はじめに
このページで説明しているのは、CONTACT Japan で実施している CONTACT の基本的な手順です。
もちろん、ここにあげた方法は一例でその他にもさまざまな方法が考えられます。
CONTACT Japan や Day CONTACT などそれぞれの企画に応じて少しずつ異なった方法を採用しています。ですが、手順の基本として、どこかで CONTACT をやってみようと思われたときに少しでも参考にしてみてください。
CONTACT の手順
CONTACT の基本的な実施手順は、次のようになります。
- 参加者を異星人側、地球人側のチーム分け
- お互いの位置関係など基本的な要素を決定
- 両方のチームで異星人文明・地球人文明の構築
- First CONTACT Simulation (FCS)
- 異星人の発見と観測
- 通信によるコンタクト
- コンタクト
- まとめ
注)上記の手順はCONTACT の手順のひとつとしてあげたものです。
実際にはさまざまなバリエーションが考えられます。また上記のすべての項目を行なうのではなく、 World Build や FCS など中から個々の要素だけを取り出して実施することもあります。
実施方法
上記の手順に沿って、簡単な実施方法を説明します。
- チーム分け
- 参加者を異星人側と地球人側のチームに分けます。
人数が多すぎると議論がまとまらないし発言できない人も出るかもしれません。そのため人数が多い場合には異星人、地球人チームを複数に分けてそれぞれペアにします。ペアになったチーム間でコンタクトを行ないます。
チームごとに個別の部屋に分かれます。
チームの中から議長(一名)、書記(数人)、苦力(一名)を選出します。(役割は次の通りになります)
- 議長
- 議事、議論の進行と取りまとめ。
- 書記
- 議事内容、個々の項目の決定事項の記録。
相手チームへ発信する通信内容、行動内容を作成。- 苦力
- 書記が作成した通信文や進行上の情報を相手チームの苦力に伝える。
観測結果や通信文などの情報を議長に提供する。
チーム間の時間的な同期を取る。- 基本的な要素を決定
- 企画の中で発生するいくつかの項目は両チームにとって同一である必要があります。これらの項目はチームに分かれて議論を始める前に決定しておかなければなりません。
あらかじめ主催者が決めておいてもよいし参加者が話しあって決めてもかまいません。
決定しておくべき事項は次のようなもので、決定内容は企画の開始に先立って参加者全員に通知しておきます。
- コンタクトにいたる経緯(例)
- 通信(有意信号)が地球(太陽系)に届いた。(返信が届いた)
- 電波(TVや内部で使用している通信)などの信号を検出した。
- 異星人(地球人)の宇宙船が太陽系にやってきた。
- 異星人の遺跡を発見した。
- 両方の文明の位置関係
- 異星人文明のおおまかな技術レベル
- 電波は使用可能か、宇宙開発の程度は、など。
- World Build(異星人文明構築)
異星人の文明を構築します。 (先に決定している基本的な要素は重要な境界条件となります)
設定すべき項目は例のように非常に多岐に渡ります。
本来であれば、「恒星、恒星系、惑星、惑星環境と決定し、その惑星に発生した生物−当然、生物の発生は環境にフィードバックされる−そして生物の進化の系統を構築し、その結果生まれた知的生物を決定。彼らの身体的特徴と環境、そして歴史からどういった文明を築き上るか。」を順に構築する必要があります。
しかし、項目が多いうえに、それぞれにお互いに影響しあう不確定な要素が多くどれだけ時間をかけてもこれで十分ということはありません。すべての項目に関して詳細に検討することができないため、異星人文明構築の目的を考慮し妥協しながら進めることになります。
FCSの対象となる異星人文明を構築している場合に必要な項目は、まず大まかな外見です。これは、自分たちの姿を図で送ったりすることが多いためです。地球人も相手の異星人がどういう形状をしているかには非常に興味を持ちます。が、細かい点(「手の指」の数や、体表面の色など)は後回しでもかまいません。
次に必要なのはコミュニケーション手段と感覚の設定でしょう。音・光・匂い・味・電波などがよく使われます。これも詳細は後回しでもかまいません。その次に必要なのは、精神的・社会的設定です。どんな社会で、どんな価値観によって行動していて、どんな精神構造なのか、などです。
もちろん重要な項目順に決めていけば良いというわけではありませんが、重要な項目は時間内に決定しておく必要があります。- World Build(地球人文明構築)
- 現在の人類の技術や宇宙開発能力では(ファーストコンタクトを行なうのに必要な)対応力が不足しています。さらに恒星間を越えたコンタクトには何十年、何百年の時間が必要になります。
そこで、将来の地球や太陽系がどうなっているのかを考えなければいけません。地球人側も、FCSに必要な項目とさほど重要ではない項目があります。ただし地球人側は参照可能なモデルが実際に存在するため、現在の人類との異なる部分を中心に検討することになります。
注)地球人側の設定は異星人に比べて構築しなければならない項目が少ないため、World Build に必要な労力が居世人チームと非対称になります。
