーカーではないかこの馬鹿。許せん! しかし満席なので席を移動したりはできない。よっしゃ。トイレだ。トイレ出せトイレ。今出せすぐ出せ。すたたたたっとグッドなアイデアに誉めるマイセルフ。トイレに入る。灰皿がある。ぷかぁ。幸せ。とドアを見ると禁煙ステッカーが。そういえば灰皿はまったく使われていない。ああああどうしようどうしよう。換気扇は弱々しくて、煙が全然逃げない。ばれたらいかん。日本人スチュワーデスならいいんだが、英語でなんだかんだ注意されたら何言ってるかわからんのに謝らねばならん。それだけは避けたい。試しにトイレをフラッシュするとすごいのね。じゅぼぼぼぼぼぼぼぼっと真空掃除機がケツまく って逃げ出すほどの勢い。これだっ。これで煙を排気して……と思ったが、音がでかいわ睡眠時間中だわで2回で中止。思案六方泣き分かれ。人間、追い詰められたらなんでもします。
 昔、学校の寮なんかで煙草を吸う時に、最後に濡れタオル振り回した事ありませ んか? 匂いがさっと消えるんですよね。ティッシュペーパーを水で濡らしてぶんぶん振り回し、仕上げにはオーデコロン(備え付け)を大盤振舞い。しばし人間エアフィルターとなって事無きを得たのでありました。(慣れたら2回目は気が楽だ った(2回目は確信犯やないかっ>自分))

●教訓:・・・・・・

●最後の教訓

 いろんな事がある。くじけず恐れない事が肝要なのだっ。
 あ〜〜その。紙面を無駄にしたような気がする。ごめん。来年またいろんな体験をしましょうか。ね。



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