COTI jrとは
1991年4月にブッシュ大統領は、教育の改革を提言しました。そのうちの一つとして次のような目標が挙げられています。 「2000年までにアメリカの生徒は4年・8年・12年の過程を終えるときに、英語・数学・科学・歴史・地理を含んだ問題に挑戦し、その能力を示さなければならない。また全てのアメリカの学校は、生徒全員が責任ある市民となり、さらなる学習をし、現在の社会経済で創造的な職業につく準備ができるように、自分の知性を正しく使えるようになることを保証しなければならない。」 アメリカのCONTACTは、科学と数学を中心に全ての分野の重要な概念と技術を教える教育手段として、 FCSを用いることを提案しています。このカリキュラムはCOTI jrと呼ばれ、8年生のレベルで行うことを前提として設計されています。このカリキュラムはすでに バージニア州とメリーランド州の二つの学校でテスト済みです。以下にあるのは、学校の先生が必要な背景知識と授業計画を持ってCONTACTに臨めるように作られたガイドのうち、企画(授業)内容に関係する部分を翻訳したものです。
カリキュラムの紹介
COTI jrは、技術が発達し宇宙に進出した未来のわくわくするようなビジョンを紹介するところから始まります。これを背景に、生徒たちは未来の人類がどのようにして異星人の存在を発見するのかの例を示されるでしょう。
人類の技術の加速的な進歩を、20世紀の始めから今日の宇宙飛行までの飛行技術の発展に焦点を当てて紹介されます。これからの宇宙への人類の進出についてのもっともらしいシナリオが提出されますが、さらに情報伝達や航空術を発展させ、人類社会の地球環境に与える影響を観測し、地球環境整備の手段を発達させるのに、宇宙航空技術がどのように役立ってきたかも言及します。宇宙空間の設備に関しては、太陽からの豊富なエネルギーと小惑星や彗星、他の惑星の資源を利用することで人類が成長の限界を乗り越えたものとして議論されます。
ここで生徒たちは他の恒星系に送ったプローブが異星人の存在を知らせてきたことが、人類社会に与える衝撃について考えられるように指導されます。この項目により様々な文化からなる社会での生活についてよりよく理解できるようになります。また異星人の生命形態と地球人との相違について考えるように求められます。これは学校や近所に新しい人が来たときに生徒がまずはじめに考える疑問の典型です。
次に生徒たちが想像した宇宙に進出した未来の人類社会と、同じく創造された異星からの知性体との間の出会いを含んだシミュレーションを行います。彼らは自分が取り組みたいチームを選択します。この時に教師は二つのチームの参加者のバランスを取るために、必要ならば生徒を割り振らなければなりません。特に理科系が得意な生徒と文科系が得意な生徒をどちらのチームもうまくバランスを取らなければなりません。
二つのチームはシミュレーションの背景を合同で設定した後、二つの平行したユニットに分かれ、最後のコンタクトで再び一つにまとまります。分かれている間はコンタクトまでに相手の情報をさらに集めるためにプローブなどを作ることができます。授業が時間内に終わるかどうかを確認したら、教師はそれぞれのユニットでその日の最終日標を設定しておくべきでしょう。
カリキュラム
UNIT A:恒星探索
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UNIT B1 宇宙民族
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UNIT C1 異星人の世界
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UNIT B2 移動のための宇宙船を作る
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UNIT C2 知的存在を進化させる
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UNIT B3 星々への遠征
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UNIT C3 異星人の文化を創造する
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UNIT D コンタクト
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授業計画
