CONTACT Japan

Proceedings of CONTACT Japan 1 Vol.2
アメリカのFCSの例
〜82エリダニ星系とその第3惑星〜

このページはアメリカのCONTACT Xのために作成された冊子を翻訳し掲載しています。

1.序文
 82エリダニ星系とその第3惑星にようこそ! この詳細報告書はCONTACT X大会直前の3週間で英国のMartyn Foggと英国Space Discussion Societyのメンバーによって電子メール上で創られた。私達はその非常に基本的な骨格−その世界と惑星の天文学と惑星学のデーターを提示しようとしている。それらはCOTIの想像者たちが生命体や文明を作り出していくためのものである。
 私達の出発点は、太陽に近い星を選ぶことだった。幾つかの居住可能な世界を創れる惑星ができるまでMartynの Sillicon Creationのコンピュータモデルを何度となく働かせた。次に私達は最も興味深い世界をもつ星系を選びその世界のデータに生命の1項を付け加えねばならなかった。第3惑星は COTIの世界であり私達はそれに歴史を与え、知性がチャンスと−少なくとも進化した生命にとって−終末に向かっているように見える未来を、その最後の瞬間に持つように設定した。絶滅が水平線上に見えていて、われわれの知性化途上生物SOPHONTを進化させるのにたった2、3百万年しかなく宇宙航行文明を作りその惑星を救って何がそこにあるのかを見つけねばならなかった。

(恒星)
  COTIがこの年に、1ないし2つの異星人類で行なわれるべきだったかどうか判らないが、警告を発するのが過ちではないと決断して、片方の側が人類である場合として近隣恒星から一つの星系を選んだ。
 こういうわけで、82エリダニはCOTIの主星となった。この恒星は地球から約21光年のところにあるが、私達の夜空ではかろうじて肉眼で見えるものだ。それは単星で、黄色く、私たちの太陽と同じGタイプで、私たちの太陽の約91%の重量である。星々の光度は、星の大きさに非常に左右されるので、82エリダニの明るさは太陽の半分より少し明るいだけしかなく、エネルギー源をよりゆっくりと消費している。それは本当に古い星で−−−銀河の年齢の半分である50億年だが−−−まだその安定期と主要なサイクルと寿命の1/3が過ぎたにすぎない。
  82エリダニ自身は、多くの生命力を残しているかもしれないが、50億年という期間は、惑星の進化において長い時間であるといえるし、問題とされる惑星が小さな場合に特にそうである。もし、老齢がその世界を無力にしていなかったとしても、すでに曲がり角に来ているといえる。

恒星データ

恒星名 82エリダニ
RA 3時間15.9分
Decl -43°27’
絶対視光度 5.3
スペクトル型 G5

以下のパラメーターは正確にはわかっていないが、COTIのために見積もられた。

状況 シングル
太陽からの距離 20.9光年
恒星の質量 0.91M
金属的性質 0.95Z
主な連続的生命時間 142.4億年
年齢 50億年
ZAMS光度 0.45L
現在の光度 0.58L
地球相等距離 0.76AU

 

2.基本的な惑星のデータ
 82エリダニでは様々なタイプの9個の惑星が発見されている。それらの軌道要素、質量、基本的性質は次の表に要約される。
番号 公転半径 (AU) 偏心率 質量(m*) 惑星の型
1 0.37 0.06 0.1 水星型
2 0.53 0.02 0.16 水星型
3 0.78 0.08 0.55 地球型
4 1.18 0.01 2 若年の火星型
5 2.21 0.01 5.86 小型ガス巨星
6 4.18 0.01 205.9 ガス巨星
7 8.49 0.01 14.08 小型ガス巨星
8 16.47 0.16 86.83 ガス巨星
9 29.52 0.01 0.18 トリトン型
 惑星系の主要な特徴はこの表から読みとれる。例えばもっとも大きい惑星は第4惑星で木星の約65%の質量を持つ。第8惑星は土星くらいの質量でとても備心した軌道を持つ。第3惑星(COTIの世界)は生態圏にあり、太陽からの光の照射量は地球より少ない。第4惑星は巨大な火星のようなもので、地球の2倍の質量を持つ。これらの詳細は次のように図示される。

