Proceedings of CONTACT Japan 1 Vol.2
参考資料集 Part 2
生物とはなにか!
(この節は、PATIOに野中純氏が書かれた記事を編集して掲載しています)
コンタクトの為の異星人作成において、地球上の生物を理解する事は、より確かで斬新な異星生物を創造する助けになり、また地球文明を考える上でコンタクト時代の地球生物と、その生物から来る文化を考える手助けになる事でしょう。そういう観点から以下のことは書かれています。
基本中の基本である話題。いったい生物とは何なのか? これが解らなければ、生物の詰が出来ないと言うものです。
しかし説明する様に言われても、ほとんどの人が出来ないと思います。
では生物の定義と生物にはどんなものがあるかについて考える為に、以下の問題を考えて見ましょう。
【問題】 知っている生物を10個(以上)言ってみましょう。
さて、すぐに思い付いたでしょうか。10個ならすぐに思い付きましたね。それでは問題の解説をします。
[問題の解説]
まず地球にどんな生物が存在するか?、と言う事を考えてもらう為に問題を出しましています。10個と限定しましたが、恐らくそれ以上の生物を思い浮かべていただいた事と思います。
そして地球上の生物は思い浮かべた生物の数をはるかに越えていると言う事を知ってほしいと言う事です。
普通の人にこの質問をすると“人間”を除く哺乳類を10個あげてきます。(ニワトリ等の鳥類も入って来る事がありますが。)
「まだぜんぜん足りませんよ、ほかにも生物がいるでしょ?」と言うと、やっと魚類の名前が出て来るという状態です。
他にもカエルなどの両生類、トカゲ、イグアナなどの爬虫類、ゴキブリだって昆虫という立派な生物なのです。
「八百屋さんにも生物は売っているでしょ?」と言うと次々に名前が出て来るのに、そう言わないと誰も植物の名前をあげてくる人が居なかったりします。
この事から生物と聞くと“動物園を思い浮かべる人が多い”みたいですね。
もちろんこれ意外にもたくさんの種類の生物が存在します。
恐竜・アンモナイト・サンヨウチュウなど化石になってしまった昔の生物もいますし真菌・細菌・酵母・各種プランクトン・軟体生物・甲殻類・その他(が沢山)いちいちあげていると、きりがありません。
処で、何故だかこの質問で出て来る確率が高いT2ファージ(正確にはT2バクテリオ・ファージ・ウイルス)ですが、これが生物か否か、と言う事が問題になりますが……残念ながら、大抵の生物の定義ではウイルスは生物ではない!、と言う事になってしまいます。
最近はウイルスが生物か無生物かと言う問題を議論するよりもウイルス自体を研究する方が有益だと言う事から「どっちでもいい」とされてます。
[生物の定義]
生物の定義とは、生物すべてが持っている特徴である“生きている”ことを定義したものとも言えます。もちろん、死体とか無生物は生きていませんね。取り敢えず、死体はむかし生物だったものとして無生物として扱います。
それでは、生物の定義です。
(1)代謝をしている(生命を維持する樺構を持っている)
つまり“生きている”という状態を維持する様に身体の中で様々な化学反応がまとまった系列として行われている、ということです。簡単に言うと栄養からエネルギーを取り出しそのエネルギーを使って栄養を朽取する、と言う様な事です。
(2)自己複製能を持っている(子孫を残す機構をもっている)
分裂する、増殖するなど、とにかく自分と同じ遺伝的性質を次世代に伝えて行く能力が有る事で、つまり子孫を残す事です。
(3)成長する(環境に適応する)
昨日と今日では少しずつ状態が変わって来る事で、大抵は大型化して行くことです。また環境要因に適応する為に自己改造を行うことも含まれています。
実は(3)の定義は一般的ではありません。
これの代りに“進化する”と言う定義が来るのが一般的なのですが、実際この場合“進化”と言う事の定義が必要になって来ます。
そのため私は“成長する”という定義を用いています。 (最初に聞いた定義でもありますし)
蛇足ですが、長期的な捉えかたをする場合、“進化する”と“環境に適応する”と言う事は同じものとしても良いんじゃないかなあ、と思います。(環境に適応=各個体にて行われるもの、進化=環境に適応した物が遺伝的に伝えられるようになったもの、と言う感じに)
さて、ここで考えていただきたい事は、上記の3の特徴を持つ物は“総てが生物”であると言う事です。
例えば、体が金属でできた物であっても、脳がコンピュータの様な物であっても、生物である、としても善いのだから、ある環境下で電気的回路が出来てしまい、また電気的信号で動く物質群が出来て、それらが奇跡的に組み合わさった為に生物が出来てしまった、という事も考えられるのです。(ただし、その環境が説明出来ないとFCSに使う事はは認められませんが)
現代の科学で説明さえできれば、生物とは何でもありなのです。どうせ異星生物を考えるなら、誰もが驚くような物を考えた方が楽しいでしょう。
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