はまなこんFCS企画レポート

上野[作業体圭]圭輔

 今年の日本SF大会「はまなこん」で、First Contact Simulation(以下FCS)の企画が行われました。以下はそのレポートです。

 今年のFCS企画は、今までの「設定作り」の部分を省き、コンタクトの部分のみの企画でした。
 『1995年夏、射手座方向から異星人からのメッセージが受信された。即刻国連会議が招集され、科学者の解析をもとに対応を検討することになった・・・』これが今回の企画の設定です。参加者は、異星人からのメッセージ(TV画像)を解析する科学者と、国連会議に参加している各国の代表の役割を兼任します。異星人側は林隊員、司会は前野隊員でした。
 送られて来た画像は、ローマオリンピックの時のアベベの画像や、恒星配置図らしきもの、宇宙船らしきもの、異星人の姿らしきもの。の4枚(この、らしきもの、というのは、参加者の判断)。これから、この画像が何を意味しているのかを討論して、それを元に国連会議で対応を協議しました。
 たとえば、アベベの画像から、「ローマオリンピックの画像が地球から発信されたのは1960年だから、往復の時間を考えると、地球からの電波を受け取って送り返した発信者は、12,5光年以内にいないといけない」などの事が考えられますし、このメッセージの電波がドップラーシフトしていたことから、電波の発信源は光速の50%の速度で移動していることもわかりました。
 科学者の解析をもとにして、国連では対応が協議されますが、会議は地球を6つの地域に分けた地域ブロック別に行われ、ブロックの代表者が発表するという形式でした。対応も、ブロック毎にいろんな考えが出て、面白いものもありました。アフリカブロックの「とりあえず無視」とか、日本ブロックの「前向きに善処したいと思います」とか(笑)。そうして、送られて来た画像に対してこちらも画像を送り返す、という方針に決まり、それに対してまた異星人側から返事が送られて来る、というふうに、順調に(解釈などで討議は白熱してましたが(^_^;))コンタクトが進行しました。
 結局、電波を送っていたのは地球をフライバイする宇宙船であり、その後に今度は減速して太陽系に留まる宇宙船が続いて来ている、という事が判り、企画は終了したのでした。




●活動事例に戻る