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3.詳細な惑星データ
 Silicon Creationは任意の太陽系に属するすべての惑星の詳細なパラメーターを作ることが出来る。82エリダニについての惑星を記述する数値データを以下に短いコメントと共にリストアップする。第3惑星については次の章でより詳細に述べる。
第1惑星
惑星型:水星タイプ
恒星からの距離:0.366AU
軌道偏心:0.06
1年の長さ:84日
Solar定数:4.3S*
地軸の傾き:0°
赤道直径:3281km
密度:3870kg/m3
質量:5.72×1023kg
重力:0.36g
脱出速度:4.83km/s
自転周期:同期
大気庄:0bars
主要ガス:大気無し
表面温度:〜400K
生命:無し

[概略]質量と相対的な位置でいうと、我々の太陽系での水星に似ている。恒星からの潮汐力が公転周期と自転周期を同期させている。それゆえ片半球は常に日光に照らされ片半球は常に暗闇である。

第2惑星
惑星型:水星タイプ
恒星からの距離:0.526AU
軌道偏心:0.02
1年の長さ:145日
Solar定数:2.1S*
地軸の傾き:O°
赤道直径:3781km
密度:4130kg/m3
質量:9.36×1023kg
重力:0.45g
脱出速度:6.02km/s
自転周期:同期
大気庄:0bars
主要ガス:大気無し
表面温度:〜330K
生命:無し

[概略]質量の点で、火星によく似たもう1つの惑星。潮汐の関係で回転が止まっている。太陽に向いた半球は不毛な焼けた岩場である。閤の半球はドライアイスの層として凍り付いている昔の惑星の大気に覆われている。これは航宙文明が揮発物質を採掘するのに非常に有用な内惑星である。

第3惑星
惑星型:擬似地球
恒星からの距離:0.779AU
軌道偏心:0.08
1年の長さ:262日
Solar定数:0.95S*
地軸の傾き:32°
赤道直径:5406km
密度:4940kg/m3
質量:3025×1024kg
重力:0.76g
脱出速度:9.00km/s
自転周期:23.96時間
大気庄:577millibars
主要ガス:N2とO2
表面温度:273〜298K
生命:存在する!

[概略]この惑星は、地球に近い量の日射を受けている。 惑星は水惑星で生命が存在できる。しかしこの惑星は、年取っており、大きさ、重さは地球の半分より少し大きいだけである。そのために炭酸塩−珪酸塩サイクルは低下し、 惑星の恒常性(ホメオスタシス)が時々途切れ;広範囲にわたる氷河期と光合成の発育を妨げる低い二酸化炭素分庄が、この惑星の標準レベルである。
 その陸地の生物相は貫弱で死にかけており、終末の火山活動によってバクテリア相を先祖帰りから救っただけだったが、一時的に暖かくなり,惑星の力がみなぎったため、その生物圏の元気が回復し、それが、す早く適応する生命形態の放射を引き起こした。 「CONTACT X」で は、この最後のエピソードの直後の状態の世界を、今回の設定とすることにした。
 この惑星は月がないが、脱出速度が地球よりも少し小さい21km/sであるので、宇宙へ行くのは簡単と思われる。また、惑星軸の傾きと軌道偏心のために、季節の変動が激しい。
 詳細は、以下の各セクションを参照されたい。
第4惑星
惑星型:若年の火星
恒星からの距離:1.181AU
軌道傷心:0.01
1年の長さ:490日
Solar定数:0.41S*
地軸の傾き:10°
赤道直径:7656km
密度:6380kg/m3
質量:1.2×1025kg
重力:1.40g
脱出速度:14.49km/s
自転周期:13.7時間
大気庄:〜4bars
主要ガス:CO2とN2
表面温度:273〜283K
生命:嫌気性生物は存在する可能性あり

[概略]この世界は、火星と同レベル量の太陽光に照らされているが、火星よりも頑丈な本体を持ち、地球質量の2倍が計測されている。
 したがって、それはまだ、とても地質学上活発であり、大気中に気圧2.5バールのCO2を維持する炭酸塩一珪酸塩サイクルは、初期においては火星と似た惑星を作り上げている。
 第4惑星のほとんどが、深い海で覆われており、少ない値の陸地は、多数の浸水した火山の頂が、点在する列島となったものだ。
 ここでは進化する生命は何もないが、第3惑星からの嫌気性徴生物の生命形態を移植することは簡単であると思わ れる。
 第4惑星には、地球の月に似た衛星があり、氷と凍ったガスが小さな極冠を作りあげている。
第5惑星
惑星型:ミニガス巨星
恒星からの距離:2.21AU
軌道偏心:0.01
1年の長さ:1250日
Solar定数:0.21S*
地軸の傾き:47°
赤道直径:17677km
密度:1520kg/m3
質量:3051×1025kg
重力:0.77g
脱出速度:16.34km/s
自転周期:14.92時間
大気庄:N/A
主要ガス:CH4とH2
表面温度:〜150K
生命:無し