UNIT C1 異星人の世界
-「月をつくる」-
[目標]
生徒が惑星に1個または多数の月(衛星)をつくることを選択した場合、この付属の授業計画で生徒を指導します。
[対象]
- 利用できる科学知識に基づいて、惑星に1つまたは複数の月をつくることができる。
- 我々の太陽系内の月に関するデータを調べることができる。
- 我々の太陽系内の月の起源の仮説を学んだ後、月の可能な起源を措くことができる。
[資材]
- 我々の太陽系内の衛星に関する参考書。
- 黒板または大きな紙と太いペン。
- オプション:月の模型を作るための地球儀または類似の球体、ねんど、絵の具。
[手順]
- 生徒はチームにわかれて我々の太陽系内の月に関するデータを調査する。
- 各チームはクラスにデータを紹介する。
- 発表を聞いた後、クラスは月の特徴を決定する。
- 各チームは月の起源の仮説についての調査を発表する。視覚的な補助があると効果的である。
- グループは彼らの月についての可能な起源の仮説を決める。
- 月の名前を選ぶ。
- オプション:もしグループが彼らの惑星がリングを持つと決めているなら、彼らは土星、冥王星、海王星、木星のリングについて勉強すべきである。
[評価]
生徒は以下の能力によって評価される。
- 調査(データシートに記録される)
- 口頭発表
- 協力してのチームワーク
- 授業への参加
[データ調査シート]
我々の太陽系内の月に関する調査のためのデータシート。各グループは以下のうちから1つ選ぶ。
- 月(地球)
- フォボス(火星)
- タイタン(土星)
- ミランダ(冥王星)
- トリトン(海王星)
- イオ・エウロバ(木星)
[基本]
- 月の名前: ( )
- 月の惑星: ( )
- 太陽から惑星までの平均距離: ( ) km
- 惑星の赤道直径:( ) km
[月のデータ]
- 赤道直径: ( ) km
- 公転周期: ( )日( )時間( )分
- 自転周期: ( )日( )時間( )分
- 化学組成とガス(わかれば%も)
( ) - 物理的な表面の特徴
( ) - 大気の状態(大気があれば)
( )
[利用できるなら]
- 表面温度: ( ~ )℃
- 表面重力(地球=1):( )
- 核についての情報:( )
- 月からデータを送ってきたプロープ:( )
- 月の起源の理論:( )
[付録A]「CUTI jrカリキュラムプロジェクトの“道具箱”」
A)生徒用印刷物と教師用ガイド
バージニアのフェアファクスでの試験的なCOTI jrのために作られた授業の手引きと授業を行った教師によって用意されたメモをもとに、教師のために1連の1枚ものの印刷物とマスターガイドが作られました。これらの印刷物は手引き書の表題としてまとめられ、平易なコピーに編集され生徒に配布されます。
B)ビデオ番組
1986年にKCETの制作したエキサイティングな COTI jrビデオヘの子供達の反応は、COTI jrへの子供達の熱心さを刺激するのに重要です。一連のビデオ番組は生徒たちが授業のアウトラインにそって様々な観点から文明を発展させていき、生徒たちに創造におけるいくつかの例やアイデアを与えるために作られました。
このシリーズは可能であれば授業のアウトラインにそった生徒の進行段階に明確に繋がるように、即戟的な設定ラインにまとめられるべきです。理想的にはこのプログラムシリーズは放送用に再編集されたほうがいいでしょう。
C)科学的事実/科学的想像入門書
これは私の考えですが、科学的な事実をSF小説を用いて紹介する印刷物を作成します。SF小説により科学的事実で述べられたことを具体的に理解することができるでしょう。各作品は授業のアウトラインとして使われる世界構築と文明創造の分野を扱うべきです。
この人門書は生徒たちにシミュレーションのためのアイデアを提供しSF文学への刺激的な紹介となるでしょう。私はこの印刷物はアナログ誌のフォーマットを使うことを思い描いています。実際、私はデービスパブリケイション社が出版に参加することを要請しています。
D)インタラクティプなコンピューターソフト
過去のコンタクトの創造的な仕事の多くはコンピューターのグラフィック機能を用いて行われました。私はこの過程に要したエネルギーを利用し、子供達が太陽系や異星人や文明を創造する補助手段となる一連のインタラクティブなコンビユーターソフトにまとめることを提案します。
[付録B]「学校での試行するときに使われる最初のアウトライン」
[指針]
A.恒星の選択(教師が決定してもよい。両チームは共同して作業する)
