地球外文明を探すプロジェクトSETIに関連して、この銀河系の中に現在存在する文明社会の数を堆算する方程式が考えられました。
この方程式は提案した科学者の名前を取って「ドレイクの式」とか「ドレイク方程式」と呼ばれています。
ただよく誤解(特にちょ〜科学本で)されるのはドレイクの方程式は銀河系の文明の数を求めるための道具ではなく、異星人文明に対する考え方を表現したものに他なりません。その人が宇宙や文明についてどう考えているかがNの値となるわけです。
ドレイクの式は次のように書くことが出来ます。 |
N =[R*]×[fp]×[ne]×[fl]×[fi]×[fc]×[L] |
それぞれの項目の意味は次の通りです。
R*
: 1年当たりに銀河系で生まれる恒星の数 |
fp : 恒星系が惑星を持つ確率 |
ne : 太陽型の惑星系のうち、生命の存在を許す惑星の数 |
fl : それらの惑星で実際に生命が発生する割合 |
fi : それらの生命が知的生命体にまで進化する割合 |
fc
: それらの知的生命体が技術文明社会を発展させる確率 |
L : そのような技術文明社会の寿命(年) |
N : この銀河系内に現在存在する文明社会の数 |
|
これらの項目について、多くの人が「これが適当」と思われる値を入れています。具体的にどのような数字が入れられているかを調べてみると、次のような値が見つかりました。引用した文献は次の通りです。 |
(1) |
「銀河旅行」
(引用した値はカール・セーガン教授の提唱した値) |
石原藤夫 |
講談社ブルーバックス |
(2) |
「最新地球外生命論」 |
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学研最新科学論シリーズ |
(3) |
「宇宙人はいるだろうか」 |
水谷 仁 |
岩波ジュニア新書 |
(4) |
「宇宙生物学とET探査」 |
大島泰郎 |
朝日文庫 |
|
|
|
R* |
fp |
ne |
fl |
fi |
fc |
L |
N |
(1) |
|
10 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0.01 |
107 |
1×106 |
(2) |
楽観的 |
10 |
0.5 |
1 |
1 |
1 |
0.5 |
1010 |
2.5×1010 |
悲観的 |
10 |
0.1 |
1 |
0.01 |
0.01 |
0.1 |
102 |
0.01 |
(3) |
|
R*・fp・ne=0.10〜0.025 |
1 |
0.01 |
1 |
104 |
250〜1000 |
(4) |
|
10 |
0.1 |
1 |
1 |
fi・fc=0.01 |
? |
? |
|
特に(4)の文献に詳しく書かれているのですが、R*からneまでの値は天文学である程度の「常識的」な値がありますが、fl以降の値については参考となるのは我々地球人の一例だけですので、その人の考え方が如実に現れることになります。特にLについては「我々はあとどのくらいすれば滅びるのだろう」という問題に対する答えとなっていますので、かなりバラついた値となっています。
ちなみに一つだけ確かなのはNが1より小さくなることは絶対に無いと言うことです。なぜならここに我々が実際に存在しているからです。
ドレイクの式を見ると、文明社会の数は寿命に比例していることから、文明の寿命が長ければそれだけ我々が他の文明と出会う確率が高いことがわかります。逆に文明の寿命が100年程度のオーダーでは、Nが1近くとなり、他の文明と出会う確率はゼロに近づいていきます。FCSをするためには我々自身の文明の寿命も延ばす努力をしなければならないのです。 |