[概略]これは小さいガス巨星である。決して相対的に薄いガスの層以上にもっと大きくなることはない。それにもかかわらず、惑星の表面は−1000キロを越す深さの海に覆われている−100℃の気温と1000barの気圧がある。たくさんの炭素質で小惑星状の月が存在している。
第6惑星
惑星型:ガス巨星
恒星からの距離:4.18AU
軌道偏心:0.01
1年の長さ:3260日
Solar定数:0.033S*
地軸の傾き:10°
赤道直径:65235km
密度:1060kg/m3
質量:1.24×1027kg
重力:1.98g
脱出速度:50.38km/s
自転周期:9.29時間
大気庄:N/A
主要ガス:H2とHe
表面温度:〜110K

[概略]本質的なガス巨星で、木星の65%の質量を持つ。氷でできた随行者すなわち生命のない複数の月を持つ。
第7惑星
惑星型:ガス巨星
恒星からの距離:8.49AU
軌道偏心:0.01
1年の長さ:9457日
Solar定数:0.008S*
地軸の傾き:73°
赤道直径:24613km
密度:1350kg/m3
質量:8.45×1025kg
重力:0.95g
脱出速度:21.44km/s
自転周期:13.4時間
大気庄: N/A
主要ガス:H2とHe
表面温度:〜80K
生命:無し

[槻略]天王星によく似たガス巨星であり、急傾斜の自転軸を持つ。氷でできた複数の月とリングを持つ。
第8惑星
惑星型:ガス巨星
恒星からの距離:16.47AU
軌道偏心:0.16
1年の長さ:25538日
Solar定数:0.002S*
地軸の傾き:17°
赤道直径:56491km
密度:0.69kg/m3
質量:5.21×1026kg
重力:1.12g
脱出速度:23.64km/s
自転周期:12.38時間
大気庄: N/A
主要ガス:H2、He
表面温度:〜50K
生命:無し

[概略]土星と同じくらいの質量のガス巨星で、そういっ た惑星を通常めぐっている物質が全て存在している。公転軌道は全惑星の中でもっとも偏心している。
第9惑星
惑星型:トリトンタイプ
恒星から饉の距離:29.52AU
軌道儒心:0.01
1年の長さ:61277日
Solar定数:0.0001S*
地軸の傾き:3°
赤道直径:4453km
密度:2910kg/m3
質量:1.08×1024kg
重力:0.37g
脱出速度:5.69km/s
自転周期:25.56時間
大気庄:非常に低い
主要ガス:N2、 CH4
表面温度:〜40K
生命:無し

