福永達弥さんの、ファースト・コンタクト・シミュレーション アフターレポート

 203X年、時計座イオタからの電波ビームが太陽系を木星圏→地球圏へと通過していった・・・。
 うわぁ、むずかしそう!まさかこんなことをするとは思っていなかった。だって初参加だった前回は、言語の解読をやらずにコミュニケートしてたじゃないか!なのに
今回のは「メッセージの解読」をど真ん中にすえてのコンタクト。こんな難しそうなのをやるなんて・・・。

 案の定解読は難しい。考えていた以上に!そのメッセージというのが、数えていたら目が痛くなりそうな細かなドットでグラフか何かが書いてあるという物。んん~?
なんだこりゃ。踊る蛸か、はたまた踊るミミズか?しかし年季の入って皆さんは違う。コンタクト初心者が首をひねっている間だに、手慣れた皆さんは素数がどうだの
16が基数だのと言い合い、あっという間にはっきりと文字とわかる物に書き換えてしまわれた。
 しかしその文字もややこしい。宇宙人の文字のはずが、ギリシャ数字だの占星術記号だのに似ている。え?それは関係ないの?形式についても数字の対応表だ、いや原子の周期表だといろんな意見が飛び出したけど、糸ミミズのようなヘンな絵がメッセージの最後にくっついていたり、同じ言葉だと思われる記号が何度も繰り返し出て
きたりして、どうもよくわからない。結局メッセージを返信するのはやめて、発信源が一回転するのを待ってもう一回聞き直そう、と言うことになった。

 第2信は前のよりはわかりやすくなっていた。タンパク質かアミノ酸のモデルのような絵が、1度目のメッセージにも出ていた記号と対応され表になっている。という
ことはその記号はタンパク質か何かの名前ってことだ。うーんわかりやすい!
 ・・・でもなにを伝えたいのか、よくわからない。味やにおいでコミュニケートするんじゃないかとか、自分たちの有機組成を送ってるんじゃないかとか、メモを取っ
てないから全部覚えていないけど、様々な解釈が出た。で、僕は「宇宙人のレストランがお品書きを送ってくる」というのがあったなぁと考えていた。
 とはいえ返事を返さなくてはいけない。「内容をそのまま送り返す」「発信源まで行く(!)」と言った案の中、選ばれたのは再び「待つ」だった。やっぱ返事はなにが言いたいのか、わかってからでないとね。

 さてさてあっという間に三度目の通信。核酸分子としか見えない画像、対応表、一回目の通信にもあったヘンな絵の完全版(どうやら遺伝子かなんからしく、とあるバ
クテリアのに似ている、というところまで突き止められてしまった)が届き、何がなにを意味しているかが、確実にわかるようになってきた。
 ・・・しかし目的は未だ謎のまま。この点だけは1回目の通信の時からまったく進歩無し。「遺伝子データから生物を作れと言ってるんじゃないか」とか、「ヘンな絵
のヤツに似たバクテリアを送ってやったら」とか、「無人(もしくは有人)の探査体を送る」とか、「ひたすら待つ」とか、「地球人のデータを送り返す」とか、いろん
な案がでたけれど、結局決定する前に時間切れ。こっちからは何もできないまま終わってしまった。

 そして「あっち」の事情を聞いてびっくり。
 なんと隕石による絶滅を神の試練と考えた彼等は、神々に認めてもらうため「我々は生命の謎をここまで解明した」と伝えようとしていたというのだ。なんだそりゃ。
そんなところに何か送り込んだら神様にされてしまうのはほぼ確実、時間切れで助かった。
 でも種明かしの前にオチを当てちゃった人がいたのにはびっくり。長くやってる人はやっぱ違うんだなあ、すごいなあ。
 それにしても迷惑なメッセージ。神様以外にこれを聞くヤツがいるかも、とは考えなかったのか。異星生物の存在も考えずに「生命の謎を解き明かした」なんてよく言うよ。ん?ということはSFを発達させれば合格できる、かもしれませんね。SFを送ってやればよかったかもね。

(福永達弥)