解説
人類の文化の発祥の地と言われているのはチグリス川とユーフラテス河のほとり、今のイラン、イラクにあたる地であった。
他にもナイル周辺のエジプト、インダス川を中心とした地域、黄河流域など、初期の文明が大河のほとりに発達したのは周知のことある。生命の維持に必要な物として水はかかせないものであるから、水の豊かな川辺に人が定住したのは当然といえば当然である。異星人も、もし同じ様な代謝系をもつものであればやはり文明の兆候は川添いに現れるであろう。
しかし、世界には他にも大きな川はいくつもあるのにこの4大河川の流域で文明が発達したのは何故だろうか? これらの河川が低緯度地方の河川だというのもひとつの理由かもしれない。はやい話、食物が豊富だったということだ。農耕の始まりが人の定住を促し、それが都市の発達へとつながっていくのだが低緯度地方では農耕を始めるのはかなり容易なことだったに違いない。また、農業の発達は余剰生産の分配などから階級・身分制度のを生む一因となり、経済や暦、天文学の発達にも繋がっていく。そして世代を越えた知識の伝承、情報の伝達の必要が文明の発達に重要な役割を果していったのであろう。
しかし、古代の都市はあくまで地域的なものでしかなかった。バビロニア人が円周率を発見し、エジプト人やローマ人が優れた設計の建築物を作りあげていた頃、日本人はまだ竪穴式住居に住み狩をして暮らしていたのである。この差異はどこからくるのだろうか。やはりそれは物資や情報の伝達にあるのだろう。古代にも文化の交流はあったに違いないが、それは多くの困難を伴うものであった。後世の十字軍や大航海時代がどれだけヨーロッパ文明に刺激を与えたかを考えても、「交流」というものがどれほど文化・文明にとって重要かが分かると思う。
そして、数学や物理学の定理のいくつかは紀元前の時代に発見されている。それぞれの文明の宇宙観に影響されるものの、宇宙に普遍的な定理はどこでも一緒だろう。異星人の星でも三角形の内角の和は180°だろうし(もっとも、彼らが「180°」という表現をしているとは限らないが(^^;)そうした事のいくつかは文明の初期に発見されていたとしてもおかしくない。
そしてまた、文化は後退もしうる。ひとつの文明が他の文明を滅ぼすことは歴史が証明しているし、宗教が自然科学を歪める方向に働いた時代もあった。
同じひとつの星でさえ、さまざまな文化・文明が生まれ、交流し発達や時には滅亡をくり返しながら今の時代が創られていったのである。現在もまたさまざまな文化が影響しあいながら共存している。異星人の星の文化もまたあらゆる時代の交流や対立を経て存在しているのかもしれない。
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