第38回日本SF大会 やねこん


知的生命の壱

 やねこんでのCJ企画のレポートです・・・
 とはいうもののレポートをさぼっているうちに記憶が少々あやふやに・・・。もし皆さんが覚えている企画と違った場合は波動関数が異なっているとお考え下さい。

 新兵器トランプを導入、これを参加者に引いてもらって、そのマークで生物の大まかなところを決めて、時間を節約しようともくろんでいました。ところが大変立派な会場(何とリゾートホテル!)なのにも関わらず、企画部屋に激しい雨漏りがっ! 地下の部屋なのに何故???・・・波乱の幕開けとなりました。
 さて、最初に設定した知的生物ですが、参加者の方々が引いたトランプの結果、彼らのスペックは次のように決まりました。

 :  単性
腕の数  :  0
足の数  :  1
飛行能力  :  なし
休眠方法  :  冬眠
コミュニケーション  :  電波

 いかなる進化の神がサイコロ(ああ、トランプか)を振るとこんな生物ができるのか。司会の前野さんもしばし頭を抱えます。一本足で腕がない・・・多くの参加者がまず思いついたのは「唐傘お化け」ではないでしょうか。何たってコミュニケーション手段が電波ですからね。傘のイメージとパラボラアンテナのイメージもダブります。さっそく「巨大シイタケ」「一本足でジャンプして移動」というような意見が出ました。
  流れが変わったのは前野さんが「まず移動方法を考えようか」と提案してからです。「ジャンプする」「他の生物に運んでもらう(一本足の裏に沢山の生物が寄生していて、彼らがもぞもぞ動いて移動する水虫移動型)」などの意見の中から「回転する」という画期的な意見が。たちまち「コマだ」「コマよ」と囁きが参加者の間にひろがり、この「回転する」が採用されました。こうして一旦基本的なイメージが固まると、次々に意見が出てきます。いわく「冬眠中は停止する」「夏はトップスピードで春秋はゆっくり回る」「地面を削って食べる(ドリルかい)」etc。
  いろいろな意見が出る中、この生物は「動物」で、この星の高等動物は全て回転することになりました。神経系はあんまり回っちゃいかんだろう(目が回るから)ということで、脊椎を軸に回転するということにきまりました。その名も「脊軸動物」。

  彼らの生態については

採用はされませんでしたが「胞子で増える生物で、回転しながら自分の胞子をまき散らす」なんて面白いのもありました。
  知的生物として一番問題になるコミュニケーション手段は「電波」でしたが、「電荷を持たせて回転してれば磁場をつくれる」という意見が出てこれも解決。かくして「電波を発する親子ゴマ」型知的生物が誕生したのです。

伊藤俊治

知的生物の弐

  神の意志(トランプ)により定められた基本設定は

 :  3つ
睡眠  :  冬眠する
腕の数  :  1
足の数  :  なし
飛行能力  :  飛ぶ
コミュニケーション  :  臭い

というもの。これには参加者一同頭をかかえてしまう。飛んだり腕が一本なのはともかく、臭いでコミュニケーションとは?!
  基本設定からまずその容姿についての検討が行われた。風船型や手だけの生物(○○ゲルゲか?)、空飛ぶ絨毯状生物などのアイデアを振り切って採用されたのは、体全体が翼で空を飛ぶマンタ(オニイトマキエイ)のような姿をしているという設定である。そうなるとこれは腕が1本ということだから、

  とまさにゲイラカイトそのままという姿に落ち着いてしまった。
  しかしこうなると空に浮かんでいるだけの生物になってしまうので、どうやって食物を採っているかが難しくなってしまう。空を飛ぶ生物を捕食するという案も出たが、一つの奇抜なアイデアが参加者の心を捉えてしまった。

  なんとエコロジーな生物だ。でも風力発電器官ってどんなの? 翼に穴が開いていてそこでプロペラが回っているの? 前野さんが頭を抱えている。こいつも電気生物なのか。
  さて、臭いでコミュニケーションを行うということで

というのは至極当然なのであるが、どうやって能動的、選択的に相手に意志を伝えるかという問題を、

で解決してしまった。コントロールが悪い個体は淘汰される運命になるわけだ。しかし「あんたなんか○○!」という罵声の匂い玉をぶつけられた日には、匂いが消えるまで嫌な気分をひきずってしまうようで嫌だなあ。
  性が3つあるこの凧のような生物がどうやって繁殖するのか。凧だから繁殖は喧嘩凧のようにぶつかりあって、という情熱的な案もあったが

というさらに日常的な光景から連想される案に決まった。

ことで繁殖する。だから繁殖期には空一杯に3連凧がなびいているわけだ。
  最後にこの生物の文明を設定しようとしたが、時間がなくてまとまらなかった。
  風を読むことで知能が発達し文明が興ったとか、空を見上げることが多いので天文学が発達したとか、飛べないもの(地上のもの)には意味がないものと思っているなどの案がでたが、まとめるところまではいかなかった。

大井俊朗

正月惑星のFirstContact
FCS in やねこん(接触編)

  ♪もういくつ寝るとお正月…なんて歌がどこからともなく聞こえてくるのは、季節はずれの7月初頭の長野の山奥であった。というわけで、やねこん First Contact Simulationレポート接触編である。
  トランプの神様と多数決などにより規定された、コマ型生物と凧型生物。この結構とんでもない生物たちのファーストコンタクトはどうなるかについても熱い議論が戦わされたわけである。
  最初の問題点は、そもそも相手を認識することが可能かどうかというところである。これらについてもいくつか議論がなされたが、結局、凧型生物の風力発電のノイズをコマ形生物が検出するところからコンタクトが始まるのではないかというあたりに落ち着いた。具体的には以下の様なストーリーが想定された。
  出会いは凧型生物の落下から始まる。地上に落下し、風力発電を行うことができなくなった凧型生物をコマ型生物が発見する所から始まる。好奇心から近づくコマ型生物が、凧型生物の風車の近くで回転することにより、電磁誘導により凧型生物の生体発電機が動作して、凧型生物は体力を取り戻す。そして、凧型生物は再び空に戻るのであった。
  凧型生物は、自分を瀕死の状態から不思議な力により回復させた、コマ型生物を神と思い、コマ型生物は、不思議なメッセージ(風力発電時のノイズ)を発生させながら、地上に降り、再度空に戻っていった凧型生物を神と思うのであった。
  他にも、凧型生物の糸(実は腕)をコマ型生物が上っていくといった、正月らしい、コンタクトの情景なども話題に上がった。
  ともかく、短時間にあまりにも特殊な生物を構築してしまったため、出会いがありがちな、神と思い込むパターンになってしまったのは、残念であったが、両方のメンタリティを想定しずらいため、しかたないこではあったにちがいない。

竹林孝浩



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