[概略]火星よりも質量が大きい、氷と岩のかたまり。非 常に寒いので大気は多くない。ときおり起こる寒冷火山活 動が窒素とメタンと水素からなる希薄な大気を保っている。
4.第3惑星:地質学史
 第3惑星の地質学的発展を理解するには、その特徴を認めることが鍵となる。それらの違いはその世界を単なるもう一つの地球ではなく異世界とならしめる。説得力の有る異世界についてのCOTIはより説得力のある異星人を作る助けとなるであろう。
 第3惑星は、地球の55%の質量と85%の大きさで、おおざっぱに言って地球と火星の中間である。その表面の容積比はこのように地球より大きくしかし火星のそれよりも小さい。そして、もしこの2つと同様の放射性物質があったら、その内部熱は2つの中間くらいの速度で失われて行く。 50億歳の82エリダニ星系は私達の太陽系より4億年より多く歳をとっている。第3惑星は成長するための時間がたくさんあった。それこそが実際におこったのである。
 第3惑星は日射量の点において太陽から地球までの距離よりほんのわずかに遠いところに形成された。その物質組成も地球に似ていて同様に溶けた鉄の核を持ち、岩が外部に層をなし、水に富んだ表面を持ってる。17億年前から今日まで第3惑星は地質学的に活発で強力で継続的だった。地穀は地球のようであり、惑星の表面をゆっくり動いている。中心にまで伸びた火山活動は惑星の深部から外核 にまで戻って来る。大陸・海盆と分離されたプレートは豊富な鉱物の堆積によって形作られている。状況はまもなく大気が徐々に酸素の豊富な構成に変化していき、生命が生まれ始め、生命にとって完璧になって行く。わずかに地球よりも早い。“多細胞”の生態系は地上で進化発展した。 第3惑星はわずかに小さい地球に似ている。
 鍵は、ここから33億年までの温暖で安定した期間にコンスタンスな火山活動と地殻移動があり、炭酸塩−珪酸塩の閉鎖循環を可能にした。重要な温室効果ガスである二酸化炭素は雨に溶けて炭酸となり珪素岩を風化させて炭酸塩となる。しかしながら、この絶え間ない岩の深部への浸透は熟によって二酸化炭素(この不可欠なガス)を大気中に放出してリサイクルする。更に風化は循環の一部であり、敏感な表面温度は安定した否定的なフィードバック回路の作用で快適な気候を保つことを許された。もし惑星の熟が高かったら、風化は促進され二酸化炭素を減少させて温室効果を減らし、それらによって惑星を冷やすだろう。また、もし惑星が寒かったら、風化はゆっくりとなる。しかし火山噴火の割合が同様に保たれたら−二酸化炭素の総量は増大し、惑星を熟くする。恒星はゆっくりとその年代にあわせて輝きを増し、それにより二酸化炭素の平衡濃度は数10億年以上かけてゆっくりと少なくなり、惑星が受ける放射量は増大する。重要なことは、これよりも気候のタイムスケールを短くし炭酸塩−珪酸塩の循環作用を安定化させることである。たとえ状態は変化しても海は決して沸騰せず完全に凍らない。 (惑星が生態循環の下限ににまだ近づいていない限り。 )

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炭素循環
 一番外側のループは多かれ少なかれ、地球上では連続的に炭酸塩--珪酸塩循環をあらわす。第3惑星は17億年前から(点線で示されたような)もどる経路は偶然働くだけである。ほとんどの時代--少量の活発なものの他はほとんど--石灰岩で終わる。そのため、 温度調節力と生命学的生産力を劇的に減少させる。しかしながら1億年くらい毎に最後の火山の巨大な噴火によって大量の二酸化炭素を大気中に放出する。 (ループは閉じる。)一時的に一千万年間だけ活気づくのだ。

 これは地球の気候の重要な特徴であるが、17億年以前にこの地球化学のメカニズムによって第3惑星も生存可能となった。しかし、その時点から惑星の大きさが少し小さいことによってより早く熱が失われ、地殻が冷やされ安定するまで厚くなる。断続的な大地創造のコンベアベルトは破滅と再生をやめる。何1 00万年以上もかけてゆっくりと山が創られ、完全に止まり、そして地表が隆起により早い割合で侵食され始める。山は砕けて海となり、大地は巨大な洪水によって覆われ、海はもっと塩分が濃くなり沈泥で満たされる。炭酸塩−珪酸塩の循環が止まる。それは火山から別れて鉱物から気体相にもどる。現在それがとても低い割合で作用している。気温調節が弱まり、それによって二酸化炭素の温室効果が減少し極点から低い緯度に氷床が広がることを妨げることができなかった。氷河によって地表から生命は物理的に抹消された。生命相はほとんどが死に絶え生産的な光合成が行われるくらいまで二酸化炭素が溜まる時までバクテリアレベルに逆戻りした。生命もまた適度に豊かで多様な海の中に留まっていた。第3惑星が大気や温度の自己調節をやめた結果、生態系は破壊され不毛で絶滅状態になった。
 COTIへの有望な見込みがなくなった。しかし、すべてが失われたわけではない。たとえ、地殻が厚くなり永久的に一塊となっても、第3惑星の内部は冷たくはない。厚い部分が地殻の基礎を作り上げ、1億年毎またはそれ以上の時間をかけて、全く突然で激しい末期の火山活動の発作をおこす原因となる。膨大な量の溶岩とガスの放出、そして新しい火山性の造山活動と火山灰が氷原を黒くうめ尽くす。大気中の二酸化炭素が集中し10倍以上に増大する。全く迅速に必ずトリガーポイントに到達し、氷は極点に後退し、地表が見え始めるだろう。生態系は一時的に活発になる。−温暖で豊かな時間は、地表の生命相に火山活動の終わりを告げ、次の氷河期までの1千万年間という定められた期間を与える。
 「臨死体験」と「再生」の生物圏の循環は約20回ほどあった。COTIはある暖かい期間の最後に行われることになる。まもなくやって来る地質学的未来、弱くなった火山活動は厚くなった地殻を突き抜けることはできない。第3惑星はいい具合に静止するのである。

