Proceeding of CONTACT Japan 2

ゲストからのメッセージ

第2回FCS大会開催おめでとうございます。

柴野拓美

 わたしがコンタクト・シミュレーションにフル参加したのは一昨年10月の名古屋大会が最初でした。それまでも何度か日本やアメリカのSF大会で貴会のプログラムの一部を拝見し、心を惹かれていましたが、あの名古屋での第1回大会で、はじめてその楽しさを満喫することができました。
 でも、まったく手抜きの不可能な高密度の進行は、わたしのような年齢のものにとっては相当以上にこたえます。(正直なところ実行委員会のみなさんはどんなにたいへんだろうと、以前から何度かSF大会のスタッフやらまとめ役やらを経験してきた立場のわたしとしては見につまされるというか、むしろ驚嘆の念を押さえることができませんでした。)
 お誘いをいただき、ご厚意はうれしく存じますが、そんなわけで今年は失礼させていただくことにします。でも、あの興奮を味わいそこねるのはまことに残念ですし、さらに海外からの賓客のことを思うと、いまになって心が揺れ動くのを感じています。
 ともあれ役員のみなさんのすばらしい熱意に心から賞賛を送るとともに、参加されるみなさんもそれに応えて大いに体力と知力と、そして若さを発揮し、楽しんでくださることを願ってやみません。


 TO MY JAPANESE CONTACTEES

Greg Barr

 I would like to express how honored I am at your invitation to participate in Contact Japan 2 as your guest. I am also quite proud of your achievement in sustaining interest in this stimulating intellectual activity. I am delighted to have made a small contribution towards encouraging your efforts to create hypothetical alien worlds and lifeforms. This exercise of taking what we know about our world and attempting to apply it to a consistent and believable alien environment is important because it gives us new perspectives on the knowledge we have.
In inviting me to participate, you have truly given me the opportunity to experience a cultural contact first-hand. I am looking forward to immersing myself in a new cultural environment where I will constantly be aware of the importance of communication. I have the advantage, however, of knowing in advance that I will be among kindred spirits who share my desire to experience new worlds. I am excited and looking forward to being among you.


Space tourism

Patrick Collins

"Now that the cold war is over, NASA's and ESA's budgets are being cut severely. However, this is a good thing - because it is making them start to look for projects that are more popular.
The most popular idea is space tourism, and Mr Goldin the head of NASA said in a recent speech that he hopes his grandson can stay in a lunar hotel! Dr Godai, the deputy head of NASDA, recently published a paper on space tourism supporting the space tourism research of the Japanese Rocket Society.
Today's space activities use expendable (tukaisute) rockets which are FAR too expensive and can NEVER open the space frontier. Developing a reusable launch vehicle for space tourism will make the cost of launch much cheaper, make many new space activities economical, and will open the real "space age". This is now almost certain within 20 years, and possible even within 10 years. Totemo tanosimini siteimasu!"


挨拶

松田卓也

 前野さんとは、物理学専攻、疑似科学批判、ハードSF研究所と言う共通点があり、また彼が神戸大学の出身だそうで、依頼を断りきれませんでした。
 人類の未来は「明るい寝たきり生活」であるという観点から話します。


