CONTACT Japan

CONTACT Japan 2 講演4

Space Tourism  Patrick CoIIins

 最初に、コンタクトジャパンに関して大迫さんに感謝したいと思います。コンタクトジャパンは非常に楽しい会議ですからみなさん頑張って下さい。
 図1は「観光丸」という宇宙船の模型です。これらによる宇宙旅行については今から説明します。研究者として私の専門分野がビジネス経済ですから、私は人類が宇宙に広がる可能性や宇宙人について(ここでは宇宙に広がった人類って意味か)、ビジネスや経済の面から考えています。

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図1 宇宙船「観光丸」

 宇宙旅行をビジネスとして考えると、現状では高いのは当り前です。それはなぜかと言うと、基本的に打上げコストが非常に高いからです。最初の打上げからすでに40年ぐらいになりますが、使い捨て型ロケットを使ってミサイルの上に乗って打上げをするようなものです。アメリカのスペースシャトルは再利用していますが、それでも使い捨ての部分もかなりあります。さらに、設計やデザインが古くて駄目ですから使い捨てロケットよりも高い。安くするためには完全に再使用できるロケットを作る必要があります。飛行機のように毎日使えるロケットを作れば、打上げコストは安くなります。これは打上げの供給についてですが、ビジネスには需要と供給の二つの面があります。次に需要のことを話します。なぜいまだに使い捨てロケットを使い続けているかというと、ロケットの打ち上げ市場が非常に狭いからです。年間にたった数十個の衛星しか打上げないため、再使用できるロケットを開発する必要がほとんどありません。もし、新しくて大きい市場があれば、再使用ロケットを開発する必要性が生れるでしょう。
 私は93年に日本で勤めたときに、宇宙旅行はどういった市場になるかについて、世界で初めての市場調査を行ないました。日本人を対象に3000人にパンフレットを配って、アンケート調査おこないました。去年には同様の調査をアメリカでも電話で行いました。今日はあまり詳しい説明はできませんが、『宇宙へ行きたいか』という質問への回答によって日本人とアメリカ人の20代の人の8割くらいは『できれば宇宙へ行きたい』と答えています。また、面白いことに日本人の方がアメリカ人よりも熱心で、60才くらいまでの人は7割程度が、『できれば宇宙へ行きたい』と答えています。この調査は専門家がきちんとやって、代表的な各種の人が参加していますので、この結果は間違ってないと思います。とにかくほとんどの人、大部分の人は、『できれば宇宙へ行きたい』と思っていることがこの調査でわかりました。
 それともちろん、いくらなら払っても良いかという質問もありました。日本人はアメリカ人よりちょっとだけ熱心ですがほとんどの人は給料の1ヶ月分なら払ってもいいと答えています。ただし、これはちょっと安すぎて、ここまで安くなる可能性はかなり低いと思います。また、6ヶ月分でも良いと答えた人はは2割ぐらいいます。多くの人は3ヶ月分なら払っても良いと答えています。私も、たぶん3ヶ月分なら払うと思います。実際にサービスが有ったとして、本当にそれだけ払うかどうかはちょっとわかりませんが。
 アンケートには他にも質問がありました。ほとんどの人には「一生に一度行きたい」という気持ちが非常に強いです。若者にはも少し冒険をさがすと思います。有名な詩で「面白き事もなき世を面白く、」は丁度良いと思って、地面はだんだんつまらなくなってきていませんか。
 別のアンケートの調査結果、ベルリン大学の研究者がたった1人でベルリン空港でアンケートをやりました。ヨーロッパは一番保守的な場所で、宇宙旅行に関して宇宙産業の人は馬鹿げた話だと考えていました。そこで、1人でこのアンケートを実施したので素晴らしいことです。ドイツのデータは200人だけですが、すべてのデータはほとんど同じで、ほとんどの人は『できれば宇宙へ行きたい』と答えています。その研究者は『1人500万円でも毎年100万人は宇宙へ行く可能性がある。そして毎年6兆円の市場になる』と結論しました。日本ロケット協会はもう少し安く、200万か100万円でも良いのではないかと考えています。とにかく6兆円という数字は、たとえこれが6倍大きすぎる値だとしてもすごく良い市場になります。今の打上げ市場にくらべてずっと多く、そして始まってしまえば無限に成長する市場だと思います。市場調査では、観光目的の宇宙旅行はビジネスチャンスとして非常に面白いことになります。
