CONTACT Japan

CONTACT Japan 2 講演1

History of Contact in America  Gregg Barr

*実際の講演は英語でおこなわれました。以下はその講演を訳したものです。
 どうもありがとうございます。私は特にCONTACT Japan 2のスタッフに今日、私をここに招待してくれたことに対し感謝の意を述べたいと思います。また日本における私のよい導き手であり、この素晴らしいプロジェクトを日本においてたちあげられた私の個人的なホストである大迫氏に深い賞賛の念をあらわしたいと思います。また、たった2年間で CONTACT Japan がアメリカのCONTACTが6年か7年以上もかかって成し遂げたのとほぼ同じくらいの規模に成長したことは素晴らしいことであることを申し上げたい。
 これから10日間で、私はエイリアンであるということがどのようなものであるかを知ることになるでしょう。というのも、私は日本においてアメリカ人というエイリアンであり、それを証明するための登録番号をあたえられています。そういうわけで、アメリカで作られたエイリアンの写真を何枚かもち歩いていることをさほど奇妙には感じません。
 さて、CONTACTは1983年に設立されました。−−最初のコンファレンス(会議)が1983年に開催されたのです。CONTACTはジム・フナロという人類学の教授によってつくられました。またSF作家のフランク・ハーバートと、エイリアンの骨格や頭蓋骨を作ったアーティストであるジョエル・ヘーゲンが最初にコンファレンスを開催したメンバーでした。そういうわけで皆さんが最初にご覧になった骨格とこの模型の両者はジョエルの手によるものです。ジムが大学教授として、またフランク・ハーバートがSF作家として著名だったためCONTACTは学究界とSF界、両者のプロをひきつけました。
 コンファレンスが常に科学面からアプローチされていたことを知ることは重要なことです。参加者は物理、化学、地質学といった自然科学や人類学、社会学、歴史といった社会科学の最高の知識を持つことを望みました。実際、このコンファレンスとの目的は、普段はお互いに接触のない科学者たちに義論の場を提供することでした。コンファレンスと組織の目的は、普通だったら互いに接触を持たない異なった分野の人々をひきあわせることだったのです。
 CONTACTで世界を創造するときには寿命がどのようなものか、日の長さがどれくらいかといったたぐいの情報を理解するのにかなりの時間を費やします。そういう訳で暦を作り、またその生物に関する人類学的側面も決定するわけです。生命がどのようなものであるか、惑星表面から見たときにどのようなものが見えるかを想像することはとても重要です。それでは、これから異なった年度における幾つかの進行状況と、幾つかのエイリアンをお見せしましょう。
 CONTACTはそもそも、生命が相対的に人類よりも原始的であると仮定される惑星に行く、人類のミッションとして始まりました。つまり元々は人類による探検だったわけですが、これは後に変化しました。何年にもわたり我々は人類の子孫である二種類の異星人と取り組みました。これがそのうちの一つです。別名“宇宙の孤児(Lost in Space)”で、人類が異なった惑星ではどのように異なった進化を遂げるかという実験を試みました。
 アメリカでのCONTACT大会はおおむね金曜から日曜の午後までですので、この大会よりも一日長いわけです。しかし、その時間内で異星の大規模な生態系を創造することが難しいことは容易に理解していただけるでしょう。惑星のさまざまな側面についてとりくむ委員会やグループを組織しなければならないのです。コンピューターはCONTACTのかなり初期の段階から、情報を組織化したり、コンピューターアートで絵を措いたりするのに役立ってきました。また、生物を創造するためには解剖学の理解から始めることも重要です。原始の段階での体構造がどのようなものであるかを考えずに生物をつくることはありません。その見た目と同じくらい素晴らしいことに、その生物は我々の想像の産物ですが、その生物をうみだすには学術的なアプローチをしているのです。また、初期の頃から我々は人類の未来、宇宙時代の地球を理解することに強い興味を抱いていました。CONTACTの一部は常に他の惑星に向かう人類のミッションなわけですから、一つのチームはいつもどのように他の惑星に、他の恒星系に行くかという技術問題にとりくむこととなりますが、その方法は現実的なものでなくてはならないのです。光速を超えることは許されません。
 1990年に私はボランティアとしてCONTACTの委員長になりました。私の行ったプロジェクトの一つにCONTACTの影響を大会の外に広げるというものがありました。このために人類チームと異星人チームがコンタクト状況に到達しようとするという基本的なアイディアを取り上げ、アメリカの8年生、つまり13から14歳の生徒に指導しました。スミソニアンの教育研究所とNASAの教育部門が援助してくれました。三年間、我々はワシントンの幾つかの学校でパイロットプログラムを行いました。最初の年は生徒達が放課後に自主参加し、2年目と3年目は科学の先生の協力を得て、その先生たちの受け持つ全てのクラスの全ての生徒のその年の教科課程として実施しました。生徒達は模型をつくったり文章を書いたりといったことも含め、CONTACTで我々がしていることをすべて行いました。この試みは非常に成功しましたが、残念ながら全ての学校で実施するのに十分な資金を得ることが出来ませんでした。このプログラムは特に学習に問題のある生徒、これ以外の時間には興味を示さない生徒に効果があることが分かりました。彼らはこのプログラムに熱中し、しばしばグループのリーダーになります。彼らの多くが学校生活でおそらく初めて、本を開いて調べるという事を行いました。
