はじめに
日本初のファースト・コンタクト・シミュレーション(以下FCS)専門の大会である、CONTACT
Japan 1 が開催されたのは1994年の秋のことでした。
それまでにも日本SF大会などの1 企画としてFCSを数回行ってきていたのですが、いつも「時間が短い、時間が足りない」という参加者の不満に対応するために、この年「じゃあ3日間もあればじっくりできるだろう」という思惑で開催されたのがCONTACT
Japan 1 だったのです。
確かに今までのFCSとは異なり、設定は今までよりも深く行うことはできました。しかし、FCSのメインであるファースト・コンタクトにはあまり時間がとれませんでした。プレコンタクトにいたっては、消化不良のまま時間切れという結果になってしまいました。
そこでCONTACT Japan 3
はプレコンタクトから始めることにしました。CONTACT Japan 1 と同じ3日間をついやしてコンタクトを行おうというわけです。
以下、今回のCONTACT Japan 3
の企画の進め方について説明をしていきます。なお、我々スタッフは現在も今回のCONTACT
Japan 3 の企画については日夜検討をかさねております。
そのため、この原稿の内容も今後変更される可能性があることをご了解願います。
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設定はどうなっているの
CONTACT Japan 1
では地球人側・異星人側両方ともに設定から始めました。
今回は、コンタクトの前提となる設定についてはスタッフ側で事前に定義しておくことになります。
設定内容は異星人側については、住んでいる恒星系・惑星などの物理的な条件、生態系を含む生物学的特徴、メンタリティや社会構造などです。地球人側では、その時点での社会情勢、宇宙開発の進行状況、使用可能な資源などです。
なお、異星人側の設定については、SF作家のポール・アン
ダースン氏に設定をお願いしました。
これらの設定については、次回のプログレスレポートと一緒に資料を参加者の皆さんにお送りする予定です。もちろん参加者は、地球人側・異星人側のいずれかに属することになりますので、参加側の資料のみが送られることになります。
FCSを楽しみたければ、相手側の設定を知ってはいけません。参加者の皆さんはそれぞれ、設定内容の秘密保守と、相手側の情報を入手しないように努力してください。
また、CONTACT Japan 3
当日にも、企画開始時に設定についての説明がありますが、コンタクトを成功させたければ事前に資料に十分に目をとおしておいてください。
もちろん、プレコンタクトやコンタクトを行っている最中に、事前に用意された設定では不明な情報が必要になることは十分に考えられます。その場合は参加者がその時点で決定していくことになると思います。
とりあえず、次回プログレスレポートをお待ちください。
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4つのFCSを平行実施
CONTACT Japan 3
では、参加者は必ず地球人側・異星人側のいずれかのグループに属することになります。そしてコンタクトを行っていくわけですが、参加者全員が同一のコンタクトを行うわけではありません。CONTACT
Japan 3 では、実際には4つのコンタクトが同時並行で行われる形になります。つまり4チームのFCSが平行して行われるわけです。この4つのFCSは参加者以外に相違点はありません。この4チームのFCSがすべて同じ設定、同じ条件でFCSを行うことになるのです。
もちろんチーム単位で参加者は違うので、各チーム単位で意思決定、アクションは当然異なっていくはずです。同じスタート地点から出発してもたどり着くゴールは別々のものになるのです。
ここで注意していただきたいのは、この4つのFCSは完全に独立しているということです。いわゆる4つの平行宇宙でFCSが行われると考えてください。あるチームで西暦2500年に地球側の宇宙船が異星人側の恒星系に到着したとしても、他のチームではすでに西暦3000年になっており異星人側の宇宙船が地球に到着しているということも十分にあります。極端にいえばあるチームで木星がミニ太陽になったとしても、他のチームでは木星はいままでどおりの形で存在するということになるのです。各チームでシミュレーション上の時間の流れも当然異なることになるでしょう。
それぞれのチームでどのようにコンタクトが進んでいったかについては、コンタクト終了後に各チームから発表されます。他のチームの情報はその時に始めて知らされることになるでしょう。
なおCONTACT Japan 3
の開催中は、休憩時間などでも、地球人側参加者と異星人側参加者との交流は行わないようにしてください。相手側の情報が漏れてしまうとFCSの楽しみが失われてしまいます。
さらに今回は同じ地球人側・異星人側同士でも他のチームとはFCSに関する情報交換は避けた方が懸命でしょう。あなたのチームが通信によるプレコンタクトを実施してまだ相手側の姿形も知らない時点でも、よそのチームはすでに直接に会ってコンタクトを行っているかもしれないからです。つまり、他のチームがすでに知っている情報をすべてあなたが知っているとは限らないからです。
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始まりはここから
今回のFCSはまずプレコンタクトから始まります。プレコンタクトとは直接に会うコンタクト以前に行われる通信等による相手とのコンタクトのことです。
現実の世界で通信によるコンタクトが行われるとしたら、素数や周期律表などの普遍的知識による有意信号の送信などから始まる可能性が高いのですが、CONTACT
Japan 3 ではそういったものは終わっていると考えてください。
CONTACT Japan 3 ではプレコンタクトは以下の時点から開始します。
*すでに相手側に知的生物が存在することは地球人側・異星人側双方が認識している。
*電磁波による通信によりモノクロ画像データを相互に送信しあうことは可能なレベルに達している。
つまり、地球人側・異星人側ともに相手側に絵や図を送ることは可能な状態からプレコンタクトを開始していきます。
実際には規定の用紙に図を書き込みスタッフ側に渡すとスタッフが相手側チームにそれを渡してくれることになるでしょう。もちろん地球人側チームと異星人側チームは完全に隔離された状況で企画は進行します。
おそらく
1.相手からのメッセージの解読
2.対応の検討
3.返答メッセージの作成
の繰り返しが行われていくでしょう。当然相手側は何光年も先にいるのですからメッセージのやり取りを行う時にはタイムラグを十分に意識してください。
メッセージの発信のタイミング・回数は各チームに一任されます。ただしメッセージをやり取りしないとコンタクトは進行しませんから極力メッセージを送る回数は多くした方が望ましいと思います。
ある程度プレコンタクトが進み意志の疎通が可能になったと判断されれば、言語によるプレコンタクトも可能です。どの時点から言語によるコンタクトが可能になるかは各チームの進行状況、通信内容などからスタッフが判断することになります。
このようにして、メッセージを交換しあいながらプレコンタクトを進めていくのです。
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コンタクトはできるのか?
さてプレコンタクト以降ですが、実際に相手と会っての直接的なコンタクトが行われるかどうかは不明です。全て参加者の皆様がどのようにコンタクトを行っていくかに依存しているからです。あるチームは直接コンタクトをするかもしれませんし、他のチームではプレコンタクトだけで終わるかもしれません。
できるだけ直接的なコンタクトができるようにがんばって下さい。
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