はまなこん・超科学十番勝負

天羽[司法行政卿]孔明

 ごめんなさい、皆さん。
 去年のSF大会で、前野[いろもの物理学者]昌弘さんと、林[艦政本部開発部長]譲治さんが企画した「超科学十番勝負」のレポートを、この甲州画報に書いてほしいと依頼を受けたのは9月頃でした。
 それが今では、96年1月です。世間では、今年小倉で開催されるSF大会の話題が盛り上がっている中、このように時期はずれなレポートを書くのははなはだ失礼だとは思うのですが、ぼくだって、さぼりたくってさぼっていた訳ではないのです。色々と複雑な事情と、様々な妨害活動にあったため、今ごろになってしまったのです。申し訳ございません。
 と、このぐらい謝りの文章を書いておけばいいだろう、うん。

 この「超科学十番勝負」という企画は、大会初日のオープニング後すぐの12時から始りました。
 企画内容としては、そう、なんていうかなぁ・・・、企画参加者を紅白のチームに分けて、それぞれが決められたテーマ(互いに、相反するテーマになってます)に沿うように発言をし、自分の参加したチームの意見が正しい事を証言するという物です。
 参加者を紅白のチームに分ける時、一度どちらかのチームに入ったら、自分の信じているテーマから離れてもチーム移動は出来ないシステムになっていたそうなのですが、当初ぼくは居なかったため、そんなルールを知らなかったんですよねぇ・・・。

【第一番勝負】
(赤) 「英語のルーツは日本語である」 ★
(白) 「日本語のルーツは英語である」

 先に書きました通り、この一番勝負をぼくは見ていないのです、すんません。
 あとで聞いた所によりますと、赤チームが勝ったんだそうです。

【第二番勝負】
(赤) 「UFOを飛ばしているのはオウムである」 ★
(白) 「UFOを飛ばしているのはナチスである」

 この勝負の途中から、ぼくは参加しました。
 はじめ、どういう企画をしているのかが解らなかったので、白チームの後ろの方で聞いていたんですが、どうやらへ理屈を言い合って相手を負かすのだなっと気が付いたので、より面白そうな意見の出ている赤チームの方へと移動して、発言を開始しました。
 曰く、「そもそもUFOが飛ぶ原理を考えたら、どちらが正しいかはおのずと解るであろう。すなわちUFOが飛ぶ原理とは、麻原君とその一味がおたがいの肩に手をやって円陣を組み、空中浮遊をしているのである。また、それが故にUFOは不自然な動きができるのである。さらに、UFOが銀色に輝いて見えるのは、宇宙からの邪悪な電波を受けないようにと円陣の回りにアルミホイルを巻いている為である」と、まぁおおむねこんな発言をしました。
 この発言がよかったのかどうか、結果的には赤チームが勝ちました。

【第三番勝負】
(赤) 「太平洋戦争はなかった」
(白) 「太平洋戦争は日本が勝った」 ★

 どちらもあまり興味深いテーマではなかったため、ぼくはほとんど発言をしませんでした。ただ、相手が発言を言う時間に、司会の前野さんから指名をされる前に自分の意見を言って、イエローカードはもらったような記憶があります。たぶん気のせいでしょうが・・・。
 そうそう、このように、司会から指名をされる前に発言をすると言うのもルール違反だったそうなのですが、これも、最初からこの企画に参加していなかったぼくには知るすべはなかったのです。わはははは。
 勝負は、白チームが勝ちました。

【第四番勝負】
(赤) 「『動物のお医者さん』はスペースオペラである」 ★
(白) 「『動物のお医者さん』はハードSFである」

 このテーマのどこが超科学なのかは解らないのですが、おそらく、そんな風に疑問を持ってはいけないのが超科学なのでしょう。
 この勝負は、赤チームが勝ちました。

【第五番勝負】
(赤) 「エジプトのスフィンクスは火星人が作った」 ★
(白) 「人面岩はエジプト人が作った」

 さぁ、このテーマです。これって、どう考えても白チームの意見の方が面白そうなんですよね、で、最初のルールを知らなかったぼくは、何も考えずに白チームに移動して、発言をすべく司会に向って手を上げたのです。
 結果は、ぼくにレッドカードが出て、赤チームの減点となりました。まいったなぁ・・・。本当に知らなかったんだもんなぁ・・・。
 それでも、赤チームが勝ちました。

【第六番勝負】
(赤) 「タキオンは身体にいい」
(白) 「タキオンは身体に悪い」 ★

なにも言いません。白チームが勝ちました。

【第七番勝負】
(赤) 「地球は凹面であり、宇宙は内側にある」 ★
(白) 「地球は平坦である」

 このテーマの途中で、ぼくの発言権は一時取上げられてしまいました。
 ほんのちょっぴり、やんちゃな発言しただけなのに・・・、前野さんの意地悪・・・。

【仲入り】  十分間の休憩時間です・・・。

【第八番勝負】
(赤) 「SFを読まないと馬鹿になる」
(白) 「SFを読むと馬鹿になる」 ★

 このテーマの全発言中で秀逸だったのは、白チームの、「ぼくを見てもらえれば解るだろう」という発言でした。この発言には、誰も返す言葉がなく、結果的に白チームの勝利となりました。
 もしも同じ発言を赤チームでしていたら、反対意見が雨あられのように返ってきた事でしょう・・・。

【第九番勝負】
(赤) 「宇宙人の言うことは正しい」 ★
(白) 「植物の言う事は正しい」

 これはもぅ、どう考えても赤チームのほうが正しいのです。もちろん、赤チームが勝ちました。

【第十番勝負】
(赤) 「SF大会は健康に良い」 ★
(白) 「コミケは健康に良い」

 この十番目の勝負のテーマは決めていなかったそうで、二つの意見は、企画参加者から出された物でした。
 この勝負も、赤チームが勝ちました。

 さて、すべての勝負が終わり、最優秀参加者賞を選ぶ事になったのですが、なんとここで、このぼくが選ばれてしまったのです。
 漫画家のめるへんめーかーさんから、「あんたがいちばんえらい!」という表彰状までもらってしまいました。まことにありがたい事であります。
 と、ここで終わればそれまでなのですが、ここに、後日談が付きます。
 すなわち、このVIP賞がぼくに選ばれたのが気に入らなかったらしく、司会の前野さんに苦情を言いに行った人がいたらしいのです。で、前野さんに相手にしてもらえなかったその人は、大会で配られている時間新聞にまで苦情を書いてはりました。さらに、大会が終わって暫くたってからも、パソコン通信を使って前野さんに苦情を言っていたそうですから、よほどぼくに取られたのが悔しかったのでしょう。それなら、直接ぼくの所に言いにくればいいのに。そうしたら、もっと馬鹿にしてやるのに!
 わはははは。

 以上、実際に有った事と書いてある内容が違っている場合は、すべてぼくの記憶違いである事をここに明記しておきます。




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