月刊甲州画報

今月の訓示

 梅雨である。
 少なくとも気象庁はそう宣言している。
 いつから梅雨というのは晴れ間が続く季節になったのだろうか。     
 去年もそうだった。気象庁が梅雨入りを宣言した途端、まるでつれない恋人にすねてみせる女のように、はた、と雨が降らなくなってしまった。
そこで私は気が付いた。
 これは、気象庁と梅雨が倦怠期に入ったからである、と。
 気象庁とお付き合いを始めて103年。梅雨は、何の刺激もない関係に嫌気がさして、退屈紛れに、すねてみせているのである。或いは気象庁の気をなんとか惹こうという懸命な思いも秘められているのかも知れない。
 けなげなものではないか。      
 そこで私は提案したい。何とか気象庁と梅雨のこじれた仲を取り持つ方法を考えてやってほしい。卑しくも青年人外協力隊たるもの、気象現象であろうとお堅い官庁であろうと、平等な愛をもって接しなければならないのである。
 隊員諸兄の英知に期待したい。

1988年6月19日

青年人外協力隊隊長 阪本雅哉

拗ねる、ヴァルキリーの図




●戻る