 日本ロケット協会といってもみなさんが知らないかもしれませんが、今年40周年を迎えた、メンバーは500人くらいですが、たくさんの宇宙産業の俸い人は入っている協会です。40年というのは世界中でもっとも古いロケット協会です。他の国、ドイツやアメリカにももっと古いロケット協会は有りましたけれど、他の協会と合併したりして解散してしまいました。
 3年前に宇宙旅行研究企画が始りました。これはパイオニアリングで、非常に面白いプロジェクトです。なぜかと言うと、大事なポイントは、宇宙開発を考えるときにはまずNASAそれからヨーロッパが進んでいます。そのNASAとヨーロッパは毎年の予算に2兆円を使ってます。ほとんどの人はやっぱり宇宙旅行はNASAができるだけ早く作るだろうと考えていますし、やろうとすればできるでしょう。しかし実際には、そうではありません。NASAの中での再使用型ロケットの研究の予算は全体の予算の2%だけです。またヨーロッパの場合は全体の0.2%です。最近のNASAの局長はやる気のある人で、再使用ロケットの開発に積極的です。しかし、このままで良いと考える人も多くてNASAの中でも抵抗は多いです。彼は3年間だけNASAの予算の2%を再使用型ロケットに使おうと計画しています。]33というロケットプロジェクトが3年間に2%だけ使い、それからお終い。結局、NASAやヨーロッパでは毎年2兆円の予算を使っていても再使用型ロケット、安いロケットの研究はほとんどやっていません。ほとんど無いのです。
 それにたいして、日本のロケット協会は『やっぱり研究しよう。少なくともできるかどうか調べよう』としています。そして、三菱重工業、富士重工業、川崎重工業、日産自動車、石川島播磨、全日空、テイサンなどの大手のメーカーは予算は非常に小さいですけど研究をしています。これは2年前に川崎重工業が作った1mほどの垂直離着陸機の「観光丸」というロケットの模型で、本当に良い模型です。みなさんご存じかどうかわかりませんけど、垂直離着陸機の概念は昔からありました。アポロ計画の最中にNASAの優秀なエンジニアからサターンロケットの技術を使って、小さくて再使用可能なロケットを作れば打上げ費用が安くなるという提案がありました。結局それは政治の理由で実現しなかったのです。とにかく、こういうスタイルのロケットの支持者は60年〜80年代にもいたので、これは決して革新的な概念ではありません。もちろん観光用の設計は新しいですが概念はそんなに独創的ではありません。
 観光丸のサイズは20mくらい50人のキャビンがあります。体積のほとんどは燃料でしょう。軌道まで行くためにマッハ26まで加速しなければなりませんので、燃料はいっぱい必要です。球形に近い形が一番軽くて垂直離着陸機は羽がないから形や構造はけっこう簡単になります。詳細についてはここで話すよりも、去年輸送機の計画が日本ロケット協会から出版されました。300頁くらいで2000円くらいの面白い報告です。
 ただし、最近の状態はそこから進んでます。今、運輸研究委員会と事業化研究委員会が活動中です。運輸研究委員会は開発費と製造費を見積ってます。事業化研究員会は、資金の調達を研究しています。メーカーが製造できるとなっても、投資する前には注文の必要があります。飛行機でも、ボーイングは最近777を作ったが、それに何千億円の投資する前に100台の注文を受けました。
 メーカーは説得されていますが、つぎは運営会社です。航空会社の子会社くらいの会社が観光丸を運営したくならないといけません。それで、たとえばどこで打上げるか、どういった規制があるか、燃料の規制はどうか、など、いろんな面から調べなければなりません。そして、それは未だ途中の段階です。その研究によると普通の空港から打上げるのが良いという考え方があります。なぜなら、空港にはたくさんの人が居てすでに設備があるのでこれが一番でしょう。それで、普通の空港を使うには、どういった設備が必要かということを調べました。数年前にアメリカのサンフランシスコ空港では飛行機のための液体水素システムの研究がありましたので液体水素と酸素などはだいたい大丈夫です。もちろん新しい規制や規制緩和などいろいろなことがありますが、基本的には問題はないらしいです。音についても規制があります。図2では関西空港で747の音をしめす。これは計画だけですけど観光丸をこの施設から打上げれば規制以上の音がします。結局はジェットエンジンなみに静かにする、静かになるように研究しなければならないということです。これも、ロケットメーカーにとっては新しい研究で、今までそういった研究は全然やってませんでした。航空産業は世界の重要な産業ですから、ジェットエンジンは静かになるように研究されてきました。