5.第3惑星:環境史
 COTI世界の環境は、前述の気象の長期的周期に決定的に依存していることは明らかである。それがどのように依存しているか措くため、1つの周期の間におこる生命の運命について思索してみることができる。

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 豊かな期間、物質循環のバランスと地上の生物相は健全である。光合成のためのCO2の供給が止まると消費は生産を追い越し、多くの生体が失われほとんどの種が絶滅する。

 最後の温暖期を想像してみよう…。数1000万年の間、回復した第3惑星の環境は地球とほとんど同じくらい複雑になっている。地上と海中の生物相は最高潮の状態である−−−植物による生産は、動物や腐敗生物による消費とバランスがとれている。それから、ガス排出量の減少によりCO2不足が感じられるようになり、惑星は凍りはじめ、高緯度から中緯度地帯では氷河が生じ、地上の生命を一掃する。さらに悪いことに、最終的にはCO2が地上に凍り付かないでいられる原因になっていた光合成が非常に難しくなるぐらいまで減少する。環境システムは崩壊し始め、消費は生産を追い抜き、余分な生命資産が消え去り、非常に貧困な生物相が残される。以前からの環境システムの構成生物の多くは死滅しており、残ったものは、浸食された岩の中にまばらな土壌を持つツンドラのような光景である。砂漠とは思えないような砂漠が、まばらな生命の発揮がわずかな生命の原物質を厳しく深いサイクルで再利用していくのを助けている。
 海とその周辺は異なる。豊富な炭酸塩の沈殿物の存在と、海底の豊かな泥の中に住む有機生命が炭素と他の栄養物を非常に効果的に消費しリサイクルするという事実により二酸化炭素が水中に蓄えられていく。そのため、光合成は海の上の方でほとんど以前同様に行われ、地球での場合同様、植物質の回収が広範囲な動物生命体層を非常にすみやかに支えることになる。この時期の第3惑星は全世界的に地球の南極のようなもので、海岸を除いた地上にはほとんど生命はないが、海には生命が豊富である。
 複雑な生命が海へと退却してから1億年後、次の火山活動が新しい温暖期をもたらす。氷は後退し、今や豊かなCO2が存在して、光合成と生命体製造の助けとなる。ほとんど生命の存在しない広大な地表が露出する。空っぼの生態学的ニッチでは進化の大墳出が生じ、豊かな場所となる! これこそこの種の生物圏から、COTIで想像者たちが生物相や生命を展開させるものだ!
 彼らは野生のローラーコースターを持っているようなもので、1000万年にわたる爆発的な進化が起こり海洋や半海洋性にデザインされた植物や動物たちが陸地を賑わせることになる。(地球においては、白亜紀の大量絶滅の後、新生代の最初の時期、1010万年競いた古生代が、恐竜によって残された空白のニッチ(生存適所)に対する哺乳類の急激な多様化を証明することに注意しよう。)まるでちょうど大量絶滅の余波あるいは新大陸の始まりによるかのように、偶発事件(チャンス)が最高の主権を握ったのだ。最も簡単なとっかかりは、新しいニッチにおける優勢なものとして一つの類を選択し他を破滅させることだ。これはCOTI参加者に想像し得るデザインにおいて最も大きな選択を可能にさせる。パージェス頁岩スタイルの放散。それは来るべきもの総てを形作るために雑多なものを皆殺しにすることと数種類のボディのプランを選ぶことに引き継がれる。
 1億年ごとに、大量死が新しく繰り返され、そして新しい生物群がつかのま、陸上を支配する。もし、COTIの参加者が災厄以前に「知性化途上生物」を進化させるなら、おそらくテクノロジーにより第3惑星の最後の夏を延長することができるだろう。