ラインスターから半世紀

堀晃

 ハマコンでFCSに参加して以来、何度かのファースト・コンタクトに立ち会って来ました。なんだか初恋を何度も繰り返しているような気分です。ここで、ぽくのFCについての初心を整理しておきたいと思います。
 「ファースト・コンタクト」の発明から半世紀が経過しています。FCの歴史は、「わが心の師」のひとり・マレイ・ラインスターの短編「最初の接触」に始まります。初出はASF誌1945年5月。終戦の翌年、筆者(堀)がまだ1歳になっていない時期です。本邦初訳はSFマガジン1964年8月号。伊藤典夫氏の訳。解説に、エフレーモフ作品はこの作品の影響下に書かれたとの記述があります。
 ここでいうエフレーモフ作品とは、イワン・エフレーモフ「宇宙翔けるもの」で、SFM1961年10月号に掲載されています。袋一平訳。初出は不明ですが、冒頭に「黒いエントロビー」といった表現が出てくるあたりが凄い。相手は「フッ素人」で、コンセプトは「一目惚れ」でしょうか。
 ラインスターの日本における「不運」は、エフレーモフが先に訳されたことにあるといえます。
 ネタバラシになりますが、ラインスターの設定は、どうやら同程度の科学技術を持つらしい種族の宇宙船がはじめて異境で遭遇する。手の内を明かしても、引き下がっても(追尾されて)「侵略」される危機が生じる。にらみ合ったまま身動きとれなくなる。‥‥‥SF事典のたぐいに、結果は「そのまますれ違う」という紹介を見たことがありますが、これは間違い。絶妙のオチがつきます。(さらにいえば、ラインスターの着想は、昔、インディアンの部族が遭遇してにらみ合いになった時、気を鎮めるために酋長がタバコを一服やった。これから、タバコを交換する「儀式」が生じた‥‥‥このエピソードにあるのではないかというのが、ぼくの推測です。)
 ラインスター作品は「好戦的」過ぎるという「批判」が一部にありましたが、なにしろ戦時下の作品であり、ハインライン同様、「好戦的」と片づけるわけにはいきません。ぼくはラインスターの抜群のアイデアを評価すべきで、エフレーモフは描写力では確かに凄いのですが、「一目ぼれ」の方がありそうにない。
 ぼくにとってのファースト・コンタクトの原点は、ラインスター作品であり、「狭義のファーストコンタクト」テーマとは、ラインスターの設定に対して、他の解が見出せるか、という「冷たい方程式」に近いものなのです。そして、エフレーモフの「解」は、感動的だがやや甘い印象です。 この二作品を起点にFCは拡大し、特に科学技術的スケールは、ニーブン、パーネル、べンフォード、石原藤夫、セイガンに引き継がれて発展して行きます。
 また、「広義」に解釈したFC作品では、「カルチャーショック」との混同が見られますが、これを論じるときりがないので省略します。(現実の事件でショックを受けたのは、20年ほど前、タモリのハナモグラ語の原点になった、中村誠一の「はじめて日本に来たアメリカ人に聞こえる日本語」という芸に接した時。「FCが初めて宇宙人側から」描かれた例であると驚いた記憶があります。テナー奏者・中村誠一氏は筋金入りのSFファンでもあります)
 FCSはこうしたFCのすべての要素を取り込んで「衆知」を集めるわけで、毎回、予想もしなかったコンタクト・パターンが現れるのが楽しみです。
 ラインスターから半世紀、まあ、すごいところまで来たものだと思います。
 願わくば「元祖」を越える、驚天動地のアイデアを‥‥‥。


ごあいさつ

金子隆一

 どうしましょう皆さん。地球外生命の可能性が、まさかこれほどメジャーな話題になるなんて想像もつきませんでしたね、まったく。はたして「コンタクト・ジャパン」が開催される11月までに事態はどうなっているかわかりませんが、ひょっとしたら、これで、地球上の生命科学は宇宙生命科学に普遍化され、さらには、宇宙知性生命科学にまで拡張されて行く可能性もゼロではなくなったわけです。われわれは今、この分野における歴史的転回点に立っているのかも知れません。
 この実にめでたい年に日本でコンタクトが開催されるとは、何とも運命的じゃありませんか。
 今から11月がたのしみです。ぜひコンタクトを成功させましょう。


今回はフル参加

谷甲州

 CONTACT Japan には91年の夏に金沢のi−CONの企画として開かれた第一回のときから顔をだしているのですが、よく考えたら最初から最後までフルに参加したことがほとんどありません。肝心の世界構築に加わらなかったり最後のコンタクトだけ見学したりと、つまみ食いのような行儀の悪い参加の仕方をしてしまいました。もちろん一度でもCONTACT Japanをやってみた方にはわかるとおり、これではシミュレーションの面白さの10分の1も経験しなかったことになります。ということで、今回は万難を廃してフル参加したい、と思ってるのですが、うーん、仕事の都合でどうなるかなあ。とはいえ初参加だけど忙しいから遅れて参加しようかな、と思ってるそこのあなた、きっちり参加しないと楽しめないよ、とだけは書いておこう。
 


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