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図2 関西空港での747の音

 空港もビジネスですから、ある空港から最初にロケットが打上げられれば有名になります。たぶん空港はこの人(文句をいう可能性のある場所に住んでいる人)に少し金を出して、我慢してもらい、スペースポートになる。最初のうちは打上げも少ないから音はたいしたことではないと、委員会では考えています。飛行機には、飛行機産業にはメンテナンスとかエンジニアとか、たくさんの技術だけじゃない、システムがあります。ロケットも大量に打上げれば、百機作って毎日飛ばせば飛行機のようになると考えています。
 次の質問は、宇宙に行ったときにどれくらい、何日間、何時間泊りたいですか? ほとんどの人は軌道に泊りたいと言っています。やっぱり200万円も払えば数時間では少し短すぎると考えています。そうすると、興味深い新しい宇宙ホテル産業ができます。正確には軌道上滞在施設ですけど、基本的に宇宙ホテルです。川崎重工のパンフレットでは、清水建設が宇宙ホテルの研究をしたものです。アメリカの不動産屋がボーイングのエンジニアと一緒に宇宙滞在施設について考えました。不動産屋は宇宙のことは全然わかりませんが、彼の仕事は、数百億円集めてでっかいプロジェクトを作ることです。ボーイングのエンジニアはそういうことを全然知らないから、ビジネスは不動産屋にまかせることになります。何百億円という金を投資会社から集めて、ビジネスパークを作るつもりです。
 最初の宇宙ホテルはモジュールのかたまりになります。それ以降は想像上ですけど、どんな形でも面白いホテルが作れます。無重力の生活も面白いです。宇宙ホテルでは子供が入れる食堂と子供が入れない食堂が必要だと思います。子供は飲物と食べ物で遊ぶでしょう。いままでの宇宙飛行士の話のひとつに、食事のときに時々食べ物が相手から近付いてきてちょっと気持ちが悪いと。子供は構いませんでしょう。無重力のカラオケもあるでしょう。向こうが窓です、この二人は歌ってます。無重力の水遊びだったら、回転する水泳プールも作ることができるでしょう。ただし、それは次の段階です。最初のホテルは小さなモジュールだけですが、それから大きくなって発展します。現在のホテル産業も何兆円のでっかい産業でしょう。 観光丸の打上げ費用がこれまでよりも安くなれば、宇宙ホテルも現在の先端ホテルとそんなに違わない何百億円の規模になり得ます。
 図3ではアメリカ人のハドソンさんの垂直離着陸機のフェニックスです。80年代に考えられています。この事から、観光丸はけっして新しいわけではないことがわかります。1985年、フェニックスを開発しようとしたけれど、結局投資はされませんでした。

