「なぜ地球は人の住める星になったか?」

W.S.ブロッカー著 斎藤馨児訳  講談社ブルーバックス

 タイトルどおり、地球が生命を持つ惑星になった理由を解説する、という、まさにFCSのためにあるような本です。
 特に5章、「地球の進化--地殻と大気のできたしくみ」や第7章「地球は果たして住みやすいか--気候変動と氷河」、第8章「資源はいかに蓄積されたか--文明を生む物質」などがFCSの参考になる部分です。気候の問題にせよ、資源の問題にせよ、いろいろとデータが豊富(特に放射性同位体を使っての観測の話が詳しく、この方法の有用性がよくわかる)で、実際にFCSやる時に手元に置いておきたくなります。
 他にも、6章「風変わりな仲間の誕生一月・小惑星・彗星」は月の成因に関する諸説と、その諸説のどこがうまくいき、どこがうまくいかないか、を簡潔にまとめてあって非常に面白いです。
 珊瑚の化石から昔月がもっと地球に近いところを回っていた事がわかる、なんて話にはわくわくしてしまいます(珊瑚の年輪、月輪などからわかるのだそうで)。
「ワンダフルライフ」
スティーヴン・J・グルード著 渡辺政隆訳  早川書房  2800円
 本書はバージェス頁岩と呼ばれるカンブリア紀の化石動物群の発見と解釈にまつわる物語である。発見者ウォルコットはここで発見された節足動物を全て既存の動物群に分類した。半世紀後にウィッティントンらは地味な調査の結果、これらの生物は既存の動物群に属さない独自の動物が20種類以上いるという解釈を示し、異議を申し立てた。
 この大発見により、生物は単純なものから複雑なものへ多様性を増していくという従来の解釈は覆され、もっとも多様性が高いのは多細胞生物が生まれたばかりのカンブリア紀ということになった。また多様な生物のうち、現存している生物はすぐれていたのだろうか。体機能を比べるとどれが生存に適しているとは断言できない。現存している生物はある環境変化に「偶然」適した機能を持っていたために生き残っただけに過ぎないのであろう。このため時間を巻き戻しリプレイしてみると、2度と同じ結果は得られず、全く違った動物群が構成されるであろう。
 この本の主求は以上のようなものです。これだけ見るとガチガチに堅い本のようですが、実際はバージェス頁岩の奇妙奇天烈な生物が多くのイラストで紹介されており、またウィッティントンの再発見が劇じたてで紹介されていたりして、楽しく読める本となっています。最終章では「実現しえた歴史」として、進化をリプレイしたときにどのような世界が生まれるかについて述べられており、FCSの異星人側設定には参考になるかもしれません。
 進化についての考え方を新しくしてくれるだけでなく、奇妙奇天烈だが現存した(!)生物についての図鑑ともなっており、興味のある人には一読をお勧めします。
「恐竜たちと遊ぶ1時間」
佐貫亦男著 朝日文庫  700円
 以前朝日新聞社から「進化の設計」というタイトルで出版された本の改題・改訂版です。地球の生物の進化をからだのしくみやデザインからとらえ、工学的な視点から述べています。

「あなたのなかのDNA ~必ずわかる遺伝子の話~」

中村桂子著 新ハヤカワ・ノンフィクション文庫 ISBN4-15-050176-9   500円

 DNAというものが、生物の体の中でどのような働きをしているのかが非常にわかりやすく書かれています。親から子へ遺伝する、という面ばかりでなく、生物の設計図であるという面、今生きているこの瞬間にも自分の体の中でDNAが果たしている役割について知ることができます。また、作者はDNAを個々の遺伝子の単位で見るのでなく、遺伝子の集合であるゲノムの単位で見ることの重要性について述べています。