6.第3惑星:いくつかの生物学的提案
 ここで私たちは、よく考えるとあいまいなままである単純に考えて陸上生物が利用できるわずかの期間にどのように進化できるかについてのいくつかの簡単な提案をし、第3惑星と地球の間のパラメーター間の違いが、生物学においてどのような系統的な違いとなるかの指摘を行う。生物学と文化の「詳細」はCOTI参加者の決定にまかされている。前者について納得したものを得るのは特に難しい。 しかし、簡単な問題に、いったいどんなおもしろさがあるというのだろう?
 まず、植物から始めよう。陸上植物を「海草」から進化させようではないか。何と言っても、地球で陸上へと進化した最初の植物は支持構造を発達させたある種の海草であったのだから。第3惑星の低い重力は、海草の陸上への進化を地球での場合よりいくぶん簡単にし、その過程をよりすみやかにすることも可能である。石炭期の広大な沼地の森は、主に、しだ、苔、裸子植物など私たちが今日原始的であると考えている植物で構成されていた。沈んだ大陸の島々は中空の茎や肋状組織のような忙しく進化した支持構造体を持つファンタスティックに突然変異した海草からなる暑くじめじめした森を持っていたであろう。第3惑星の「知性化途上生物」は、過去の年代の全く異質な、ある意味ではより洗練されたようにも見える植物の化石を掘り出すまでは、地上性の木は−巨大な「根茎」のように見えるのだが−それが普通のものだと考えるだろう。 (化石は、第3惑星上で氷河に浸食された地域を除き非常によく偶然に発見されるだろう)
 動物はどうだろう? そう、たったの1000万年で完全な水中呼吸から効率的な空気呼吸生物へと進化するのはあまりにも期待しすぎであるように思える。しかし、大型の大気呼吸生物の多くは、死の氷河期を乗り越えて温暖期まで生き延びることができただろう。これらは海中または海辺で生きたのだろう。完全に水中深く住む(回遊する)生物(「イルカ類」)を考えてもいいし、海辺に住む水陸両生生物(「ペンギンもどき」や「アシカに似た」生物)を考えてもよいし、陸地に住み海で餌を取る、あらゆる種類の飛行生物を考えてもよい。水陸空−全生物を考えてもよいのである。それは、歩き、泳ぎ、飛ぶことのできる生物であり、そのため、先陣を切って内陸部へと移住し始めるだろう。そんな動物はきっと温暖期の前に知性を進化させ始め、そして機会があれば、豊富な形態へと変化するだろう。しかし、創造する上で非常に重要な点がある。第3惑星上では「地球上」のどんな生物の形態もそのまま使っては「ならない」し、私たちがなじんでいる形態の類似に近づくようなデザインは決してしては「いけない」。進化は偶然という強い固有の要素をもち、それはクリンゴン人やヴァルカン人やウーキーやエルヴィー人ではないということを意味するのである!。有袋類も胎盤のある哺乳 動物もは虫類も鳥もいない。それらと「似てはいても」根本的に「異なる」生物がいるのである。これはCOTIの想像者たちが考える上で抱える表面上の矛盾である。あなたは力学や生物学や進化の観点からもたらされる合理的な制約の中で、「自由」に創造することができる。
 第3惑星のパラメーターから、生物学が従うべきいくつかの制約を評価することができる。重要度の順とは無関係に、以下にいくつかリストアップしてみる。

 薄い大気のせいで、地上レベルでの第3惑星における飛行は地球上のそれより1/3余計に力を必要とする。(これは低い重力を考慮にいれてもそうである。)−−−いいかえると「翼」は15%余計に表面積を必要とする。飛行はこういうわけで全く不可能ということはない。少し難しいということである。

 0.76の重力は、背が高くよりほっそりした生命体や優雅な建造物を産み出す可能性がある等だが−−−支持構造の問題は地球のそれよりは少し簡単なのである。
 寒さと乏しさに適応した生物は巨大化する傾向がある。そうすることで体積に対する表面積の比率を減少させ、体温を保持し、また脂肪の形でエネルギーを貯めることができる。第3惑星の生物は、この傾向を非常に極端に持つことになるかもしれない。

 地球では、骨はリン酸カルシウムからできており、生まれつきリンを蓄えているので、リンは限りのある栄養である。第3惑星では炭素そのものが限りのあるものであり、そのため、おそらく骨格は方解石やアラゴナイトのようなCaCO3で作られているだろう。貝がこの物質を使っているのだから、さらに大型の生物が使っていても当然ではないだろうか?