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図3 垂直離着陸機フェニックス

 軌道までは300kmしかありませんから、約5分くらい、非常に短時間で行けます。なぜ宇宙に行きたいかとアンケートで聞いたところ、ほとんどの人はまず『地球をみたい』と答えています。地球はきれいですから、それは当り前ですね。ただし、秋山さんの話しでは『地球はやっぱり海と雲の惑星だ』と言いました。ほとんどの人は自分の国や都市を見たいでしょう。見えるのですけれども、曇ってるときもけっこうあります。ビジネスとしての最初の段階は低地球軌道で3時間だけになるでしょう。それから旅はだんだん長くなって、高軌道へ移っていきます。高軌道から見た地球は違います。低軌道からでは地球はすごく近い感じですが、10000kくらいの楕円形の軌道から見たものも面白いと思います。 地球の夜も面白いです。中近東のガス、油田や日本や北ヨーロッパ、漁船なども見えます。ときどき火山やオーロラもすごく面白いと思います。もちろん1時間半ごとに日の出と夕焼けも見えます。
 無重力の遊について、結局日常生活のすべてが、無重力でなにをしても面白いと思います。歯を磨くこと、食べるとき、なんでも面白いですね。お土産品だったら、無重力の写真を撮ることは良いお土産じやないかと思います。
 宇宙ホテルについて考えれば、一番簡単なのは20年前にアメリカのスカイラブという宇宙ステーションがありました。今の宇宙ステーションは5兆円かかっていますので、ほとんどの人は宇宙ステーションは、いつまでも高いと思ってますけど、そうではありません。ある会社は宇宙ステーションが必要だったらスカイラブくらいのものを作る。そうすれば100億円以下で出来る。飛行機程度で作れるかもしれません。なぜかと言うともうすでに開発されたものだからです。それで打上げはロシアですれば、全体が数百億円でできます。現在の宇宙ステーションの100分の1程度です。ビジネスの面で見ればこれくらいの金額はそれほど高いものではありません。
 最初のホテルはモジュールのかたまりだけだと思っています。それから、清水建設の宇宙ホテルぐらいのものになります。上の方は回転するから人工重力があります。ある人は人工重力がなければ住みたくないでしょうが、無重力でなければ住みたくないという人もいます。清水建設宇宙ホテルの中の寝室の窓から地球を見ることが楽しいでしょう。ほとんどどんな形でも作れるから、無重力のホテルは結構設計しやすいです。ただ回転するとジャイロスコープになりますから方向は変えられなくなります。
 いろんな可能性のなかで、でっかいスタジアムを作ってその中でスポーツもできます。間組という建設会社は無重力の水泳の可能性を研究しました。水泳プールはゆっくり回転しますと遠心力で内の面で普通のプールのように泳ぐことができます。面白いことに、ジャンプするとまた無重力に浄ぶことができます。非常に楽しいでしょう。もちろんこれは、最初のホテルではありません。水も重いし、プールの水は全部で数千トンなのでホテルより重くなります。でも、ビジネスは必ず成長して、も競争するから、他のホテルより楽しいサービスをするために、お客さんを呼ぶために必ずこういうことやると思います。
 これはゼロGスタジアム。ゼロGスタジアムというのは無重力で飛ぶことができます。生地の羽を使って無重力で、後で月面でも飛ぶことは、非常に人気のあるスポーツになるでしょう。シンクロナイズド・フライングでスイミングというより、バレー、無重力の飛ぶバレーもできますので、無重力で飛ぶことは新しいスポーツになるでしょう。
 これはゼロGスタジアム。ゼロGスタジアムというのは無重力で飛ぶことができます。生地の羽を使って無重力で、後で月面でも飛ぶことは、非常に人気のあるスポーツになるでしょう。シンクロナイズド・フライングでスイミングというより、バレー、無重力の飛ぶバレーもできますので、無重力で飛ぶことは新しいスポーツになるでしょう。
 始ったら、宇宙旅行ビジネスはどんどん大きくなって行くと思っています。いきます。まあ、こういう窓はけっこうすすんだ技術かもしれないですけれど。
 最後にガンダムにもどって、こういうことは、研究の指導者のながとみ先生が、『エンジニアリング上の問題があります』という本を書きました。
 今、結論はありません。これらの研究はまだまだ途中です。最初はけっこう無視されたけど、最近は宇宙旅行は良い目的じゃないかとアメリカでもNASAでもやってます。観光丸の開発は十年間かかると計算しています、ただし、それは資金をもらった後でしょう。今の所は資金をまだもらってません。しかし、必ず20年以内には実現すると思います。以上です。
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