企画として行なう場合にはバランスを取るための手段が必要になります。(例えば、CONTACT Japan 1では地球人側が詳細な恒星間有人宇宙船の設計を行ないました)- First CONTACT Simulation (FCS)
- FCS には次の要素があります。
もちろん通信によるコンタクトを行なっていても観測は継続されますし、宇宙船を送る場合でも観測・通信が並行して行なわれることになります。
- 異星人文明の発見、観測
- プレコンタクト(通信による段階)
- コンタクト(直接相手を訪れる段階)
次の手順で実施します。
- 苦力による状況の説明
- 通信の到着や観測結果など、その時点で発生した事実を苦力が伝えます。
- 通信文やデータは議長に渡し、付随する細かな状況説明を必要な範囲で行ないます。
- 状況に応じた対応や方針を議論し、決定する
- World Build で構築した内容に沿って、行動内容を話合い、決定します。
- 行動内容や通信文の作成
- 「2」で決定した内容を元に、書記が「通信表」や「行動表」、「情報表」を作成します。
- 苦力が内容を確認し、相手チームの苦力に届ける。
- 届けられた「通信表」などは、時間の遅延を考慮し企画内の時間に合わせて苦力から公開されます。
- 時間を進め、線表(ダイアグラム)を更新する
- 行動が確定すると、確定した時点まで企画内の時間が進みます。
- 確定した行動、事実を線表に書き込みます。
- 繰り返す
- プレコンタクトの間は「1」〜「6」の手順を繰り返します。
- 近距離でのコンタクト
- 通信がほぼ即座に届く以外には長距離と同じです。
- 有人宇宙船が近距離に近付いた場合は、母星または宇宙船のどちらか一方(チーム内で決定)とコンタクトを行ないます。
- 至近距離、直接のコンタクト
- 参加者同士で直接の接触を行ないます。
- もし、言葉が通じないなどのケースでは苦力がその場で通信を取り持つことになるかもしれません。
- この場面はエンターテイメント性が有ったほうは楽しいので、異星人チームは外観に合せた扮装をするなどすると良いかもしれません。
実際には企画内容や時間的制約などで通信でのコンタクトの段階で終了する場合も多いです。
- まとめ
- 最後に、分かれたチームが一緒になって、そ れぞれの構築した文明やそれに付随する事項と、コンタクトの線表や通信表、行動表を元になにを意図していたのか、また相手の通信などから意図をどう理解していたかなどについて、お互いに報告を行ないます。
禁止事項
- 非現実的・非科学的な想定や設定は禁止
- あきらかに誤った想定、現実性、整合性のない設定はシミュレーションを行なう意味を失わせることになるため禁止されます。
例えば超能力やワープ航法などの理論的に裏付けのない能力や技術は禁止です。
しかし、なにが現実的・科学的かは科学や技術の進歩によって変化することがあります。特に理論的に境界線上の分野には注意が必要です。
常温核融合のように評判になり可能性が一時的に語られたあとで否定されてしまうことも多々あります。また、真空エネルギーやタイムマシンなどに関して物理学者が真面目に論文を書いています。
恒星星間宇宙船や軌道エレベータなどは可能でも現在の人類には非現実的です。そして将来開発可能な技術を正確に予測することは不可能です。
異星人の構築においても、生物の進化の過程から文明のありかたまで分かっていないことは非常にたくさんあります。
さらに、CONTACT では非常に多岐に渡った分野について考慮する必要がありますが、必ずしも参加者や主催者の誰かがそれぞれの分野で専門的な知識を持っているとは限りません。
そのため、なにが現実的で非現実的か、科学的で非科学的かを判断するのは難しい作業になります。ときには間違った想定を採用してしまうかもしれません。
ですから、参加者(議長、苦力を含めて)がそれぞれの能力の中で「科学的で現実的な方向を意識して」判断していくことになります。(開発可能な技術に関しては苦力が両チームの整合性を考慮して最終的に判断します)- 戦争や侵略目的でのコンタクトは禁止
- 最初から相手の文明に対して戦争(戦闘)をしかけたり侵略行為を目的としてのコンタクトを行なうことはシミュレーションとして意味がありません。
もちろん相手が攻撃意図を持つ可能性に関して考慮することはあります。未知の相手に対して脅威を感じたり、防衛手段や攻撃力にコストをかけることを想定することはありえます。
「CONTACT なんだから絶対に攻撃されることはない」と、相手の意図を想定することはシミュレーションの幅を狭めることになります。
しかし攻撃や侵略を前提とした FCS になんの意味もありません。また相手の攻撃意図をおしはかることだけを行なっていても FCS のメリットはありません。
もしも FCS の中で、戦闘(攻撃)以外に選択の余地がなくなった場合は、どこに問題があったのかを反省するしかないでしょう。- その他
- ネタバレは禁止。(シミュレーションとはいえゲームだから、休憩中などに参加者が相手チームと企画内容に関して話し合ってはいません)
レポート
CONTACTを行われた場合にはぜひ CONTACT Japan までご連絡ください。報告いただけた内容を NewsLetter や CONTACT Japan の Site 上で紹介させていただきます。