 第3惑星での海面レベルでの大気庄は地球の海抜4.6kmでの場合と同じであり、ちょうどチベット高原やボリビア高原ぐらいである。そのため、第3惑星の生物は、内臓に酸素を取り入れるより効率のよい手段、例えばより大きな「肺」やそんなものを持つであろう。
 第3惑星の季節は地球よりも短く厳しい。そのため、地球の生物が季節に適応している方法に比べると非常に極端な連想を行うようにしなければならない。出発点の1つとして明白なものに、移住がある。
7、現在の第3惑星
 第3惑星の地学と生物学の進化のアウトラインについて、私たちは、その地理と環境について幾つかの特徴を描いてみた。

 地形学:次に示す低解像度の地図に見られる4つの主な特徴がある。

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1)海底に沈んだ大陸
 10億年前、第3惑星は地球と同じシステムで形成された陸と海床を持っていた。そのようなプロセスが、いま現在、終わりつつあり、そして侵食が元来ある陸の表面を削り、海の高さに近づけていった。世界的な、海水の上昇と地殻の沈下によって、傾斜がとてもゆるく、海岸線は複雑である。最後の温暖活動の間、惑星は洪水に覆われ、西部に現れた昔からのCraton層による新しい火山性台地が、東経50度の南北に主として集中しながら、広大な地域に横たわる島々を創造した。(最大級の島々は、地図上に見ることができる)惑星が再び冷えきって、極地にたくさんの多くの氷を作っている時期には、沈んだ大陸が波の上に現れる。歴史的な時間尺度を通じ、島々は互いにつながり、“低湿地”は、“森”や“草原”、その他のものになっていった。気候は沿岸性気候で、十分に暖かく、風と 雨は海の方から押し寄せた。太平洋が、より多くの島々で混んでいるのを想像してほしい。それらの幾つかは大きなサイズであるのを、地図の上でご覧になれるだろう。

2)沈泥で覆われた海
 現在、堆積物で満ちている広範な深い海盆は、古代の大陸が侵食を受けたものである。第3惑星の海は地球よりも浅く、地球の海の探さが平均して3.7kmあるのに対し、ここでは平均1kmである。
 陸地の表面と海底の間の少ない勾配は、海岸線の地形をとても不規則にする。海底は鉱物や油田がとても豊富で、特に「沈下した大陸」の縁周辺には多く存在する。海流の形態は、大きな衛星を欠いていても、地球のものと似たパターンである。それは第3惑星が主星に、とても近接しているために、かなりの量の太陽から生じる潮汐力があるからである。(それは地球よりも90%高率だ。)それゆえ 潮の高さは、地球で起こる新月、満月のころの大潮のようなものではないが、それでもかなりの量である。

3)高地
 高地は、死火山または火山が終末に向かっている地域である。2つの火山が隣凄したTharsisタイプの湾曲による高地(〜10km)が、 40度から140度の間に存在し、低い火山地帯となっている。マグマの活動が衰退期にある間もまだ、噴火が起こり、溶岩の新しい層が作られている。これらの広い地域は、今は侵食されている昔の大陸と外形が異なり、おおざっぱな楕円形をしている。
 それらの島は、海の高さよりも上にしっかりと存在し、この惑星を空から見た時のもっとも目立つ特徴である。高原のほとんどは、居住に適しており(高い山頂を除いて)、それらの内陸は種々の大陸型気候である。北方の高原は特に夏が厳しく、第3惑星で唯一の広い砂漠がある。最も高い峰は、ファイア・アイランド(火の島)に位置し、緯度0度、経度0度付近にある。その峰は11.5kmの高さがあり、今だ活発な活動状態にある。ファイア・アイランドの上に流れ出た溶岩は、高地の火山地帯よりも粘性を有しており、このため、斜面は急であり、火山の噴火は爆発的になる。多くの火山の爆発は、毎世紀もしくはそれぐらいごとに、成層圏にたくさんの灰を吹き出すため、年ごとに気候が目立った変化を受ける(冷却される)。

4)極冠
 第3惑星の氷冠は、地球のものよりも大きく、緯度60度まで、ほぼ達している。氷は南西の島にも横たわっている。しかしながら、この地域の海床は浅く、氷はその地域の重要な部分を含む底面の上にのっている。これは、なぜ極地の氷の量が増える時、海面が下降するかを意味しているが、この現象は現在の第3惑星上でゆっくりと起こっていることである。