 さて、これから更に皆さんに幾つかのプロによって作られてた模型、ジョエル・ヘーゲンによる作品をお見せしましょう。これがジョエルの作品です。この作品はジョージ・ルーカスの特撮工房である「ライト・アンド・マジック」で働くアーティストによって作られた、我々が「SIM−CETI」のために創り出した生き物です。我々がみんな別の種族からの無線メッセージを受け取ることを望んでいたため、論理的に我々に無線メッセージを送ってくれるような生物を創り出さねばなりませんでした。そして、暗号化されたメッセージを受け取り、それを解読し、さらにそれに返答をかえそうとし、また大衆の混乱ぶりをインターネットを通じて経験するというシミュレーションを成功裡のうちに体験することが出来たのです。
 今からスライドを変え、CONTACTから発展したプロジェクトをお見せします。来年が14回目の大会となりますが、CONTACTに何年も参加してくれた何人かの人々は異星人の世界を発展させるのに時間が足りないのにフラストレーションを感じていました。3日ではあまりにも短いのです。というわけで、グループを解散せずに大会から次の大会までの間もコミュニケーションを保ち、3つの大会、つまり2年半にわたり異星人の世界を発展させていくことを求められました。CONTACT大会で最初の作業がなされた後、我々は惑星に関する作業を要約したニューズレターを送り、200人を超える人に参加を呼びかけました。最終的には、3つの重なった国の31人のメンバーが、3年半以上に渡り参加してくれました。我々はこのプロジェクトの参加者とビジネスの視点から彼らを代表する小人数のグループの間で正式な関係を確立しました。これを「ワールド・ビルダー」と呼びます。このプロジェクトで創り出されたものは営利的な利用を許可されています。このプロジェクトに25000(人・時間)が費やされたと見積もっています。31人の参加者の多くの時間がこのプロジェクトに費やされました。
 今からお見せしようとしてるのは、詳細のほんの一部です。それとこの2年半前から始まった仕事についてまとめた文書「EPONA記録」を回覧します。これは直径1フィート(30cm)の球の写真ですが、非常に有能な芸術家による惑星の正確なモデルです。この惑星には新しい生物界があり、我々の仕事のほとんどはそこについてなされました。そこには我々が知っているような伝来の植物や動物がおり、また「近骸骨(myo−skeletal)」界があります。これは新しい異星人の界です。植物界や動物界は近骸骨界に含まれておりその結果、体構造は我々の知っているどんなものとも全く異なっています。我々はまた近骸骨種のいくつかについて創作しました。我々はまず祖先となる生物を創るところからはじめ、生物の非常に大きな系統をつくりました。この界では植物に似た生物も動物に似た生物も同じ近骸骨界にいます。
 さて、ここでいくつかの絵をお見せしましょう。これらは初期の土地の眺めや、昆虫についても舞常に細かく措かれています。すべての動物はペンタポッドと呼ばれる5本足の生物から派生しました。−−ここに足があり、後ろにもう一本足があります。多くの絵は基本的な構造のバリエーションを示しています。このため、皆さんが見ておられる動物はすべて同じ足の構造をもとにしています。これらは一つの主曹のバリエーションなのです。地球上の生物が一つの主題のバリエーションであるのと同じことを我々はこの惑星に適用したのです。われわれは動きがどのようになるのか、彼らがどのように動くのかを研究しました。これは非常にアニメに似ています。
 我々は同じ体構造から空を飛ぶ生物もつくりました。これが「オーサ(Ootha)」です。そしてまた色々なバリエーションのスライドです。ここで再び最終的な系で義論されたいくつかの細目についての例です。これは物事がどのように機能するか‥筋肉はどのように動くか、それらは実際、物理的に機能するかについて検討されています。
 これは生物がどのように呼吸するかの図です。いくつかの解剖図があります。ここには目の模式図、耳の模式図などがあります。これは実際には見えませんし、実際には聞こえません。これはソナー装置に似ています。これははじめにお見せしたような形の口を持っ生物が発すると言語がどのように聞こえるかを描写しようとしているところです。ひとつの言語がはいったオーディオテープが作られました。
 さて、異なった羽の形、異なった構造が見えます。この図はこの生物が単独で飛んでいるところです。これがこの惑星EPONAで知性と文化を持つにいたる生物となります。CONTACTの歴史において知性を持つ飛行生物がつくられたのは、これが最初の試みです。これがコンピュータでつくられたEPONAの風景です。ここに多くの‥多くは無いけれども1ダースくらいの生物を含んだEPONAの絵があります。ここに「バネヨウキ(spring−croc)」がいます。ここに先ほど図をお見せしました「パゴダツリー(Pagoda−Tree)」と呼ばれる木があります。
これらの風景はウェブ、ウェブサイト(インターネットのホームページ)でも見ることが出来ます。ここには島を飛行する短いアニメもあります。…明かりをつけていただけますか。皆さんは「アナログ」誌をご存じかどうかわかりませんが、その11月号にEPONAについての小説、私がここで述べた情報をおそらくもう少し詳しくしたものが掲載されます。これはわれわれの最初の創作小説です。またこの惑星の探検ができるようなCD−ROMシミュレーションも計画しています。
 以上がCONTACTコンファレンスの最初のアイデアから我々が取り組んできた仕事の概略です。もう一度、招待いただいたことを感謝します。さて、質問のための時間が数分のこっていると思います。今回の発表が皮相的なものとなり、申し訳ありません。
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