甲通賑轟

甲州画報73号の感想

池田[航空宇宙軍医科学校司書]明子

 73号は、いろいろなレポートやお便りが載っていて、楽しめました。今度こそ、毎月末には、甲州先生の新刊本が読める!と喜んでおります。
 そういえば、「遥かなり神々の座」と「サージャント・グルカ」は、岡山の紀伊国屋で見かけますが、「終わりなき索敵」はすっかり見なくなりました。(買っといて良かった。)サポート登録で星雲賞の投票できるという裏技があったなんて、知りませんでした。星雲賞に選ばれると良いですね。
 こうしゅうえいせい6も着々と編集が進んでいるとのこと、楽しみにしています。
 臨時増刊号、すごいですね。これから、ぼつぼつ読んでいきます。

 

神風航空隊

花原[まちゅあ]和之

 今日届いた日本航空宇宙学会誌に「台風制御航空隊について」(宮下純一:日大理工学部(航空宇宙工学科))という小文がありました。タイトルに惹かれて読んでみると、「制御」といっても台風が日本に来る前にドライアイスか沃化銀を外側の積雲に散布して人工的に降雨させ、それによって(風の)勢いをそぐだけで、台風を作って敵部隊にぶつける(赤銅真空切り…みたい)とかいうようなものではないようです(そうだったら異常兵器になったのに)。単なる理屈だけでなく、予算 についても(一応の)試算がしてあって、仮に六千億円の被害を与える台風(91年の台風19号程度)が3年に1回日本を襲うとすれば、五十億円の機体を四百機は準備できるので、かなりの成果が得られるはず…だそうです。ちなみに、既に米国では同様の手法がハリケーンに対して試みられており、2機の輸送機を用いた場合の実験では10〜30%の最大風速の減少効果が得られたそうです。もっとも、そのために異常気象が起こったという説もあり、米国では、現在、人工降雨は禁句の状態なのだそうですが…。ただ、日本の場合には、どこにも影響のない海上で処置をすればよいので、この点は問題無いはず、とこの著者は主張しています。
 私が思ったのは、風の威力をそぐのではなく、増し加えることができれば(実際、できるとは思うけど…)敵地へ行きそうな台風をパワーアップしてやって戦力として利用できるかなあ、ということです。言ってみれば、なかば人工的に「神風」を起こすわけです。「覇者の戦塵」の時代がもう少し進めば、技術的にも実現できるレベルになるのではないでしょうか。いわゆる「神風特攻隊」よりはずっと健全ではないか、と思うのですが。…ただし、失敗したときのしっぺ返しというのも「神風級」になるのでしょうが。

 先日の十勝宇宙基地の件といい)こういった文章を勤務時間中に書いているか らといって、大学の教員が暇だとは思わないでくださいね。単に原稿(というか 今回の場合は学会申込みの英文アブストラクト)を書くネタにつまって現実逃避 をしているだけですから(逃避していても仕事は減らない…当然ですが)。困ったものです。

 



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