季節
 第3惑星は私たちが母なる星でなれ親しんでいるよりはるかに著しい季節変化を有している。その32度傾いた地軸は、地球よりも急な傾きである。:私たちは、地球の 23.4度に慣れている。しかし、私たちはまた、風変わりな軌道偏心を自分のものとせねばならず、0.08というそれは、地球(0.0167)よりも、とても大きく、火星(0.0934)とほとんど同じくらい、常軌を逸している。さらに第3惑星は、近日点では太陽定数が1.12S*(訳者注・S*=太陽定数。地球では1.946Cal/min.cm)となる0.717AU(訳者注:地球の公転軌道の長半径が基準)であり、遠日点は0.841AUで太陽エネルギー率は0.814S*である。
 一年がより短いことは、惑星の生物相において緩衝となりまたほとんどの陸地が熱帯性気候であるという事実は、この極端な条件をやわらげる一助となる。しかしそれでも意味はあるのである。私たちは、夏至冬至が軌道の両極端にあることを当然と考える。すなわち、北方の夏は太陽に最も近く、北方の冬は太陽から最も遠ざかるということだ。第3惑星の奇抜な軌道(離心率、偏心)は、これらの季節の長さにかなりの違いを導くだろう。したがって、南半球は長く、穏やかな夏となり、短く温暖な冬となる。反対に北半球は短く書い夏と長く凍る冬がある、という最もひどく極端な惑星が提起されている。(2万年かそこら毎に自転軸の歳差運動がこの状況を逆転することに注目してほしい。)
 第3惑星は大きな衛星を持たず、その回転軸の傾きが数百万年の時間的尺度で0.60度という極端な間を無株序に少しづつ動いている。したがって、初期の頃でさえ、この世界は長い尺度に従い、平均して赤道よりも多くの日照量を受ける時には、時々、極端に温度が上昇する。しかし、COTIのプレーヤーは、この余分な複雑な事態について、心配する必要はない。第3惑星の最近の歴史は、軸の傾きがないかまたは、意味のある傾きではないことが、特徴となっている。しかし、今から数百万年の季節変化を予測することは不可能である。

大気
 大気の成分は地球の大気と、よく似ており、火山活動が一時的に増加したことによってCO2分圧が少しだけ高い。しかし、CO2の量と地上での圧力は、地球の量の半分よりも少し多いだけで、これは気候への何らかの効果を持っており、前のセクションで言及した生物学的なものと同じような効果である。
 第3惑星の1日の長さは、ほとんど地球と同一であり、地球と同一のコリオリの力は、やはり同一の大気循環パターンを生じさせている。どんなに平均風速が速くても、それより少ない量の気体が赤道から極に熟を運ぶ仕事をするに違いない。これは特に、40日かそれぐらいの間、格別に激しい風が起こる北部の夏において、目立って見られる。沈下した大陸の傾斜した沿岸は、この時の嵐の大波で、特に悪い影響を受けたに違いない。
 希薄な大気は、透明度が良くなり、空の色をより深い青色にし、飛行機の窓から見る空のようである。それは、天文学の観察に良好で、特に高地では良く見ることができ、見事な眺めであろう。水の小さなしずくは、低い重力の中で降下し、より大きくなるために空中に浮遊し、大きなサイズとなるだろう。第3惑星の虹は、それゆえに格別の素晴らしさで長く持続する。

8.いくつかの社会学的なポイント
 COTIの想像者たちは彼らの「知性化途上生物」の文化のデザインに関しては、やりたいようにするであろう。ここで、私たちは単純に文化的/技術的進歩に関する前述の議論からの要素のリストをあげる。

・わずかな量の生物が生物学的適所の広い範囲へと進化することになる。(まるで、ライオンと羊がいずれもヒトであるようなものだ!)

・鉱物と石油は沈んだ大陸の岩の中や沈泥した海の底に存在しやすい。

・自然災害、特に洪水と嵐の発生頻度は相対的に高い。

・第3惑星の「知性化途上生物」が彼らの惑星の歴史を理解したなら、深い心理学的衝撃を受けるであろう。

・惑星の表面からは宇宙がよく見える。

・宇宙へ出ていくのは地球より簡単である。脱出速度は2km/s以下である。

・第4惑星には哲理的な疑問がある。この世界への植民は難しいだろうが、原始的な生命形態を植え付けることはすみやかになされるであろう。

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