「真空の海に帆をあげて」-アシモフの科学エッセイ(12)-

アイザック・アシモフ著  山高昭訳  ハヤカワ文庫NF145

 アシモフの科学エッセイのシリーズとして出版されているものの多くは、 F&SF誌に連載されたエッセイをまとめたものだが、この本は飛行機の機内誌に連載されたものをまとめたものである。従って、1章が文庫本で4ページと短く、また論旨も明確で大変解りやすいものとなっている。
 主題はいかにもアシモフらしく多岐にわたっているが、各エッセイはほぼ生物→物質→物理→天文という流れに添って配置されている。3章からの、知能などの生物学的エッセイは異星人考察の、また22章以降の技術論は地球人側の参考になると思う。全体を通じて流れるのはアシモフの文明に対する視点である。
 「科学解説書なんて難しそうで・・・・・・」という人に、科学に親しんでもらうためにお薦めの1冊である。
「生命と非生命のあいだ」-アシモフの科学エッセイ(4) -
アイザック・アシモフ著  山高昭訳  ハヤカワ文庫NF24
 環境、生命、文明(未来)とこれ1冊で異世界構築の参考になりそうな内容であり、地球外生命探査の意義などにも触れられている。異星人例の人には是非とも、地球人側の人にもなるべく読んで欲しい本である。内容を少し詳しく紹介することにする。
 第一部 生命〔ライフ〕 このパートは物質としての眠から見た(主として人間の)生命について述べられている。記憶や衝動といった精神活動をも生化学の方面から解析しうること。また、“物質"から“生命”へのささやかだが、越えられない一歩のこと。生命とはなにか? という間の手がかりになってくれるのではないだろうか。
 第二部 非生命〔ノンライフ〕 このパートは、一部と同じく化学-元素=物質の眼から、地球環境について述べられている。また、相対性理論や宇宙の誕生と死というものに? いても触れられている。
 第三部 他生命〔アザーライフ〕 これこそがこのエッセイの白眉であろう。何故なら、このパートでは地球外生命について述べられているのだ。中でも「22章 誰かそこにいますか?」はこのFCSの意義について語っているといってもよい。この章だけでも読んでもらいたい。
 第四郎 未来の生活〔フューチャーライフ〕 このパートはアシモフの文明論であり、環境破壊にたいする警鐘がならされている。
 第五郎 SFについて SFファンとしては面白い件だったが、ここではひとまず\(^_\) (/_^)/おいておく。
「人間への長い道のり」-アシモフの科学エッセイ(14)-
アイザック・アシモフ著  山高昭訳  ハヤカワ文庫NF165
 この1冊は“進化と文化史と文明”について述べられていると云ってよい。
「第二部 人間」は“人類”の発生から進化、文明の構築から人口問題まで取り上げられているし、「第四部 磁気」「第五部 燃料」は文明、技術の発達について書かれたものである。また、 「第一部 天文学」や「第三部 放射線」では科学的愚行に対する批判も述べられている。さらに、特筆すべきは、詩や歌の力(文化)というものにも触れられている点である。
 実際、アシモフという人は歴史や言語というものにも造詣が深い。「科学エッセイ」でありながら,科学一辺倒ではない批判精神をもっているのは、歴史による客観的な視点をも持っているからだろう。それとも、SF作家としての斜に構えた視点のせいだろうか。
「たった一兆」 -アシモフの科学エッセイ(7) -
アイザック・アシモフ著  山高昭訳  ハヤカワ文庫NF27
 この本は、アスタウンディング誌に掲載されたエッセイをまとめたものの翻訳であり、アシモフのこの世に出た最初の科学エッセイである。そのためか、全編がアシモフの専門とする生化学に関連するものである。
 主眼となるのが、生物よりは生命であり生体内での化学変化について述べられているので、生物が苦手な人はううむ?? となってしまうかもしれない。しかし、7章や9章は生命の進化の可能性について考えさせてくれる。
 一つ一つの章が比較的長く、また図や表が多用されているのも、どことなく教科書的である。
「見果てぬ時空」 -アシモフの科学エッセイ(13)-
アイザック・アシモフ著 山高昭訳・ハヤカワ文庫NF152
 このエッセイもまた解説で述べられているように「化学の目で捉えなおした自然の姿」についてのものであり、中性子から宇宙論まで広範囲の主題を扱っている。
「第二部 生化学」はビタミンを中心に、生体にとって微量だが不可欠な物質について述べられている。生命活動の複雑さに改めて感心させられる。「第三部 地球化学」は環境設定を考える参考になるのではないだろうか?「第四部  天文学」これはアシモフのエッセイには半ば付きもののような主題であるが、地球外生命を考えるFCSにとって無駄な内容とはいえないだろう。