- 銀河
- 太陽系
- 生命発生に必要な惑星または衛星
- 大気
- 酸素系を適用する
- サポートシステムを構築する
- 地球からの距離
B.宇宙船の構築(教師が決定してもよい。地球人チームのみ)
- 惑星間宇宙船
- 着陸船
- 乗組員任命
- 遠征隊の規模
- 生命維持装置の設計
- 宇宙船内での生活の描写
- マナーと慣習
- 日常行動
C.世界(惑星または衛星)の環境の作成(A.3,4に従う)
(生徒は一緒に創造してもよいし、異星人チームのみでもよい。生徒は地図か惑星儀を作ることを求められる)
- 大気(化学組成)
- 惑星(衛星)の内部地質
- 鉱物、岩石、天気、陸地物質
- 水(?) (これは大気と関係する)
- エネルギー源
- 自然の循環
- 水や大気と関連した植物相(?)など
D.知的生命の創造[2種つくる]
(生徒が作る。異星人チームのみで地球人チームとは分かれて作る)
- それぞれの地球外文明に対し
- 構造/可動性
- 化学/生物(炭素と関係する)
- 食物連鎖
- エネルギーのタイプ
- 食物の集め方
- 栄養のリサイクル
- 環境による圧力(公害を含む)
- 環境への適応行動
- 意思伝達手段
- 住居
- マナー、慣習、伝統、日常行動
- 2つの地球外文明の間の関係
- 友好的か敵対的か
- 独立しているか、寄生しているか、共生しているか
- 地球外文明間の意思伝達
E.地球人乗組員の選抜
- 専門家(教師が生徒と専門的役割について討論することにより、生徒はこれらの専門についてより学ぶことができる。)
生徒は専門家のふりをする。 (例)地質学者、生物学者、心理学者、人類学者,物理的または文化的地理学者、動物行動学者、言語学者、飛行士、食物学者など - 地球外文明とのコンタクトメンバーの訓練(出発前に行う)
(人類学者によって訓練された教師が行う)以下のことを含んだトピックス
人種主義、人間主義、地球主義、普遍的象徴、普遍的挨拶様式、タブー、カルチャーショックなど
F.人類と地球外文明とのコンタクト
両チームの生徒を含む。生徒はずっと1つの役をしてもよいし,順番にしてもよい。シミュレーションの間、教師と生徒は進行するシミュレーションを分析できる。問題や誤りや解決策を考える)
シミュレーション:生徒は以下の役を演じる
観客:教師と(場合によっては)生徒
- 地球の乗組員
- 地球外文明1
- 地球外文明2
[手続き]
- プロジェクトは6つのユニットに分けられる。教師は各々の生徒に最もあったユニットを推薦できる。
- UNIT AとUNIT Bは最終学年で学ぶ地球と宇宙の科学を含む。これらのユニットはオプションである。教師は必要な要素を決められる。(例えば使用する恒星、惑星の特徴、地球からの飛行時間と宇宙船のタイプ)しかしながら、いくつかの“見せびらかすような”事実を含めることにより、生徒は新しい期待を得ることができ、最終学年の科学に触れる刺激になる。
- UNIT C,D,E,Fはプロジェクトの中心である。これらのユニットは中1および中2のカリキュラムに基づく。
- チームでの討議に生産的な方向性を示唆するためにその場での質問も各ユニットに含められる。
- プロジェクトをドラマチックにするために芸術課や演劇課の学生により仮面や衣装や小道具をデザインしたりしてもよく、同様に音楽課の学生により音楽が作曲演奏されてもよい。
- プロジェクトの評価は参加した生徒によって一番よく作られる。教師の役割は進行役となり、建設的方向へと生徒を導くことである。
[資材]
- プロジェクトそのものには特に資材を必要としない。
- しかしながら、プロジェクトをドラマチックにするために材料を対象にしてもよい。公害を制御するレッスンとして再生可能、または再生した材料を衣装や小道具に使うこともできる。(例えば紙、紙袋、カードボード箱、新聞、アルミ缶、パイ皿、古着など)
[評価]
- 参加した生徒がプロジェクトを評価する。
- 教師の役割は進行を行うことである。
- 考慮すべきトピックス
- 何が学ばれたか
- 地球と宇宙の科学
- 環境システム
- 有機生命体と環境の相関関係
- 環境の中での生物の社会的/行動学的相関関係
- 異文化との接触
- プロジェクトを通して生徒たちが学んだことが彼らの日常生活にどのように関係しているか。以下のような観点で。
- 環境と環境の生命への重要性
- 有機生命体同士の相互関係
- 「異なる」(文化、ハンディキャップ、等)人々とのコンタクト
- 通常の授業とくらべてプロジェクトはどうだったか。
- 何が学ばれたか